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あの日、あの時、あの場所に、僕はいた。 今、この時、ここに、僕はいる。

2週間ぐらい前、僕はカメラを手に家の近くを散歩していた。
特に何かを撮りたかったわけでも、紅葉が綺麗なスポットがあるわけでもない。

ただただなんとなく、散歩したくなった。

目的もゴールもない。なんとなく写真を撮って、見える景色を眺めて、また歩く。

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今の家に住み始めたのは僕が1歳半の頃。だから僕には前の家の記憶は断片的にしかない。今住んでいる場所の周りが僕の思い出のほとんどをしめる。

小学生の頃サッカーの試合で使った球場のそばを通る。週末になるとおじさんたちが毎週末草野球を子どもみたいな笑顔で楽しんでいた。
そんな活気にあふれていた球場も今では外野には少し背の高い草が生えている。

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小さい頃、家族で歩いた道。あの頃より影は長くなった。気づいたらこんなに長い影になった。
まだ影が小さかった頃、僕はどんな顔をしてこの道を歩いていただろう。

中学生の頃、よくわからないテンションでこの土手を友達と3人で毎日自転車で滑走した帰り道。あの頃の僕はなにを考えていたんだろう。

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釣りをするおじいちゃんにご飯をもらう猫。今日はいっぱいご飯をもらえたかい?1年前から来るようになったっておじいちゃんに聞いたよ。野良は大変だと思うけど、長生きしてくれな。

そういえば小学生の頃、野良猫を家に連れて帰って家中が大騒ぎになったっけ。そのあと、もとの場所に返しに行った。昔から猫が大好きだったな。

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気持ち良さげに泳ぐ鴨。君たちもずっといるけど、何代目のブラザーズ?それともシスターズ?あ、親子かもしれないな。

小学校への通学路で君たちが並んで歩いてる時はさすがにびっくりしたよ。
いつも水の中にいるわけじゃないんだね。

高校でそんな話ししたらどんなところに住んでるんだと総ツッコミを受けたっけ。

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ずっとずっと先まで続いてる道。
「トトロにあえるかなー」「中トトロと小トトロは?」って言ってたあの日。足元がまだまだおぼつかなかったあの日。

大人になった今はもうこの先がどこに続いているのかも知っている。
「いつかトトロに会えないかなあ」なんて今でも思う。どこに続いているのかわかってるのにね。

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日も暮れてきたし、そろそろ帰ろうかな。
門限が決まってたの嫌だったな。夏は6時半、冬は5時半だっけ。「もっともっと遊びたい」そんな気持ちでいつもいっぱいっだった。

大人になったら門限なんてない。「遊びたい」なんて気持ちもどこかに置いてきてしまったのかもしれない。

取り戻せるかな。あの日、あの時、一秒一秒に真剣だった僕自身。

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今の僕。鏡の中の僕。

週末は草野球で賑わっていた球場。
家族で歩いたあの道。
ご飯をもらいにきた猫。
気持ち良さげに泳ぐ鴨。
トトロに会える気がした獣道。
「遊びたい」気持ちでいっぱいだったあの日。

大切な思い出がひとつひとつ。うれしかったことも、かなしかったことも。
僕らはそうやって大人になっていく。
時には思い出を糧にしながら、時には思い出を忘れたいと願いながら。

あの日、あの時、あの場所に、僕はいた。
そして、今、この時、ここに、僕はいる。

代わり映えのない毎日だけど、生きていこうな。今の僕。

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