見出し画像

病院ではなく医師で選ぶ時代が来る!?

不幸にも、、、
あなたが、もしくは御家族が
町のクリニックでレントゲンを撮ったら肺に影が。

肺癌疑いです。。。。。
手術を視野に入れて総合病院を受診しましょう。

こんなこと言われたら
あなたはどうしますか?

予想されるのは2パターン。

①クリニックの先生が紹介してくれる病院を受診する

②肺癌治療で有名な病院を探す

本記事に対して誤解のないように断言しておきますが、
①も②も正しい選択です。

今日お話ししたい結論は
③の選択肢として、肺癌治療の専門医の中からご自身の希望にあった医師を選ぶ、というものはいかがですか?
ということです。

こんな人は必読

・治療目的で病院の選択を経験したことがある人
・体調が悪い時、病院を検索する人
・病院選びに興味がない人
・医師の働き方に興味がある人

病院の選択

冒頭のような状況は、私たち医療者にとっては珍しい話ではありません。
(元気なみなさんにとっては珍しい話ですよね。)

大学病院や総合病院で勤務していると、多くの患者さんは他院から紹介されて受診します。

では、なぜ紹介先がそこの病院なのか。

考えられる理由としては

・紹介元の先生に勧められた
・最寄りの大きい病院だった
・ここの病院が良いと患者さんが希望した

また、大都市であれば病院の選択肢は多数あるかもしれませんが、住んでいる場所によっては限られた選択肢(もしくは唯一)しかないことも考えられます。

どの選択肢も異なるように見えますが、共通する点が1つあります。
それは『病院』を選択していることです。

当たり前じゃないか!
何を言ってるんだ!

そんな声が聞こえてきます。

それでは、こんな世界があるのはご存知でしょうか?

医師の選択

美容医療ってご存知ですよね?

もっと綺麗になりたい。
カッコ良く生まれ変わりたい。
二重にしたい。
鼻を高くしたい。
脂肪を手早く取りたい。
etc….

美容皮膚科、美容外科などで行う医療行為。
手術がイメージしやすいですが、それだけではなく、肌質改善、ヒアルロン酸注入、ボトックス治療、超音波を用いたリフトアップ、などなど、現在は多種多様な選択肢があります。

一昔前では『整形』と呼ばれたかもしれません。
今では美容医療は一般化し、女性に限らず男性も受けるものとなりました。
従来のように『整形』と呼ぶ人は、ほとんどいないのではないでしょうか。

この美容医療の世界では、患者さんはどうやって自分の受診先を選択しているのか?

実は『病院』で選ぶのではなく、『医師』で選ぶ人が多いのです。

どういうことか?

〇〇美容外科、□□クリニック、などの有名大手を受診すれば安心。だから敢えて医師までは検索しない。
という人もいます。

ですが、
絶対にこの先生に診察してもらいたい!
という人が多く存在するのです。

美容医療の先生方は、ご自身の施術した結果(いわゆる患者さんの before / after )をSNSで数多く発信しています。

私ならこんな治療をします。
私はこんな綺麗な二重を作れます。
私が施術すればヒアルロン酸だけでこんなに変われます。

と言うように、自身の技術を公開しているのです。

美容医療を受けようと考えている人は、そんな先生方のSNSを日常的にチェックし、自分にあった先生を探します。
技術はもちろん、人柄も含めて、どの先生に診療してもらいたいのか、自分で選択するのです。

医師の働き方とは?

それでは先の肺癌の話に戻ります。

病院を検索。
この病院の先生はすごく口コミが良いな。
よし、じゃあここにしよう。

それ、いつの情報ですか?
病院にはずっと同じ医師がいると思っていませんか?

もちろんそのような病院もあります。
ですが、多くの病院では2−3年毎に医師が変わることは珍しくありません。

なぜか?
それは、多くの病院が大学の医局と繋がっているから。

医局とは不思議な制度です。(詳しくはまた今度お話しします)
1つの会社だと思ってください。

例えばA大学の呼吸器外科医局。
呼吸器外科とは、肺癌の手術治療を主に担う先生方です。

A大学の呼吸器外科医局には20名の先生がいるとします。
この20名全員が大学病院で働いているのか?

否。

実際に大学病院で働いているのは数名で、その他の先生方は関連病院と呼ばれる大学以外の総合病院で働いています。
そして、2−3年毎に多くのメンバーを入れ替えるのです(ローテーションと呼びます)。

だから、去年まで大学病院にいた佐藤先生は、翌年には〇〇市立病院にいたりましす。

私の言わんとすることが見えてきましたか?

もちろん、診療科の責任者や部長など、半永続的に1つの病院に留まる先生もいます。
医局には属さず、その病院で働き続ける先生もいます。
ですが、5年10年と全く同じメンバーで構成されている病院はまずないでしょう。

医師で選ぶことの意味

教授や部長と呼ばれる有名な先生方を頼って、その病院を受診することもあるでしょう。

では、その先生方が本当に手術が上手なのか?
疑って考えたことはありますか?

外科医の中には、一般的レベル(安全に手術が完遂できるレベル)と比較して、特別に手術が上手な先生がいます。

外科医の中には、カメラを用いた鏡視下手術を得意とする先生もいれば、ロボット手術を得意とする先生もいます。

内科医の中には、なんでも相談できる聞き上手な先生や患者さんに寄り添ってくれる先生もいれば、対照的にドライで事務的な先生もいます。

主治医を選べるなら、どんな医師が良いですか?
そんなことを考えて、自分の受診先を選んでいますか?

とは言っても、そんな情報はほとんど公開されていません。
一番確実なのは、医療者から直接聞くことでしょう。

あの先生は愛想はないけど手術は上手。
治療方針の希望を親身になって聞いてくれる。
などの良い情報や

入院しても忙しくて病室には全然来てくれない。
わからないことがあっても怖くて聞けない。
などの悪い情報も含めて。

こんな未来が理想?

美容医療の分野では、医師の情報を収集する手段があります。
だから患者さんは積極的に情報を集め、自分の身体を任せる先生を選ぶのでしょう。

ただ、保険診療(一概『保険診療』と括るのは正しくないですが)の分野では、まだまだそれができません。

僕の長年お世話になっている上司には、一際手術が上手な先生がいます。
上手、と言うのは単純に器用、と言うだけではなく、患者さん個人にあった治療を正確に見極め、1つ1つの手術に対して入念な準備をして最善を尽くすことができる、と言う意味も含みます。

自分が患者だったら、この先生に診てもらいたい。
心からそう思います。

ですが、患者さんにはそれが伝わらない。
それが非常に悔しいです。

日本の医療の風潮が変わって、どの病院に治療を任せるか、ではなく、どの先生に治療を任せるか、が当たり前になる未来が来ると良いな、と思っています。

最後に問題です。

先にも述べたように、大学の医局とは、会社のような存在です。社長に当たるのが教授ですね。

それでは、医局に入るには、どうしたら良いと思いますか?難解な試験や厳しい面接があるのでしょうか?

医師の世界って面白いですよー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?