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国際女性デーに、女性が家庭や子供の世話をしながら稼ぐにはどうするかを考える

3月8日は国際女性デー。この日は、女性の権利と成就を祝い、まだ解決されていない性別に基づく不平等に光を当てる機会です。多くの女性にとって、家庭と職業の両立は大きな課題。しかし、このバランスをどのように取るかは、個々の女性にとっての大きな問題だけでなく、社会全体にとっての重要な問題です。そんなわけで女性に関するテーマについて。


女性格差に関する素晴らしい本

私は正直「女性」というカテゴリーよりも、「海外居住」というカテゴリーの方が興味があるので、普段あまり女性格差について考えることはありません。しかし自分が属するカテゴリーについて考えるのは、自分発見につながる。たまには女性について考えてみよう。

女性格差問題に関する話題になると、いつも思い出すのがこの本。友人が進めてくれた素晴らしい本です。昨年ノーベル賞受賞したクラウディア・ゴールデン氏の「なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学」


本の内容は、アメリカを舞台に、女性がどのように「家庭」と「仕事」の選択をしてきたか、過去100年を5つのグループに分けて振り返る。
100年前に比べ、女性がどんどん働きやすい社会になっているのがよくわかる。

そもそも社会構造上、男性は仕事、女性は家庭という選択肢を取りやすい。それは家庭関連タスクで緊急タスクがあった場合に「男女どちらが時間の融通をきかせるか」、という問題からきている。仕事でも家庭でも、緊急タスクは発生する。

特に育児世代の家庭というグループで見ると、父母どちらもいつでも家庭に対応可能という役割を担うよりは、どちらかが仕事に対応という役割を担う選択をした方が、グループ全体の収入が上がり、グループの意思決定としては効率的。

なぜなら、そもそも仕事という面でも「いつでも時間対応できる」柔軟性、フレキシビリティを持っている仕事が高級取りになりやすいからだ。
例えば 経営者、エグゼクティブ、弁護士、医者など。株主やクライアントの要求にいつでも対応可能ということが高給につながりやすい。
よって、夫婦のどちらかが仕事優先、もう片方が家庭優先し、夫婦の合計収入を増やすという合理的選択がなされてしまう。

社会構造上、女性が稼ぎにくい現実で、ではどうするのか

①代替性を持つ

女性が、家庭や子供の世話をしながら稼ぎたい場合は、上記のような高給職を選ぶのはなかなか難しい。家庭と仕事の両方が、その女性に、時間的なフレキシビリティを求めてくるからだ。

だから家庭を持ちつつ稼ぎたければ、いかに仕事にフレキシビリティを強要させずに高給取りになるのか、という仕組みづくりが必要になる。

その一つの方法として、本書であげられているのが、「代替を持つこと」。賃金格差解消の鍵となりうるのが、自分の完全な代替を持つとの主張が面白い。非代替的な人材となることが自分の価値を高める手段と考えていた私にはとても刺激的。

オンコールでいつでも対応可能な仕事に対するプレミアムを減らすことが、格差是正の一つのキーだとしている。

例えば、薬剤師業界は比較的高収入で女性割合が高い。それは高度な専門技術を要しながらも、代替性が高いことによる。
例えば医者や弁護士などは、「この人」に依頼するとの意識があるが、薬剤師は割と誰でもいいはず。その代替可能性はネガティブではなく、柔軟さを備えた効果的なシステム。女性にとって産休スタートや復帰が、スムーズに行える構造となっており、格差解消のヒントをくれる業界となっている。

女性が、家庭の事情で仕事から離れざるを得ない時に、自分の代替がいるとスムーズに離れられる。自分がいなくても回るシステムを作ることがクライアントを満足させる。

②女性が多い環境で働く

私は外資で働く時に、外資(特にアメリカ人)が設定したルールで戦うのが辛いなってよく思う。それは、彼らが自分たちの特性を最大限に活かす構造になっているから。

同様に、今の社会活動もルール設定は男性(一定時間を仕事にぶっ込める人)によって設定されているところに、女性の生きづらさがあるんだなと感じる。

私は白状すると、結局女は仕事以外の場所に逃げる場合がある、と思っていました。(女性蔑視的な考えでしょうか、すみません。)
今まで男社会で仕事してきたし、男社会で活躍している女性は割と男性的で、そういう女性は仕事以外のことを諦めている節がある。そうしないと、昇進できないからだ。

でも女性リーダーが多数の場所で働いたり活動したりすると、女性のいいところを最大限活用していて、働きやすすぎる。互いに承認をし、競争を避け、助け合い、補い合う。バランス感覚のある女性達がそういう環境に集まることで、更に女性が働きやすくなる環境となる。

私は仕事環境は男性が多いが、所属しているボランティア団体の役員は半数以上が女性。以前は男性が多かったが女性が会長になってとても働きやすくなった。男性の能力が低い等言っているわけではなく、女性リーダーの方が女性が働きやすい構造を作りやすいというだけ。

女子の方が有能だって言う経営者もいるし、妊娠産休に入るから使いづらいって言う経営者にも会った。人によって正しさは違うけれど、どちらの会社が女性が働きやすいかは明白。女性が集まるところに、女性が稼ぎやすい環境は整っている。

男性で仕事ができる有能な人はたくさんいるけど、自分にそのライフスタイルが取れるかと言われると疑問なことが多い。それよりも周りで活躍している女性のライフスタイルを参考にした方がよっぽど多くを学べる。

男女格差を縮めるには、この不均衡な社会構造の中で、それでも成功体験を収めている女性のロールモデルをたくさん持つことが有用ではないか、と思うわけです。

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