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Netflix映画おすすめ【ただ映画を見る】名画座インコさん vol.21 「FはFamilyのF」がすごい。

舞台の稽古も始まり、移動時間に観れるドラマが進む。

「ハングオーバー!!! 最後の反省会」

「FはFamilyのF」

「FはFamilyのF」はすごいアニメ。家父長制の呪縛を描き切っている。
S1で主人公の「家族に怒鳴っちゃいるけど、それでも親父はつらいよ」の描写がおおいなるフリとなり、S2で家庭内の立ち位置が変わる危機があり、S3で憧れの「友」と出会い、その闇に触れて自分を見つめ直すきっかけを持ち、S4にいたってはいわゆる毒親の登場で、主人公の「感情の地獄門が開く」展開となる。それもすべて笑いにまぶしながら。

冷静に考えるととてつもなく怖い展開であり、やたらと怒鳴る主人公に気持ちを寄せられないということにもなるが、妻も息子もしっかりと言い返し、主人公もそれ以降の一線は超えず、家族を想うという前提は見せている。というバランスが見事。なので主人公フランクにも「気持ちはわかるよ」という視線になる。
この「言い返しの妙」がたまらない。

カツオが口答えでもしようものなら有無を言わせず耳を思い切り引っ張るサザエさんなどは、よく考えれば乱暴度はこっちが高いのでは……と思うくらいなので、この「言い返された側のリアクション」は非常に大事である。

「コブラ会」もそうだが、「この価値観で生きてきた人」「それだと生きづらかった」人の描写に加えて「それでよかった」人が変わる上でどう納得させながら寄り添うか……が笑いの中にしっかりと描かれているからすごい。

こういう作品を観ると、昨今ネットで言われる「ポリコレでフィクションがつまらなくなった論」は当てはまらないよな。と思う。

コブラ会も「ポリコレ無視の主人公が最高!」なんていう感想がTwitterにチラホラとあったが、エピソードを重ねてゆけば「そうした価値観の男の行動がうまくいってしまったがゆえに新しい問題が起こり、人として大事なことを見落としてしまっていたことに気づく」というストーリーになっているわけで、「今」を描くからには「今」に対する立ち位置は明確にしたほうが、やはり面白いものは描けると思う。

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