見出し画像

デザイナーのスキルをどう選ぶ?|ライフストーリートーク

以前、デザイナーには27分類のスキルがある、といった記事を書いたことがあります。
デザイナーの専門的スキルの中から、得意と不得意の両面からフィードバックすることで、自信気を配るポイントを認識し、効率良く成長に繋げていくと言ったものです。
今でも1on1の場面などで、コーチング用のツールとして社内で活用されています。

他にも、スキル項目が明確であるため、目標設定の項目として活用するなど、転用して使われることもありました。しかし、今では使われておりません。

具体的な指標は、一つの視点だけに囚われてしまうと、むしろ逆効果になることもあります。
専門的スキルだけに注目していても、個々のパーソナルな部分からくる強みに、自ら気づくことは難しいのでは?と思ったからです。

今回は、本当の強みを引き出すためにはどうすれば良いのか?この課題に対して、実験的に社内で行ったワークの事例を紹介します。職種問わず、普遍的な方法だと思うので、デザイナー 以外の方にも参考になればと思っています。

本当の強みはどこからやってくる?

まずは、パーソナルな強みとはどんなものでしょう?

・あの人は誰とでも打ち解けるのが早い
・こんなことができるのも、あの人らしい決断があるからだ
・あの人の仕事はいつでもキッチリしている

など、これらの多くは課題に対する、人に対する、自己に対する場面で発揮されるスキルです。これらはどんな職種にも置き換えて使うことができるスキルで、ポータブルスキルと呼ばれています。
また、ポータブルスキルを形成する根底には、個人の志向、性格、価値観などのスタンスから来るものと言われています。

画像1

つまり幹と枝葉のように、個人のスタンスから、“場面” や “事” の具体性が高いほど、専門的スキルになっていくということです。言うなれば、より手段的なスキルになります。
そして、今回のワークは幹の部分を掘り起こし、顕在化させることでパーソナルな強みを見つけ出すことが狙いです。

ライフストーリートークとは

ワークの内容は以下の本を参考にしました。本書では自己認識を深めることで、仕事や人生をより良い選択とマインドで過ごしていきましょう、といった内容のものです。
本書の一部でライフストーリーというワークが紹介されています。幼少期から現在に至るまで、価値観や志向性に大きく影響を与えた出来事は何か?を振り返り、インタビューをするといったものです。

このやり方を転用し、グループで互いにインタビューすることで、より解像の高いストーリーへと仕上げる作業がライフストーリートークです。

ルール

ライフストーリーでは、成功体験だけでなく、失敗経験や辛い経験についても赤裸々に話すため、グループは日頃から気心の知れたメンバーを集めることがポイントです。

志向性、価値観、性格の殆どは、幼少期から小学校の間で形成されると言われています。まずは、どんな家族とどのように過ごしてきたのか、そこから社会人になるまでどんな影響を受けてきたのかをエピソードを文章で書き出します。

エピソードは、箇条書きや短文だけで終わらせず、なるべく物語のようにストーリーで書き出してください。書き出した文章は、メンバーに発表します。聞き役になるメンバーは、エピソードをより深堀する質問(インタビュー)を行います。

①自分の過去を振り返って年代ごとの体験を書き出す
②体験はなるべくエピソードとして文章にする
③書き出した文章を発表
④聞き役が 相手に質問をする ※ここ重要

画像2

質問でより深掘る

聞き役になるメンバーは、かなり重要な役割になります。
エピソードに対して、なるべくその時の状況感情にフォーカスを当てた質問を行います。文章では書き忘れているエピソードの詳細を引き出す役に徹してください。

質問の例

・それが起きた時、どのように感じましたか?
・その時他に誰がいましたか?その人についてはどう思いましたか?
・この経験でとても気に入っていることは何ですか?
・以前も同じ状況がありましたか?その時はどう思いましたか?
・この話が特別な理由は何ですか?
・その経験からあなたが学んだ教訓は何ですか?

注意点

・起きたことに対しての「感情」に焦点をあてる
・なるべく「はい」「いいえ」の答えで終わらない質問をする
・「なぜ」より「なに」の質問のほうが答えやすい
・助言者にならない(ちょっと上からに感じる...)

ポイントとしては、「なぜ」といった質問を繰り返すのではなく、「なに」に対してどうだったのか?相手が答えやすい質問が重要です。「なぜ」の根底には、本人にもわからないほど情動的なことが多いです。

画像3

ストーリーから志向性へ結果

エピソードの中でも、自分に影響があったと思われるものを抽出します。
一見バラバラに見えるエピソードにも、汎化して整理していくことで、共通するパータンが見えてきます。

更にそこから、抽象化したジャンルに分けることで、強みや弱みを見つけ出すことができます。
ここでもグループで、互いの結果をフィードバックし合うことで、より精度の高い結果を見つけ出すことができます。

画像4

最終的に、強み弱みを見つけ出すポイントとしては、それぞれは表裏一体になっており、どちらも裏を返すと強みにも弱みにもなると言うことです。
例えば、サボり癖があるやズボラと言われてしまうような、ネガティブな面があったとしても、裏を返せば要点だけに集中できる細かいことは気にしないなど、ポジティブな面にも活きている可能性があります。

やってみて

😀よかったこと
過去の経験から、価値観、性格、志向性を知れるので、その人が目指したい目標やワークスタイルに納得感が沸くようになる。
また、強み弱みが整理できるので、専門性のあるスキル以外にも、自信を持てる軸が増える。また、些細なミスなどでは落ち込まなくなる。

🧐懸念
ワーク中は、自分の過去も曝け出すので心的安全性がとても大事。過去の感情を思い出して、少し気持ちが不安定になることもありました...
時間がかかる上に、参加者の関係性が大事なので、全員とワークを行うのは難しい(弊社の場合)

最後に

デザイナーが扱っているツール、またはフレーム等のスキルは、時代や市場の変化によって、枯れてしまうものも多くあります。
また、センスと呼ばれるのような、感覚的に養っているスキルについても、しばらく遠ざかっているうちに鈍ってしまった。なんてこともあるでしょう。
それらは、手段として使っているスキルであり、目的が変化することで不要になることもあります。
どんな手段を、どのように自分らしく使いこなすのか?そのためにも、パーソナルな部分から来る強みを見つけ出すことが、大事なことかもしれません。

↓こちらの記事もおすすめです


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?