見出し画像

門脇麦主演!映画『ほつれる』人とのつながり、自身の在り方を問う女性の生きざま

今回はkayserが紹介します。
演劇界で注目の演出家・加藤拓也。イタリア留学後に劇団「た組」を立ち上げ、第30回読売演劇大賞優秀演出家賞や第67回岸田國士戯曲賞を受賞するなど高い評価を得ている若手演出家です。

筆者も非常に注目しているクリエイターのひとりで、劇場長編映画初監督作『わたし達はおとな』については、当サイトでも紹介記事を上げました。

そんな加藤拓也が、映画第2弾『ほつれる』を監督。門脇麦を主演に迎え、人とのつながりや自身の在り方などを見つめる女性の揺れる心情を描いています。今回は映画『ほつれる』について紹介します。

映画『ほつれる』

映画『ほつれる』は、演劇界で注目の若手演出家・加藤拓也が監督を手掛けた長編映画第2作目となる作品です。第1作目の『わたし達はおとな』は、木竜麻生を主演に20代の若者たちの恋愛模様を描いていました。

本作『ほつれる』では、すれ違う夫婦間、妻とその恋人、そして周囲の人々との人間模様を浮き彫りにしていきます。

妻の恋人のある出来事がきっかけで、ほつれていく彼女の思い。人と人とのつながり、自身の在り方などに心揺れる主人公を丁寧に描いています。本作は、加藤の劇団で上演した舞台作品『綿子はもつれる』がベースとなった作品です。

加藤作品の特徴でもあるオリジナルの独特なセリフ回し。本作でも非常に印象に残るものとなっています。

シーンごとの言葉選びが秀逸で、夫婦間の会話の中でも、なんとも言えない気分になるさまざまなセリフが飛び出してきます。ここが加藤作品のみどころのひとつとなっています。

門脇麦を堪能できる作品

本作の主人公、綿子を演じるのは、映画『愛の渦』などで知られる門脇麦。多くの映画、ドラマ作品と出演作が続いており、高い評価を受けています。

主演のみならず、脇の役柄でも存在感を放っており、唯一無二の存在でもいうべき俳優。30歳を過ぎ、また一段と魅力を増しており、本作はそんな彼女を思いっきり堪能するための作品といっても過言ではありません。

多くを語らずとも、そこに存在するだけで作品が成立してしまう。本作は、そんな彼女を持つ底力を感じる作品となっています。

綿子は、自身の気持ちに向き合わずにきてしまった女性。見ないふりをしてきた分、あることを境に、自身の在り方と向き合わざるを得なくなります。そんな繊細な女性の心を丁寧に演じている門脇の演技を思う存分、楽しめます。

実力派俳優陣演じる人間模様

門脇麦が素晴らしいことはもちろんですが、脇を固める俳優陣の豪華なこと。綿子の夫・文則を演じる田村健太郎は、加藤作品の常連。本作のベースとなった舞台『綿子はもつれる』にも出演しています。

また綿子の恋人・木村を演じるのは、染谷将太。佇まいだけでも画になってしまう貴重な存在の俳優です。加藤の世界観を見事に演じきっていました。

そして、綿子の親友・英梨を演じる黒木華。文句なしのキャスティング。
綿子にとっては、現実の世界に一番近い存在。主婦として生活している英梨は、夫とのすれ違いと恋人の間を生きる綿子とは対照的な存在としても描かれています。

黒木華は、加藤の舞台作品に出演経験が。また仕事をしたかったとのことで、出演を快諾したそうです。

本作で特に注目すべきは田村健太郎染谷や黒木は映画の世界では当たり前の存在ですが、田村健太郎の芝居が非常によかったので、今後、注目していきたい俳優だと感じました。

まとめ

前作は木竜麻生を観たく、劇場に足を運んだところ、加藤作品にすっかりやられてしまいました。本作はさらに門脇麦主演とあるならば、これは絶対に観なければ!と劇場に。

一度観たらまた観たくなる、次はどんな感じの作品になるのか。それが加藤作品の魅力。正直、爽快感のある作品では全くありません。でも、なんとも言えない独特の世界観を観たいと思ってしまうのです。

さて、次は何をみせてくれるのやら。次回作も期待大ですね。

kayser

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?