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『イスラーム哲学の原像』 井筒俊彦さんが市民講座で講演してくれたことに感謝(人間学)

 この本はめちゃめちゃ面白く、ページをめくるのが惜しくなる。

 井筒俊彦さんにはいろいろなタイプの本がある。特に慶応大学の教授を辞め、イランに渡りイラン王立研究所に務めたが、イラン革命で日本に帰国した後の本が非常に分かりやすい。例えば、「コーランを読む」では、クルアーン「開扉」の7行が、400ページに渡り分かりやすく解説されていて、私たち日本人にとり、訳されたクルアーンそのものを読むより本質を捉えることができる。

 帰国後の本が分かりやすい理由は、その頃の井筒俊彦さんは収入がなく(井筒さんを雇う器の大学がなかった)、出版社主催の市民講座で、素人の市民にも分かるような講義で収入を得ていたからだ。(「イスラーム哲学の原像」も「コーランを読む」と市民講座のログを出版したもの)

 読むきっかけになったのは、先月行われたイラン文化センター(イラン大使館)主催のZoomセミナーで、イランのホメイニ氏の思想は神秘主義がベースにあり、イランのイスラム政治体制はその神秘主義の階層(ゼロポイントから表層まで)をマッピングしている、という事実を知ったからだ。本書はイスラーム神秘主義であるスーフィズムの修行のプロセスや老荘の「道」、大乗仏教の「真如」、禅の「無」と、スーフィズムの「実在のゼロポイント」との同一性など、目からウロコの解説だ。今までモヤモヤしていた東洋の各宗教や哲学が、イスラームのスーフィズムから眺めること(比較哲学)で霧が晴れたようにクリアになった。
 しかも、それが国家運営の基本にあることにも驚きを隠せない。

 井筒俊彦さんが市民講座で講演してくれたことに感謝!

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。