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シニアになって働く意味を考える⑮ ~パラレルワーカーで苦難を乗り切る、先の読めない今こそ必要な働き方~

定年前後のシニアに「働く意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働く意味」のスペクトラムを描けたらいいかなぁって思っています。
その切り口を「働く理由の8区分」から考えます:カネ、自己実現、社会貢献、承認欲求、自立、地位獲得、他者との絆、その他(仕事があるという幸せ、色々な経験、不安の解消など)

30年も前からずっとパラレルワーカー、現役続行中の68歳

 Hさん(68歳2023年時点)は1992年からすでに副業を持つパラレルワーカーで、今でも4~5個のプロジェクト単位の仕事をもたれています。昨今、はやりの働き方を30年も前から実践され、現在もパラレルワーク実践中です。
 最初にその興味深い経緯を、いつもの「仕事人生満足度曲線」を見ながら紹介します。

仲間でプロジェクト単位の副業を始める

 新卒後はフリーのライター兼編集者としてスタートし、5年間の「修行期間」を過ごす。スキルを習得してから出版社に就職し会社員に。
 会社員9年目で仲間3~4人で出版関係のプロジェクト単位の副業を始める。会社勤務と副業のパラレルワークを続け、8年目にして副業が成長して有限会社を設立(37歳)し、会社員も続行。
 副業の規模が大きくなったことから、45歳で会社を退職し株式会社に移行させて業務を一本化。会社が順調に成長できたのは、仲間に恵まれ個人の特徴を生かして、色々な仕事に取り組んだことがよかったそうです。46~54歳が最初の人生満足度の黄金時代。(ありきたりな言い方ですが、仲間や人脈ってスゴイ)

出版不況、震災や倒産を経験するも復元力が半端ない

 2008年頃からの出版不況のあおりを受けてクライアントが急減していく。そこに2011年東日本大震災が起こる。福島第一原発近郊に在住されていたご両親が、2012,13年にいわゆる「震災関連死」で相次いで亡くなる。聞いているこっちが辛いほどです。
 このような厳しい状況の中、もはや従業員雇用のためだけに会社を存続させようと奮闘したが、60歳で会社を整理する(3年間かかったそうです)。仕事人生満足度曲線の極小値です。
 ここからの復元力が半端ない。やりたいことを思いつくと「任意団体」を作って実践していく。2015年頃から取り掛かり、徐々にプロジェクト数を増やし、現在その数は4,5本にもなる。これまで経験してきたことをベースにした企業や役所へのコンサルやプラットフォーム提案、教育、SDGs活動などテーマは多岐に渡る。「ここからまた事業化できればうれしい」と語る。ここに来て満足度得点が10点に戻ってます。
 やりたいことがあることと、これまで培った人脈がエネルギーの源泉のように思います。

「オレ、何で働いてるの?の図」

著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」を作ってもらいました。Hさんのは、こんな感じです。

 Hさんの労働観、これまでの経緯を見てきたら納得できます。「Hさんのやりたいこと」は「社会貢献」なんですね。おもしろそうなことを見つけたら仲間を集めてとりあえず実践していく。しかも次々に複数のプロジェクトを立ち上げていくという行動派。そのことをご自身が楽しんでいるということが「自己実現」に繋がっているのでしょうね。
 これからどんな事業を立ち上げていかれるか楽しみです。

後記:


 「パラレル」というのが重要なキーワードではないかと思い当たりました。
 一つのことをやり続けるというのも大切かもしれませんが、それは日本社会が安定成長していた時代のこと。
 変化が激しい先の読めない今、できるだけ多くのタスク・仕事・バイト・趣味、何でもどんどん挑戦し、実践していく。ダメならやめればいいし、面白そうなことを見つけたら即やってみる。パラレルでやっていると、うまくいかないことが一つぐらいあっても気になりませんよね。こっちがあるから「いいや」って。
 「会社員は本業以外のタスクを持て!」ってことですかね。Hさんの場合、何が本業かわかりませんが(笑)。すばらしいインタビューでした!


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