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暖色のメニュー

味噌汁の具はキャベツがいい。春物がいいだなんて、贅沢は聞かない。食べやすいサイズに切り刻んで、十分な量の水に浸して、くたくたに煮てしまえ。

他の具材と一緒に、跡形もなくとけ合えば、やわらかなハーモニーを奏でる。淡くなれば淡くなるほど、優しくなる。ついでにたまごもといて、入れてしまえ。

どれも、スーパーに行けば手に入る。両手に収まるだけの量で一日。手に余るまで、買ってしまえ。

お気に入り過ぎて、他のことが手につかなくなったら、いつか舞台でみた、夕焼け色の劇のように、薄らいでゆくがままに、さめざめと泣いてしまえ。

美味しいものはしばらくおあずけ。断食にしてしまえって、言われてる。

次に鍋に入れてやろうと、ベランダで育つのは、エッグプラントで、その名を「なす」という。

いっそのこと、いってしまえばいいのに。



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