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青い鳥(後編)

メーテルリンクの青い鳥を思い出す。

貧しい兄妹が幸せの青い鳥を探す旅に出かけるが、見つけられずに家に戻ると飼っていた鳥が青かったという話だ。大昔にアニメで観た。

夢はきっと叶う」風に言えば「幸せはきっと身近にある」となるだろう。きっとと言いながらどちらにも確信はない。夢は叶うかもしれないし、叶わないかもしれない。幸せは身近にあるかもしれないし、ないかもしれない。

同じ不確定なものなら僕は身近な幸せのほうを求める。夢を叶えた先にある幸せがかけがいのない喜びをもたらしてくれるのだとしても、そのために何かを犠牲にする選択はできない。

努力を否定するつもりも、努力している人を揶揄するつもりもない。僕が大きな目標に向かって頑張りたくないというだけだ。逆にそれをやってのける人たちには尊敬とあこがれの気持ちがある。成否によらず挑戦する姿は尊い。

努力は才能であるとも言われる。僕にはそれが欠けていた。

ただ、その代わりに身近な幸せを見つけることに少しだけ長けていると思う。だからそれらを賭けてまで夢を追いかけようとは思わないのだ。

楽しいことだけをやって生きていきたい。それがいつか図らずも何かの実を結ぶかもしれないし、結ばないかもしれない。それでいい。