情報処理学会・学会誌「情報処理」

60年の歴史を持つ情報処理学会の学会誌「情報処理」から注目の話題をお届けします.最新技…

情報処理学会・学会誌「情報処理」

60年の歴史を持つ情報処理学会の学会誌「情報処理」から注目の話題をお届けします.最新技術や情報教育など幅広い話題を専門家による質の高い記事でご紹介します. 情報処理学会のWebサイトはこちらです→:https://www.ipsj.or.jp/

マガジン

  • 情報処理学会誌編集長の独言(ひとりごと)

    情報処理学会誌「情報処理」の内容や話題について編集長が綴ります。

  • 「情報処理」巻頭コラム

    情報処理学会 会誌「情報処理」のバックナンバーから,巻頭コラムを順次紹介していきます.IT専門家はもちろん,教育者,政治家,医師など、様々な業界の方々にご執筆頂いています.

  • 「情報処理」無償公開記事

    情報処理学会 会誌「情報処理」のバックナンバーから,無料で読める記事の一部を順次紹介していきます.

  • 教科「情報」の入学試験問題って?

  • 連載「稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望」

    稲見昌彦氏に情報処理学会誌の前編集長として行った変革や学会に対する思いをお聞きし,その中から3つのトピックを選びnoteに連載します. ※なお,本稿は「DXで学会誌の外への繋がりを拡大」というタイトルでWeb(https://www.powerweb.co.jp/knowledge/columnlist/interview-28/)に掲載したインタビューの際,掲載しなかった内容を番外編としてまとめました. 〜連載のタイトルは以下〜 1.国内学会の存在意義とは 2.学会運営:学会をどう運営していくべきなのか? 3.学会活動の広がり

最近の記事

2024年5月号の見どころ(Vol.65, No.5)

新年度が始まりまして,みなさま新生活に忙しい時期ではないでしょうか.4月1日より副編集長に高橋尚子先生が就任されました.今月号には高橋先生ご執筆の「副編集長就任にあたって 会誌の沼にはまってみる」が掲載されております.編集長である私自身も塚本元編集長から編集委員にお声がけいただき,会誌の編集側に関わらせていただいた2014年4月からこの4月で丸10年がたち,11年目に突入しました.これまで私は会誌編集委員(2014年4月~2018年3月),新世代企画委員(2018年4月~20

    • とって変わるもの

      まなまる(永藤 まな) (ピアノタレント)  AIというものが認知され活用されるようになった近年,提起されることが増えてきた,「人間の仕事はAIにとって変わられるのか」という問題.スーパーやコンビニのレジはセルフが主流になり,無人の店舗なんかもある.  ファミリーレストランの配膳は陽気な音楽とともに可愛いロボットがテーブルまで来てくれる(可愛いというのは私の主観ですが……笑) .ネット上ではいわゆる”絵師”とよばれる方々がAIに職を奪われる!と嘆いているさまをよく見かけ

      • 米国大統領選挙とディープフェイク

        湯淺墾道(明治大学) 2024年米国大統領選挙の懸念 2024年は世界的に「選挙イヤー」であり,多くの国で大統領選挙や国会議員選挙が予定されている.その中には,米国やロシアの大統領選挙など世界的に注目を集めるものが少なくない.アジアでは,1月に行われた台湾の総統選挙,2月に行われたインドネシア大統領選挙のほか,インド,パキスタン,バングラデシュ,韓国で国会議員選挙が予定されている.しかしその中でも特に注目されるのは,米国の大統領選挙であろう.現時点では現職の民主党・バイデン

        • 1bit LLM の時代は来るのか,来ないのか,どっちなんだい?

          徳永拓之(LeapMind(株)) 1bit LLMの時代が来る? 2024 年2 月,The Era of 1-bit LLMs: All Large Language Models are in 1.58 Bits¹⁾ というタイトルの論文がarXiv上で公開され,にわかに話題となりました.“1.58 Bits” という表現はあまりなじみがありませんが,log₂(3) = 1.58 . . . ということで,パラメーターを三値にした場合の情報量を示しているようです.この

        2024年5月号の見どころ(Vol.65, No.5)

        マガジン

        • 情報処理学会誌編集長の独言(ひとりごと)
          26本
        • 「情報処理」巻頭コラム
          45本
        • 「情報処理」無償公開記事
          133本
        • 教科「情報」の入学試験問題って?
          34本
        • 連載「稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望」
          3本
        • 未踏の第29期 スーパークリエータたち
          16本

        記事

          チェックディジットを計算しよう

          久野 靖(電気通信大学)  まだまだ続く「教科『情報』の入学試験問題って?」,2025年の試験開始がいよいよ近づいて,大学入試センター以外に,「情報」の独自入試を実施する大学からの模擬試験問題なども入手できるようになってきました ¹⁾ ²⁾.  その中から今回は,京都産業大学が協力高校において実施した模擬試験の問題のうちの1問,チェックディジットの問題を取り上げます.独自入試の問題なんて難しそう,と思いましたか?  確かに,大学入試センターの試験にないようなタイプの問題

          チェックディジットを計算しよう

          2024年4月号の見どころ(Vol.65, No.4)

          本日より本会第86回全国大会が神奈川大学横浜キャンパスで3日間開催されております.現地はもちろんのことZoomやYouTubeライブを用いたオンライン参加も充実しておりますので是非一部だけでもご参加いただければと思います.特に,聴講参加登録ページにありますように特別講演/招待講演/イベント企画については無料,学生さんは上記に加えて「一般セッション/学生セッション」も無料となっております.会誌編集委員や会誌の記事執筆者にお会いできるチャンスでもあります. 会誌編集委員会からは

          2024年4月号の見どころ(Vol.65, No.4)

          AI,判断と決断と説得

          鈴木 寛 (東京大学公共政策大学院教授/ 慶應義塾大学政策・メディア研究科特任教授)  AIの劇的な普及により,人材育成やガバナンスの在り方について,歴史的な再構成が迫られている.筆者は,OECD Education 2030プロジェクトの共同創業メンバとして「学びの羅針盤」の作成に参画し,文部科学大臣補佐官として,2020年から各学校で実施されている学習指導要領の改訂に携わったが,強く意識したことの1つが「AIを使いこなし,AIにはできないことをできる人材の育成」であった

          高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に関する情報処理学会の意見表明について

           2024年1月30日に本会より,「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に関する本会の意見表明(https://www.ipsj.or.jp/release/iken20240130.html)を発出した.本稿では,DXハイスクールとは何か,また,DXハイスクールと関連があると考えられる動向を踏まえ,本会はどう貢献できるのかについて解説する. 情報処理学会の提言 本会のこの意見表明について,以下の通り,朝日新聞でも取り上げられた.  また,DXハイスクールに関す

          高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に関する情報処理学会の意見表明について

          電気通信大学 試作問題 第3問 数字列の並び替え

          佐藤 喬(東京都立産業技術高等専門学校)  今回は,2023年11月26日(日)に電気通信大学で実施された個別学力検査「情報」の受験体験会で用いられた試作問題 ¹⁾ の第3問について解説します.この問題は,6桁のある数字列を並び替えて,辞書式順で次にくる数字列を求める手順について考える内容です. 問1の解説 それでは,問1から見ていきましょう.図Aは,6桁の数字列の定義と大小関係について,例を用いた説明です.  問い(1)と(2)は,手を動かせば解ける内容と思われます.

          電気通信大学 試作問題 第3問 数字列の並び替え

          極私的合同座談会:ドラえもんと私と研究

          五十嵐悠紀(お茶の水女子大学) 伊藤雄一(青山学院大学) 稲見昌彦(東京大学) 永谷直久(京都産業大学)  情報処理学会,日本バーチャルリアリティ学会,ヒューマンインタフェース学会の3学会から代表者が集まり,『ドラえもん』を題材にとことん語り合う座談会を開催した.情報処理学会からは学会誌編集長の五十嵐悠紀氏,日本バーチャルリアリティ学会からは学会誌編集委員長の永谷直久氏,そして両学会の理事を務める稲見昌彦氏を迎え,ヒューマンインタフェース学会誌副編集長の伊藤雄一氏が司会を担

          極私的合同座談会:ドラえもんと私と研究

          「最小交換貨幣枚数」による上手な払い方

          冨澤眞樹(前橋工科大学)  令和7年度大学入学共通テスト試作問題「情報Ⅰ」の第3問を取り上げる.第3問は,釣り銭に関する問題であり,アルゴリズムに関連した問題である.キーワード “お釣り 最適化” や “お釣り 最小” でネット検索すれば,釣り銭に関する問題やアルゴリズムに関するウェブサイトが多く見つかる.釣り銭問題は馴染みのある問題なのだろう.しかし,電子マネーやバーコード決済を使っている受験生には,釣り銭問題は馴染みが薄いかもしれない.試作問題としては良い題材だが,令和

          「最小交換貨幣枚数」による上手な払い方

          2024年3月号の見どころ(Vol.65, No.3)

          暦の上では春となりましたね.いかがお過ごしでしょうか.編集委員会では退任される委員の方の引継ぎの時期でもあり,編集委員退任時に書いていただいている「ほっとタイム」の原稿が私の手元に届きつつあります.各委員の方々が2年2期をどのように過ごされたのか,どんな特集をご担当されたのか,編集委員会についてどう思っていたのかなどを書いてくださっています.「ほっとタイム」は4月号をお楽しみに! 特集「Privacy Techの技術と実例の動向」 さて,今月号の特集は「Privacy T

          2024年3月号の見どころ(Vol.65, No.3)

          明るく楽しく元気よく,一緒に前に進もう!

          アイシア=ソリッド (AIcia Solid Project /(株)アトラエ Virtual Data Scientist)  ハローワールド! アイシアです.結局タイトルにあることがいちばん大事,そんな話をお届けします.  最近,あらゆる領域で技術の発展が続いています.この記事を書いている2023年10月30日は,ChatGPTの公開からちょうど1年です.GPT-4で能力が大幅に拡張され,GPT-4Vで画像も扱えるようになり,GPT-4 Turboで論文くらいは読みこ

          明るく楽しく元気よく,一緒に前に進もう!

          2024年2月号の見どころ(Vol.65, No.2)

          前回の「2024年1月号の見どころ(Vol.65, No.1)」でご紹介した特別解説『「オセロが解けた」を白黒ハッキリさせようじゃないか』(山名琢翔氏執筆)は多くの方からのアクセスがあり,編集委員会でも話題になりました.「オセロ」という老若男女から愛されるゲームが「解けた」とはどういうことなのかをわかりやすい視点から解説してくださったこの記事.まだ目を通していない方は是非ご覧いただければ幸いです.また,2023年10月掲載の『情報処理技術者試験の最年少合格者とご両親の声』(奥

          2024年2月号の見どころ(Vol.65, No.2)

          「確率モデルのシミュレーション」は,問題設定を楽しみながら解こう!

          林 宏樹(雲雀丘学園中学校・高等学校)  今回は,令和4年(2022年)11月9日に大学入試センターより公開された「情報」の試作問題 ¹⁾ の第2問Bのシミュレーションを扱った問題を解説します.分野としては情報Ⅰ(3)コンピュータとプログラミングの位置づけであり,この分野にはモデル化とシミュレーションも含まれてます.  まず,シミュレーションって言葉を聞くと,難しそうだと感じてしまいます.シミュレーションの問題のポイントは,「問題文の内容が,図のどの部分を表現しているか」

          「確率モデルのシミュレーション」は,問題設定を楽しみながら解こう!

          コンピュータ・サイエンスは蠱惑的だ.

          堀元 見(YouTuber・作家)  「ゆるコンピュータ科学ラジオ」というYouTubeチャンネルを運営して生活している.コンピュータ・サイエンスについておもしろおかしく話す対話形式の番組だ.大学の専攻をこんな形で活用するとは夢にも思わなかった.  大学4年生のとき,機械学習についての難解な論文を読みながら,「僕に研究は向いてないんじゃないだろうか.YouTuberにでもなったほうがいいんじゃないか」と思った.普通の人なら気の迷いで済むのだけれど,当時の僕は脊髄反射で生き

          コンピュータ・サイエンスは蠱惑的だ.