『「難民」とは誰か 本質的理解のための34の論点』「難民問題」ではなく、難民の問題を考える(環境研究)
本書は、難民とは誰かを、34の論点から分析したものだ。難民とは何かをとらえる前に、強制移動についての定義を明示しておく。国際強制移動研究学会(IASFM)によると、次になる。
「難民や国内避難民(紛争による避難する人々)のほかに、自然災害もしくは環境災害、科学もしくは原子力による災害、基金や開発プロジェクトなどでの移動」
この強制移動の定義から難民に対する論点のうち、気になったものをピックアップしてみる。
1)帰ることくらい良いことはない、という神話
難民に共通するのは、自分の意思に反して、「家」を離れ、どこかに落ち着く先を求めているということである。しかし、グローバル化した世界は現在、難民は帰国をもっとも望んでいると決めつけない方がいい。
2)以前は難民と移民を分離してとらえていた。しかし、自発と強制を明確に区別することが難しなってきた。したがって、今日では、難民は複雑な移住現象の一部で、政治的、民族的、経済的、環境的、そして人権上の要因が結びつき、人々の移動につながっているととらえられている。
3)「難民問題」ではなく、難民の問題を考える
難民問題を人権擁護に結びつけ、彼らが生身の人間として存在し、生活していることを忘れてはいけない。つまり、彼らはの感情、考えを無視せず、彼らが私たちと同じ能力をもった人間で、生活の向上を望む一個の人格があることを忘れてはいけない。
地球上に住む人類に共生の概念があるのであれば、難民問題は、難民の問題としてとらえる必要があるのだろう。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。