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【読書】犯罪者 太田愛


前に読んだ幻夏の前編みたいな小説。本当はこちを読んでから幻夏を読めばよかったのだが,逆に読んでしまった。またこの本はとんでもなく長い。しかも必然性があって長いわけではなく,エサを撒き過ぎて収拾がつかない感じ。悪く言えば冗長…。そうは言ってもとんでもなく面白いので(笑),「長いなぁ」とか文句言いつつ,ハラハラドキドキしながら読み続ける感じ。

いきなり東京の駅前広場で5人がフルフェイスの暴漢に襲われ4人は即死,1名は何とか生き延びるが重傷。その生き延びた1名は幻夏に出てくる探偵の部下の若者,その若者を保護する感じで探偵に預けるのが幻夏の警官という事で,この関係がわかって幻夏を読むと面白いと思う。

この通り魔的犯行の犯人は実行する前に覚せい剤で正気を無くしていたという事で,実行後に再度大量の薬物を服用し,死んだ状態で身柄を確保され,被害者の親族は泣き寝入りするしかないのか…と思っていたら…。その唯一生き延びた若者を再度殺そうとする人間が現れ,その若者は「通り魔は死んでない,間違いなく生きていて自分を殺しに来る」と確信。そうなると5人が襲われたのは,何か必然性があって殺さなければならなかったのだという結論になるのだが,どう考えても共通点が見いだせない。

この話と並行して,子供の顔面が崩壊する難病が一瞬流行,その原因は農薬という事がわかったが,被害者の子供がどうやってその農薬を口にしたかがわからない。そんな中ある食品会社が幼稚園に離乳食のサンプルをまいていたのと発病に関連があるのでは…と気づいた食品会社の幹部が,政治家を使って完全隠蔽に動く。その食品会社と被害者5人を結び付けるものは何なのか…。

とにかく色々な話がまじりあい,結果的に巨悪が暴かれるという流れになるのだが,子供の顔面崩壊というのが納得できない。いくらエンタメでもこれはないだろうという想いが強い。作者は何を狙ってこのような架空の病気を作り出したのか。別に腹痛でも良かったのではないのか(笑)。 とにかく私は子供を殺すとか顔面崩壊するなどのグロはあまり好まない。

面白いけど,本当に相当長いので気合い入れて読んでください。

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