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尊い犠牲の前に

精神科病棟というところは、いまだにネガティヴなイメージで捉えられることが多い診療科。

とくに入院病棟(閉鎖病棟)ともなりますと、一般の人々には刑務所並みの厳重なカギのロックなど、大変閉鎖的な印象が強いのでは、と思います。

ですが、昭和と令和では閉鎖病棟は大違いでして、かつてと比べるとかなり内部は開放的になっています。

いちばん大きいのは閉鎖病棟に入る患者の病院に対する信頼がかつての精神病院とは大違いであること。

昭和の頃は一度入院すると退院がかなり難しく、閉鎖病棟の入院患者のなかには20年、30年の入院キャリアを持つ患者すらおられました。

平成に入って目覚ましく進歩を遂げた精神薬の開発も、昭和の当時はいまとは別物、と言っていいほど性能の悪いものでした。

少なくとも良い薬ではありませんでしたし、当時の薬は強い鎮静作用を伴いましたので、服用するとあまりの眠さにベッドから起き上がれない等という患者も多くおられたのです。

患者の心理から言えば、病院から出たくて出たくてそれこそ、「発狂」しそうになるのをこらえるか、そうでなければ人生をあきらめて一生を閉ざされた狭い病棟で人生を終えていくかという選択肢しかありませんでした😡。

精神科では退院の可否はいっさい伏せられますし、医師に聴いても「良くなったらいつでも退院の許可を出します。いつでもです」と言うばかりで、そのいつか下りるであろう許可を心の支えとしたとしても、それが現実になるか、いつになるのか わからないまま何年、何十年と時間が過ぎて行く。

そういう意味では精神科というところは極めて残酷な側面があったわけです。

しかし、いまは改良に改良を重ねた良い薬と、スマートフォンの持ち込みすら許可する病院がある時代です。

サブスクで弁護士を頼んでから入院する患者も増えてますし、「患者擁護」の観点やサービスが充実している現在は理不尽な長期入院(退院できない)があった頃とは隔世の感があります。

冷たい病院を枕に死んでいった英霊のみなさまに哀悼の意を表します。

どうか我々をお赦しください。

あなた方の尊い犠牲こそ、日本精神科医療の歴史なのですから😢。

ぜひサポートしてください。よろしくお願いいたします🙇‍♂