「映画のセリフ」について自分も少し…
心撃ち抜かれちゃったのではないんだけれど――
なんとなく染み入って、いまも印象に残るセリフやシーンで思い出すのは、寅さんシリーズの第39作『男はつらいよ 寅次郎物語』。いろいろ思い悩む甥っ子・満男が、旅に出る寅さんを柴又駅まで見送った際の、別れ際のやりとりだ。
最新にして最後となった『男はつらいよ お帰り寅さん』でも振り返られていた場面。
満男 おじさん…
寅 なんだ?
満男 人間てさあ…
寅 人間? 人間(が)どうした?
満男 人間は、なんのために生きてんのかなァ。
寅 ん~な、お前…むずかしいこと聞くなァ。えぇ…? うーん…… なんて言うかなァ… ほら、「あー、生まれてきてよかったなァ」って思うことが、なんべんかあるじゃない? ね?そんために人間、生きてんじゃねぇのか?
満男 ふ~ん…
寅 そのうち、お前にもそういうときがくるよ、な。まあ、がんばれ!
公開時に見たときは、「なんべんか」ぐらいしかないもんかなァとぼんやり感じた記憶がある以外、特に撃ち抜かれも染み入りもしなかった。満男とは同世代だったが、「なんのために生きて」るかなんて気にしたこともない鈍感な日常を送っていた頃。
映画やドラマ、本、音楽、スポーツシーンetc. 年を重ねてから見返すと、リアルタイムで見たり読んだりした当時とは違った感想を抱くことは意外と多い、なんてことがわかったり、世の中や周囲の大人のことをどう見ていたか、何にイラついたりしていたかを思い出したりしつつ――
自分の子供が、このころの"満男世代"にさしかかっているほど時間がたっている現実に、ハッとする。
娘も息子も、親にこんな質問してくることはたぶんないけど…
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