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#474 学びの先にある進路指導

 教員時代に「私には将来やりたいことがない」と相談にくる生徒に、「そんなん当たり前じゃない?僕だって結局何をしたいかなんてわかってないよ」と返していた貴村甍です。

 「やりたいことがない」なんて、18年しか生きてない人が簡単に見つけることなんてできません。しかも「やりたいこと」がコロコロ変わるのも私たち人間。

 日本では?(世界でもそうかもしれないが)、早熟を過大評価する傾向になる。成熟が早ければ早いほど、価値ある人材として見られる。小学校の頃から、「〇〇になりたい」とハキハキ喋り、それに向けて努力することが、美徳とされる風潮にある。

 もっとのんびりでいいんじゃないか。色々なことをしっかり「学ぶ」過程の中で、「楽しいこと」が見つかっていく。そしてその楽しさを信じること。そんな環境が大切です。

『「将来の目標が定まらない」思い悩む学生の盲点 自分が成し遂げたいことを具体化して考える』という記事を見つけました。

 『非学歴エリート』著者である安井元康氏は、漠然とした将来の希望の要素を細分化しより具体的にすることが、自分が本当にやりたいことを見つける手助けになると語っています。

 例えば「社会を変える」。素晴らしい目標ですし、学生でありながらそのような志を持てること自体、優秀な証しだと思います。後はもう一歩進んだ、具体化が必要です。例えば、の例ですが、「社会を変える」には「社会」という要素と「変える」という要素の2軸に分解できます。ではその「社会」とは具体的に何を指すのか。どの単位の社会(世界、地域、国、コミュニティー、業界、会社などの特定の集団や組織、または特定の問題、など)を想定するのか。当然それによって目指すべき手段としての職業や、自分の立ち位置は変わります。そして「変える」。これも、具体的な社会問題、または特定の問題に関する変化を狙うのか、何をもって変化とするのか、そのアプローチは? など、考えることはさまざまあります。この2軸、「社会と変化」をより具体化したうえで、ではその実現のための手段として、どのような職業や関わり方があり、その中で自分は何を選択するべきか、を考えたほうがよいでしょう。

 「抽象」を「具体」に変えることによって、自分がやりたいことが明確になる。人は自分がイメージできないことに現実性を見出せないのかもしれません。逆に自分が可能だと思うことが増えれば増えるほど、自分の進路の幅は広がっていく。そして自分の可能性を増やす唯一の方法は「学び」です。つまり結局は、最もシンプルで最も効果的な進路指導は、「学びを深めていくこと」だと言えるのかもしれません。


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