やる気を科学する ~精神力の正体は技術力~


今日は「モチベーションのコントロール」について書いていきます。実はこのテーマについては5、6年前にブログをやっていた頃に一度書いたことがあるんですが、そこから色々更新もあったので改めて掘り下げていこうと思います。

まず誰しもがやらなくてはいけないことがあるのに、やる気が出ずに落ち込んだ経験があると思います。例えば仕事で簿記が必要なのに毎日勉強が続かないとか、仕事のための読書をしたいけど家帰ると疲れて寝てしまうとか。


そして結構多くの人がこの原因を「自分の精神力の弱さ」だと考えている気がします。僕自身も以前はそう考えていました。

しかし、「やる気を出すってのはどういうことなのか?」「集中はどうやって作られるのか?」「イチローや本田圭佑のように鋼の精神を持っているように見える人と自分の違いは何なのか?」「そもそも精神力って何なのか?」などモチベーションコントロールの本質について考えた結果、ある結論にたどり着きました。それは

「精神力とは体得できる”技術”である!」

ということです。どうやってこの結論にたどり着いたかというと、自分のやる気が出なかった時に「その時の気分」、「どういう理由でやりたくないか」、「どういう環境で作業をすると気が散るか」、「どういうスケジューリングだと上手くいかないか」などを事細かに記録してみたのです。そして逆にうまくやる気が出たときはどういう状態だったかも細かく記録しました。

そうするとやる気のあるなしにはあるパターンがあって、やる気の漏れどころさえうまく対処すれば機械的にやる気が湧いてくることが分かったのです。これは囲碁や将棋の定石(決まった対処の仕方)みたいなものだと思います。色んなやる気漏れのパターンを理解し、それに対処する「技術」を磨いていけば誰でも自在にモチベーションをコントロールできるということなのです。

ということで、これから「精神力」の本質と「やる気漏れ」の具体的な対処法について書いていきます。これさえ押さえれば大抵のやる気問題は解決すると思っています。


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 まず初めに「精神力」とは何かについて定義をしておきます。今回の文脈での「精神力」の定義は、目標を達成するための”モチベーションを維持する力”のこととします。

例えば僕が好きな本田圭佑の例でいえば、世界一のサッカー選手になるという大きな夢があって、その中間ステップとして「1試合走り切る体力をつける」という目標がある。この目標を達成するためのトレーニングでモチベーションを保つ力が「精神力」です。

また別の例でいえば、会社員が出世したいという大きな目標があったとして、その中間ステップで「簿記1級をとる」という短期目標を設定する。この短期目標を達成するために必要な勉強をし続ける意志力を「精神力」と呼びます。

しかしいざ簿記1級を取ろうと思っても、中々やる気を維持できない。仕事後家で勉強しようとするとすぐ眠くなってしまうし、朝やろうとしても起きられず結局勉強習慣が作れない。土日こそ勉強しようと思って机に座るけど、30分もすると漫画を読み始めてしまう。そして「自分にもっと精神力があれば。。。」と落ち込むのが誰にでもあるパターンだと思います。

じゃあどうしたらいいか??

それはこの問題の本質さえ押さえればいいと思うのです。


ずばり、やる気維持の本質は、


「如何に脳を邪魔な思考から守って、目標達成だけに専念させるか」


ということです。(これを上手くできる人を精神力が強い人という。)


  ここでポイントになるのが人間の脳が民主制でできているということなんです。これは例えですが、脳みそは国会みたいなもので常に脳内小人の多数決で自分の取る行動が決まっています。脳内小人の意見がばらばらの時は決断や行動が遅くなるし、逆にみんな同じ意見のときは早く効率的な行動ができます。

なのでこの本質を押さえると、僕たちが目標を達成するために意識すべきなのは、


①行動に確信が持てるか。

②邪魔がないか。

の2つだけだと思います。行動に確信が持てている状態は、脳内小人がみんな同じ意見をもっている状態です。つまり「行動に確信が持てる=1つの目標に脳の100%の力を注げる=モチベーションを保てる」ということ。また、邪魔がない状態っていうのは、気が散る環境や余計なタスクで脳内小人があっちこっちに向いてしまうことを避けるという意味です。取り組む環境・肉体面・脳におけるノイズを取り除くことが、モチベーションの維持に直結するのです。

ということでこの2つのポイントを押さえるために、自分に問いかけるべき5つの質問があると僕は結論付けました。(考える順番が分かりやすいように図を作ってみた。)①②③の質問は自分の行動に確信が持ててるかを問う質問。④⑤の質問は邪魔がないかを問う質問。①から⑤の順番に重要度が高くなってるので、矢印の順に自分に問いかけていくと、この本質を押さえることができるようになっています。

画像1


じゃあ例としてさっきの簿記の話を使って、この図の使い方を説明してみましょう。

(1)「正しい目標か?」

まず出世をしたいという大きい目標がこの図でいう①にあたります。ここで自分に問いかけるべきは、「自分は本当に出世したいのか?」ということ。意外とここに確信が持てないパターンが多いと思います。周りが目指しているからとりあえずそう言っているだけで、もしかしたら本当は「出世はしなくていいから、必要なだけのお金を稼ぎつつ家族との時間を一番大切にしたい」というのが本当の目標かもしれない。そうするとそもそも簿記1級をとる必要がなかったなんて結論になるかもしれない。ということで大きな目標に確信を持つというのが一番重要なステップ。


(2)「正しいステップか?」

大きな目標に確信が持てたら、次に「簿記1級を取得する」という目標が出世する上で正しいステップかを確認します。例えば目の前の仕事が回せていなくて、そっちのレベルアップの方が出世する上で重要かもしれない。もし簿記よりも英語力のほうが重要だったら英語の勉強をしたほうがいいかもしれない。大きな目標を達成するうえで、この短期目標が他に優先して必要だと確信するというのが2番目のステップ。この納得感がやる気に直結します。

(3)「正しい計画か?」

短期目標にも確信が持てたら、次は適切な計画を立てる段階。計画を立てるにあたっては計画の質と量の調整がとても大事だと思います。まず質に関していえば「とりあえず簿記のテキストを3周しよう」みたいなアバウトな計画では、自分の行動に確信が持てません。自分は現段階でここが苦手だからこの分野の参考書を読んで、半月後までにこの分野の模擬テストで8割取れるようにしようくらい具体的かつ納得感のある計画を立てるべきです。計画の質はやる気に直結します。(僕自身は計画が1番大事だと思うので2日間くらいは色々下調べして計画の内容を練るのに使っています。)

さらに計画の内容が決まったら、自分の実力にあった勉強量を調整しないといけません。一日3時間しか勉強時間を取れないのに、5時間分のタスクを自分に課したら計画がどんどん遅延していって自信もどんどん失ってしまいます。むしろ最初は3時間取れるなら1時間でできるくらいの量を割り当てて、ちょっとずつ勉強量を増やしていくべきです。適切な量を設定して自信を養っていくのが計画を立てる上でのポイントです。計画の適切な量配分がやる気に直結します。(僕は何でも初めは30分くらいしか集中がもたないので、最初のハードルをかなり低くしています。)


以上3つが自分の行動に確信をもつ段階でした。納得感を持ってやるのがモチベーションを維持するうえで一番大事だと思うので、僕は何かやる気の漏れを感じたらすぐにこの3つの質問に戻るようにしています。


次は集中の邪魔になる要素を排除する段階。ここからは結構テクニック的な要素が強いです。

(4)「環境は整っているか?」

まず環境面について。まず今回の簿記の例でいえば、勉強環境を整えることがとても大切です。例えば、自分の家の勉強机の上が散らかっていたり、家族がしょっちゅう声をかけてくるような環境だと、気が散ってしまいモチベーションの低下に繋がってしまいます。また必要な参考書が揃っていなかったりすると、その都度集中が途切れてしまいます。なので余計なものを片づけたり、図書館で勉強したり、必要な道具を揃えるなどの工夫をして勉強環境を整えるのがやる気維持に直結します。

(5)「肉体は万全か?」

最後に肉体面について。これは体調や脳みそのコンディションが、やる気に大きく影響するということです。人体や脳のメカニズムを知っているだけで集中力が格段に上がるのでいくつか大切な技を紹介します。

肉体面の不調の中でやる気漏れの一番の原因になるのが、脳疲労と肉体疲労です。これらを順番に説明します。まず脳疲労には大きく分けて、1「決断疲れ」と2「過活動(ノイズ)」があります。

1の「決断疲れ」は人間の脳は一日に決断できる量が決まっているというものです。(何かを決断するのはとてもエネルギーを使う。)なのでできるだけ行動を「しくみ化(習慣化)」して決断の量を減らして、脳への負担を減らすのが大切。例えば簿記の勉強を毎朝仕事前の1時間でやるとしたら、まず起きるということを決断なしでできるようにする。最初の頃は勉強までしなくていいから、起きることを習慣化してそれを当たり前にする。次に勉強机に座ることを決断なしでできるようにする。とりあえず起きたら机に座るというのを当たり前の習慣に持ってく。それができたら、次は取り掛かる勉強内容を固定化して、決断なしで勉強を始められるようにする。このように朝の決断をすべて「しくみ化(習慣化)」することで決断疲れによるやる気漏れを防ぐことができます。


 2の「過活動(ノイズ)」は脳みそが色んなことを同時に考えすぎて、キャパオーバーになっている状態のことです。これはパソコンで同時にアプリを立ち上げすぎて、処理速度がめちゃくちゃ遅くなるのと同じ。これの解決法としては、「マインドフルネス(脳を落ち着ける瞑想)」などでノイズを取り除いたり、考えていることを紙に書きだして「優先順位付けをする」などで対処することができます。(マインドフルネスについてはyoutubeなどにやり方が載っているので是非参考に。)


次に肉体疲労には、同じ姿勢で勉強することによる肩の筋肉疲労とかパソコンを見すぎることによる眼球疲労とか、座りすぎによる血流の滞りなどのことです。これらを放置しておくと、眠くなったり、体が痛くなったり、頭がぼーっとしたりしてやる気を失う原因につながります。これらの対処は各々で自分に合った方法を見つけてください。一応僕の場合の対処法を紹介すると、「眠い時→30分仮眠をとる」「体が痛い時→体操or10分くらい横になる」「血流が滞って頭がボーっとする→30分くらいランニングする」て感じで対処法をシステム化しています。自分にとってのベストな方法を見つけるのがポイントです。


以上より肉体面のどこにやる気漏れの原因があるかを理解して、適切な対処をすることで格段にモチベーションをアップすることができます。自分の体を知ることがやる気維持に直結するのです。(これは練習あるのみ!まさに技術って感じです。)

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ということで、今回言いたかったのは「やる気はちゃんと分析して正しく対処をすれば誰でも維持できる」ということでした。

今日紹介した方法を意識することで僕自身は資格の勉強やジムのトレーニングとかを挫折せずに続けることができました。ぜひ試してもらえればと思います。

ちなみにモチベーションのコントロールに試行錯誤した際、以下の本がとても参考になったので紹介しておきます。興味があればぜひ読んでみてください。

人間の脳がどのように使われているかについてとても参考になりました。やる気を維持できない理由が自分の精神力のなさではなく、人間の特性をうまく使えてなかっただけだという気づきを与えてくれました。

集中するためのテクニック的な部分についてこちらの本がとても参考になりました。ティップスが詰まっているので、自分にとって有効そうな方法を抽出して使ってみてはいかがでしょうか。


では、また。


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