見出し画像

中小企業が効率化の末にたどり着いた一つのゴール 01

(写真は創業当時のもの。写っているのは当時の社員の方)

私がやった中小企業のIT化

父の会社における私の一つの役割だった業務のIT化、効率化についてお話ししようと思います。紙と電卓でやっていた作業から最終的にはどのような形になったのか。なにかの参考になれば幸いです。

配ったもの:

下記の3点を社員に配布しました。三種の神器とでも言っておきましょう。

  • ノートPC

  • iPhone SE

  • iPad + Apple Pencil

ノートPC:
本社全員にノートPC(Windows)を配布しました。ノートPCは持ち運びができます。コロナ禍のテレワーク時にも柔軟な対応が可能になりました。事務所には23インチの外付けモニタも用意しました。

iPhone SE:
各自に1台配布しました。メール、カレンダー、勤怠入力、給与明細確認、ショートメッセージ、チャットなどノートPCでできることの大半が手のひらで作業できます。隙間時間でできることは隙間でやれば良いと考えていました。

iPad Air + Apple Pencil:
ペーパーレスを進める中でPDFファイルを容易に取り扱うためのツールがいると考え導入しました。個人的に初代のiPadからを使用していましたが、仕事での用途に耐えるものではないと感じていました。Apple Pencilが出てからこれだと思いました。手書きで写真や資料に書き込みでき、そのままメールなどで送信や共有が可能です。現場調査などでその場で撮影した写真に改修内容などを直接書き込んでみせた際には、驚嘆の声が上がっていました。

この三種の神器で持ち運ぶものは増えたかもしれませんが、働く場所に拘束されない環境を整えることができました。

用意したもの:

クラウドのサービスを多用するようにしていました。私個人がサーバーを管理するのは限界もありましたし、セキュリティリスクも高いからです。手間も削減したかったというのも大きな理由でした。色々試しましたが、以下の5つがメインとなりました。

  • グループウェア:Google workspace

  • チャットシステム:Slack

  • クラウドストレージ:box

  • データベースソフト:Filemaker

  • ノートアプリ:Notability

グループウェア:
Google Workspaceを使用していました。 Gmailがベータサービスの頃に登録していた経緯もあり、ずっと無料で使用できていたことも大きな理由でした(近年有料化しました)。メールサーバーを管理する必要もなく、スマホやPCで区別なく使用できる操作性や過去のメールも検索で瞬時に見つけられることがメリットでした。 カレンダーには各自の予定を入力してもらい、本社では休暇の申請などもこれで行なっていました。


チャットシステム:
電話よりも簡単に連絡が取れるようにならないかという目的で導入しました。
電話だと同期を取るので相手の手が止まりますが、チャットシステムだと隙間時間に見たり、返信したりすることができます。これが最大のメリットだと考えていました。社内全員に対する業務連絡などもこれで行なっていました。
ツールとしてはGoogle ChatやChatWork、LINEビジネスなどいくつも試しましたが、デザインや使い勝手からSlackの無料プランを使用していました。チャットの履歴は90日間でところてん式に閲覧できなくなるため、記録に残さなければならないやり取りはメール行い、電話がわりに使用するように方針を立てていました。


クラウドストレージ:
boxを契約しました。金額は安くはないのですが、容量が無制限であるというのが決め手でした。またセキュリティ事故を起こしたことがない唯一の企業だったと思います。 紙をPDFに切り替えた際に保存先を用意する必要がありました。過去の数十年に及ぶ図面、製品の完成写真などデータは膨大でした。 当初は社内にテラステーションなど市販のNASを使用していましたが、保守は私がやっていました。
止まれば再起動や故障対応が必要でしたし、出張中などに起きれば帰るまで使用できないといったこともしばしばでした。 クラウドにすることでそうした作業は皆無になりました。またクラウドで容量無制限という点は、配布したノートPCのHDD容量対策にもなりました。
取引先に送付する紙の請求書の発行をやめ、PDFで作成したものをboxの共有フォルダに保存して、ダウンロードしてもらうようしました。請求書送付の手間がなくなりました。


データベース:
Filemakerというソフトを使用していました。Appleの子会社Claris社の製品です。リレーショナルデータベースというもので、Excelで管理するよりも遥かに大量のデータやファイルを保存、操作し、抽出することが可能です。インターフェースが秀逸で、自社専用のアプリケーションを作成することが可能でした。今で言うところのアジャイル開発というものです。Filemakerについては長くなりますので別の機会にまたお話ししたいと思います。


ノートアプリ:
Notabilityを使用していました。iPad用のアプリです。Goodnotesも同様のソフトです。PDFなどを取り込んで手書きでメモやサインを書き込みできます。Acrobatでいいじゃないかと思うかもしれませんが、手書きでできることは感覚的に身軽です。ノートPCの横にiPadを紙代わりに並べて作業をしている社員も多かったです。


社内向けにこれらを準備し使用方法もレクチャーしました。紙を使用する場面は激減しました。PDFデータで取り扱い、1箇所で保存・共有するといった使用方法がスタンダードになっていきました。

私は社内の不要なものをひとつづつ断捨離することにしました。
そもそものきっかけは自分で管理していたこうした社内インフラを外部に委託すること、私の時間を確保することでもありましたが、私一人しかわからないという属人化を解消したいという思いもありました。結果的にこれはコロナ禍でのテレワーク対応やM&Aでの業務引継ぎなどの際に非常に大きな貢献をしてくれることになりました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?