オッペンハイマー

重たかった。
3時間でいろんなことを詰め込んだのだなと
途中までは、日本人やドイツ人は一体どういう気持ちでこの映画を見ろというんだ、と憤ってた正直。
ふざけんじゃないよと。
あんたたち(=アメリカの政治家)が選定する都市にはどこも人が住んで、生きてるんだよ。
戦争を終わらせるために、なんて、ほんとかよ、
もう日本に勝てる見込みはないのわかってたのに
威力の提示とダメ押しの2発?

本当に、こんなに胸糞悪い映画かよ、って正直思った。途中まで結構嫌悪感強めに思ってた。
改めて、小さい時から聞かされているように、私たち日本人は、日本は世界で唯一の被爆国ということを、忘れてはいけないんだって思った。
そして、この人類の叡智であろう物理科学の集大成が、どうして凶悪な武器・兵器になってしまうものなんだろうと、悲しくなった。

後半は、オッペンハイマーは一体どうすれば良かったんだろう、と、苦しくなった。
科学者と政治家、軍人。科学者は本当に利用されただけなんだろうか。
最近ファインマンの自伝の本を読んでいることもあって、全然遠い話じゃないような気がして。彼の本にもロスアラモスや戦争のことが出てきた。
共産主義に、ナチス。冷戦。
さらなる兵器に水爆。どちらかが脅威を作ると、それを超える脅威をどこかが作ることになる。軍縮はできなくて、軍拡になる。

科学者は何のためにいるんだろう。
賢い人類の極みみたいな人たちが、行き着く先は、どこなんだろう。
彼ら、彼女らの結晶を利用する政治家たちが腐ってたら、恐ろしいことになる。(残念ながら、かもしれないと思いつつ、)そういう人たちが国の舵を握っているから。
いつどこの時代にも、自尊心や虚栄心や嫉妬、そういうのに負けてしまう存在はいる。

なんか、、、かなり大きいスケールのことで映画の中のこと、と思ってしまいがちだけど、きっとフィクションではないはずで、そしてたかだか数十年前に実際に起きていたことで。待って、その時代に祖父母は生きていた。とか思うと、歴史でもなんでもないくらいの感覚。

10数年前とはいえ、アメリカに住んでいた自分は、とんでもない国に住んでいたのかなとさえ思ってしまった。よくもまぁ、ポワポワと、毎日幸せ〜と思って住んでいた。この映画を見ていて、自分にとって一番身近な外国の一つであるアメリカという国は、一番疎ましい国だったっけ、と曲解したくなるような箇所も多かったけれど、見て良かったかと言われたら、私は見て良かった。
日本人としては、辛いしほんとやるせないけれど、むしろ見るべきなのかもしれない。
どんな感想を抱こうとも、そういう事実があったことに触れ、私たちはその世界の未来を生きていること、忘れるべきでないことがあったことを改めて受け入れ、そして色々感じて、考えて、調べてみて、という一連のことが、この映画という存在が自分たちに与えてくれることなんじゃないかなと思う。

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