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二度目の妊娠、忘れられない大きな傷

最も恐れていた事態が起こってしまった。
中学1年の2月下旬。
その日は日曜日だった。
母は仕事に出かけ、父は仕事が休みでずっと寝ていた。
私は寝室で布団に入ってゴロゴロしていた。
すると兄が寝室に入ってきて、服を脱がせてきた。この頃はもう嫌悪感しかなかった。
本当に嫌だった。
抵抗すれば殴られ蹴られ、無理矢理体を開かされた。足を一生懸命閉じようと最後の抵抗も虚しく挿入されてしまった。
「もう抜いて!やめて!!」
そう言っても、
「あと…、もうちょっと、だから」
と言ってやめてくれない。
前は蹴飛ばして、なんとか射精は回避したけれど、そう何度もできない。
ナカを突かれて、気持ちよくなって、気持ち悪くてなにも考えられなくなる。
すると腟内に生暖かい感覚が広がった。
子宮が押し広げられる。射精されてしまった。
慌てて腰を引いたけれど、がっしり掴まれていた。ふと顔を見上げると、兄は征服欲に満たされたような顔をして私を見下ろしていた。ぞっとした。

****
3月になり、下旬になると春休みに入った。
体がだるい。ずっと熱っぽい。食欲もなく、食べ物を思い浮かべると気持ち悪くなってしまう。
具合が悪くて1日横になっている日々だった。察してか、兄から手を出されることはなくなった。
 4月には、習い事の途中に激しい動悸と息切れ、吐き気が襲った。冷や汗をかき、目の前が真っ暗になった。母が迎えに来て、一緒に帰ったのを覚えている。妊娠による貧血だった。
 3月の体調不良あたりから、妊娠している自覚があった。明らかに体調がおかしいのだ。

 新学期に入り、全校集会の時にはあまりの眠気に耐えられず居眠りしていた。眠気も異常だった。

 5月には体育祭があり、大縄跳びをした。飛ぶたびに、陰部からなにかサラサラとした体液が漏れ出て下着を濡らした。羊水か…?と内心思っていた。

母にはことあるごとに相談していた。生理が来ない。おかしい。
「妊娠でもしてるんじゃないの〜?」
そんな風に冗談めかして言われた。まともに取り合ってくれなかった。

このままではまずい。どうにか分かってもらわないと取り返しのつかないことになる。

このように考えたある日。家族が揃った朝の食卓で、私はこのように言った。

「せ、生理が全然来ないんだよね。まあ、生理ないと楽なんだけど……」
少しおどけたように、でも困っていると伝わるように言った。
父が血相を変えた。
「なんだって!?週末病院行くぞ!」
母と兄は黙ったままだった。
もう6月に入っていた。

***
 その週末土曜日。父に連れられて近所の産婦人科に来た。診察室に呼ばれるまで本当に気が重かった。最早妊娠発覚は時間の問題だったから。
そして、診察室に入ってベッドに仰向けになる。エコー検査をすることになった。ゼリーを塗られ腹部にエコーをあてられる。
私は怖くて、目をギュッと瞑って身を固くしていた。

「妊娠…、していますね。」
医師からそう一言告げられた。
分かっていたけれど、医師から言われるととてもショックだった。
すでに妊娠16週目になっていた。






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