怪談2

小学2年の夏の話

私は友人たちといつものように集まり、なんの変哲もない近所の公園でボール遊びや遊具で鬼ごっこなどして遊んでいた。

園内の時計の針を見上げると夕方5時半、そろそろ帰らないと親に叱られると分かっているがまだまだ遊び足りない、気ままに遊べる夏休みくらい多少遅くなってもいいだろ、そんな風に考えていた。
ただ夏休みの宿題はまだまだ残っていたので子供心に焦燥感も漂っていた、そんな夏の終わりに後ろ髪を引かれる想いで夏を満喫していた。

6時前になり辺りも随分と暗くなった、本当にそろそろ帰らないとな・・・誰か帰ろうって言い出さないかな?と思っていた。

するとグループのリーダー的なA君が「みんな~そろそろオレ帰るわ~」すると周りも「お~じゃあオレも帰る~」

それぞれが自転車に乗って帰ろうとしだしたので、自分も・・・と思い自転車を置いた場所へ向かうと、そこには自転車がなかったのだ。

辺りをウロウロしつつ、「オレの自転車なくなった・・・」何故かこの一言を言えず、何事も無かったように歩いて帰るふりをした。

それぞれが急いで帰る様子だったので、いちいち他人の自転車がないことなど子供は気づかなかったのだろう、だれも気づかずに「バイバーイ」と帰っていった。

薄暗い公園には私独り
というかもうとっくに真っ暗じゃないか

すこし怖かった

怖くなったせいか自然と小便をしたくなった

公園には公衆便所がなかった
あったのはボックス型の汚いボットン便所だった
もちろん中に明かりがある様子などない

自転車もない、おしっこも漏れそう
私は怖くて怖くて泣きそうになりながらも我慢できずに真っ暗なボックス便所のドアを少しだけゆっくりと開けた

「ギィイイっ!」
嫌ぁな音がした
気味が悪い
やっぱり入りたくない
別に外で立ちションでもいいんじゃないか?とも思ったが気づけば大便も催していた

(ああ・・・なんてこったい、なんでこんな時に限って大なんだ・・)
自分を恨んだ

ドアを完全に開けると公園内の街灯がうっすらと当たり、中が見えた。
もちろんちり紙など無い

あるのはピンクチラシのティッシュ袋と汚物の残骸

しかし我慢の限界だった
怖かったのでドアは開けたまま、急いでズボンを下ろして真っ暗なぼっとん便所に座った

ん!・・・うぅ・・・ん・・・!
なんだなんだ!?気張っても気張っても出ないじゃないか!!

「はぁ・・・」
(何やってんだオレは・・・)
怖いし出んしチャリンコ無いし、最悪じゃないか・・・

大便の波も消えかけ、なにやら気分が落ち着いたときだった

どこかから目線を感じるような気がした・・・

ふと上に目をやると・・・・


ギョロっとした何かと目が合った

一瞬なんなのかまったく分からなかったが、すぐにそれが何なのか気付いた

知らない男がボックスの上にスパイダーマンの如く張り付いてこっちを見ていたのだ


あまりの衝撃に私はズボンも上げず
「うわあああああああああっっ!!!」
と叫び
ヨタヨタとしながらボックスから必死に逃げ出した

公園を出て、自転車のことも忘れ必死になって走った


とにかく明かりのある方へある方へ、こんなに必死に走って逃げたのは人生で初めてだった

気がつくとスーパーマーケットの前だった
ひと気もあり、やっと気分が落ち着いた

そのとき私は思い出した

自分の自転車は友達の家に置いてきた
公園へは友達の自転車でふざけて二人乗りしてきたんだと


ちなみにその不審者は夏休み明けにさっそく朝礼で校長が話していた
私は被害者だったけど、そんな話を周りに知られたくなかったのでずっと黙っていた。



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