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問題の解答を公開 vol1

はじめに

今まで様々な記事を書いてきましたが、多くの記事には最後に関連した問題を出題してきました。
今日は、その解答を一部公開しようと思います。
簡単な解説も載せているので是非読んでみてください!

見出しはこれまでの記事の題名です。
もしよければ改めて見直してみてください。

こんな人は必読

・今まで1つでも記事を読んでいただいた方
・医師の雑学を知りたい方
・間を持たせる小話が欲しい方
・医療従事者を目指す学生さん

医師は本当に忙しい?vol 1

【問題】
『手術終了』から『集中治療室でカンファレンス』まで約30分ありますが、それは何の時間でしょうか。

【正解】
手術終了後の確認のレントゲンを撮ったり、患者さんを麻酔から覚ます時間です。

【解説】
手術が終わると、手術後に問題がないかレントゲンを撮ることが多いです。

最もわかりやすい例は、体の中にガーゼの置き忘れがないか、でしょうか。
もちろん、手術中に使用した枚数が終了時に手元にあるかは、全て確認しています。
1枚でも数が合わなければ手術を中断してでもガーゼを探します。
本当の意味で最終確認として、レントゲンで確認します。

また傷を閉じる前に、ドレーンという管を入れます。
これは術後の経過を見たり、合併症予防という意味で非常に重要なものです。
このドレーンの位置が適切なのかを確認するには、レントゲン撮影が必要です。

そして、麻酔で眠ってしまっている患者さんが目を覚ますのを待ちます。

手術が終わる時間を見計らって、麻酔の薬が切れるように、麻酔科の先生が手術中に薬を調整してくれているのです。

麻酔科の先生の腕の見せ所でもあります。

逆に、手術は終わったのに、患者さんがなかなか目を覚まさないと、気まずい空気が流れます。。。
私も研修医として麻酔をかけている立場の時、薬の量の調整が下手くそで、やってしまったことがあります。

男子学生は注意!

【問題】
ブラが原因の気胸、根本的に治療するにはどうしたら良いでしょうか?

【解答】
手術でブラを取り除きます。

【解説】
肺が破れる原因となるブラは自然には無くなりません。
つまり、ブラがあると分かれば、気胸になるリスクを一生抱えることになります。

気胸になるリスクを拭うには、ブラを切除することが一番の解決方法になります。
つまり、手術ですね。

ただし、ブラを切るだけでは、肺に大きな穴が開いてしまうので、切り取った場所はしっかりと縫い閉じる必要があります。

昔は全部手で縫っていたようですが、今は肺を切りながら自動で縫ってくれる、便利な機械があります。
そうですね、楽させてもらっています。

ちなみに、ブラがあるだけでは手術適応になりません。
ブラがあって、1回気胸になってしまった人は今後の予防のために手術をしても良い、2回気胸になってしまった人は必ず手術をしましょう、といった具合です。

『盲腸』は病気じゃない!?

【問題】
盲腸と同じように、本当は正しい病名ではない『風邪』と呼ばれる病気。
軽い咳や熱が出て病院に行き、風邪ですね、と診断された時、医師はどういう病名で記録しているのでしょうか?

【解答】
急性上気道炎

【解説】
急性、とは短い期間、という意味ですね。
対になる言葉は慢性、これはダラダラと長く続く、という意味です。

慢性がつく病気で一般的なものは、慢性副鼻腔炎でしょうか。
これは3ヶ月以上続く鼻の炎症、つまり鼻づまりを表しています。

上気道とは空気の通り道の中で、口から喉までの間を意味します。
対になる言葉は下気道、これは喉より奥の空気の通り道、つまり気管から肺までのことを意味します。

ということで、風邪を意味する急性上気道炎とは、短い期間に生じる喉の炎症、ということになります。

知って得しない!?【それでも聞いてみたい手術の裏話】

【問題】
手術中に尿意を催してしまった時、外科医はどうするのでしょうか?

【解答】
トイレに行きます。

【解説】
手術中に尿意を催すことはあまりありません。
外科医は手術時間を予想して、手術前の水分摂取量をある程度調整しています。

さらに、手術中はアドレナリン全開で集中している状態なので、尿意を感じることはほとんどありません。

それでもトイレに行きたくなることはあります。
そんな時は、トイレに行くしかないですね。

清潔野と言われる手術の現場から、手を下ろして、トイレに行って、再度手術のための手洗い(ドラマで見るような手洗い)をして手術の清潔野に戻ります。

手洗いして、手術野に戻るのに5分はかかります。
普段の5分は短いかもしれませんが、手術中の5分は非常に大事な5分です。

昔の先生には、術中に尿瓶を当ててもらって凌いだ、、という逸話をもつ先生もいますが。。。。

【思い出の症例】~気胸になっても全力で恋愛編~

【問題】
気胸の治療として最も一般的な脱気チューブ。
今回のような胸に貼り付けるタイプも含め、チューブの種類はいくつかありますが、基本的に原理は同じです。
それでは、どうなったら佐藤君のようにチューブが抜けるのでしょうか。
つまり、どうなったら気胸が治ったと判断できるのでしょうか。

【解答】
チューブから空気が出てこなくなったら、気胸が治ったと判断する。

【解説】
気胸とは、肺に穴が開く病気でしたね。
ということは、口から吸った空気が肺に入り、肺に入った空気が穴から肺の外に漏れ出てしまうのです。

ということでこの脱気チューブは、肺の外に漏れ出た空気を回収するために留置するのです。
肺に穴が開いている間は、呼吸をする度に(肺に空気が入る度に)空気が漏れます。

空気が漏れるということは、呼吸をする度にチューブから空気が出て来るのです。

では、、肺の穴が塞がったら?

そうです。
呼吸してもチューブから空気が出てこないんです。

そうなった時、肺の穴が塞がったと判断し、チューブを抜去しましょう、という方針になるのです。

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