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#133 頑張れる環境を保障することが学校教育の意義

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。

上野千鶴子

平成31年度東京大学の入学式の祝辞として

上野千鶴子さんが述べた文章です。

今私たちが暮らしている世界(特に日本)は、人類史からみて「奇跡」と言っても過言ではありません。

私たちは生まれながら、「人間としての価値」を一定以上保障されます。
不平等を克服するために必要な制度や思想も広がってきています。

それでも
人は自分が生まれる家庭も場所も選ぶことができません。
人間は一人の生き物としてこの世に生を受けますが、それは常に不平等なものです。

そんな中

学校の意義は何なのか

それは「何かを頑張れることができる力」を保障することです

学校教育で身につけるべきとされている知識・技能・思考は

最終的には児童・生徒自身の努力が必要不可欠です

しかし上野さんの言葉にもあるように

今でも、何かを頑張れる力を阻害されてしまう人はたくさんいるのです

学校教育がその目的を達成するために必要な本質的なことは

「学び」が必ず自分の人生を彩りあるものにしてくれるという信念のもと

彼らが「学ぶ努力ができる」環境を提供することなのです


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