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「……あなたの仕業なのですか?」|TL小説『異世界トリップして、元帥閣下から求愛されました ~最愛の姫への寵愛~』


久我山 凛は、酔っぱらいながら夜道を歩いていた。

諸事情で仕事を失い、4年付き合った恋人に振られた夜だった。

――つらい。もうどこかへ逃げ出したい…

『異世界トリップして、元帥閣下から求愛されました ~最愛の姫への寵愛~』

誰かの笑い声が聴こえた。
その時。

凛の目の前には、一面の草原が広がっていた。

そして、凛にはその風景に見覚えがある。

「……カーディナル王国……?」

『異世界トリップして、元帥閣下から求愛されました ~最愛の姫への寵愛~』

凛はその後、カーディナル王国の隣、ベルランド公国で記憶喪失の異邦人として大公の庇護を受け、子どもたちの教育に携わっていた。

実は、凛には前世の記憶がある。
カーディナル王国の侯爵令嬢・マリアローズであった頃の記憶。

つまり、マリアローズの記憶を持ったまま凛として生まれ変わり、更に凛はマリアローズのいた世界に異世界トリップしたのだ。

とはいえ、今の凛はマリアローズとは別の人間。
当時の貴族としての知識を教育に活かしながらも、平民として生活をしていた。

わかってきたこともある。

凛は現在26歳だが、今いる異世界の時間は、マリアローズの死後10年後だということ。

つまり、マリアローズの生前関わった人たちもまだほとんどが生きているということだ。

このままベルランド公国で生活をしていくのか……と思っていた矢先。

「うん。申し訳ないがカーディナイル王国の王宮へ出仕してほしい」
「……は?」

『異世界トリップして、元帥閣下から求愛されました ~最愛の姫への寵愛~』

ベルランド公国の血を引くカーディナル王国のユーリウス王子の家庭教師が怪我をしてしまい、その身代わりとして出仕して欲しいと言うのだ。

 ――前世の私が死んだ場所だから、あまり行きたくないけど……

『異世界トリップして、元帥閣下から求愛されました ~最愛の姫への寵愛~』

今の凛には、断ることは出来ない。
その申し出を受け、凛は前世でその人生を終えたカーディナル王国へと向かった。

そして。

凛はカーディナル王国の王宮で、1人の男性と出会う。

幼い頃は誰よりも可愛らしい、天使みたいな子どもだった。
十一年前はまだあどけなさが残る、眉目秀麗な少年で。
二十七歳になった今、その人は筋骨隆々の美青年に成長していた。

『異世界トリップして、元帥閣下から求愛されました ~最愛の姫への寵愛~』

その男性は。
王位継承権三位を持つ、現国王の第三王子・ヴォルフレイン・カーディナイル元帥閣下。

マリアローズの婚約者だった人だった。


ベテランTL作家さんの作品

著者は 佐木ささめ
私は初読みの作家さんでしたが、配信作品は多く、TL小説を中心に活動されている作家さんです。

イラストは すがはらりゅう 
ご存知の方も多い、TL小説のイラストを多く手掛けるイラストレーターさんです。

出版社は ジュリアンパブリッシング

掲載誌・レーベルは ロイヤルキス

発売は 2022年09月
既刊1巻(分冊版1-6合冊版)。完結済。
尚、現在(2023-08-31)KindleUnlimitedで配信中。


姿が変わっても、もう一度恋の落ちる王道のロマンス

まずは、前世の記憶を持ったまま現世で生まれ変わって。

生まれ変わった姿で前世の世界に異世界トリップする、というちょっと複雑な設定になってますが。

シンプルに、生まれ変わって、またかつての婚約者と出会うことになった、と考えれば意外と王道なラブストーリーなのかな、と。

そして、凛が家庭教師をするユーリウス王子の監督はヴォルフレインで。

そのこともあって、凛はかつての婚約者と何かと接する機会が増えます。

しかし、前世では侯爵令嬢であり婚約者でもありましたが、今は一介の平民。

まったくの別人なので、王族であるヴォルフレインと関係を深めるつもりもなければ、出来るとも思っていません。

でも、かつては幼なじみでもあった2人。

油断した凛が時折口にする、マリアローズしか知り得ない事にヴォルフレインも次第に彼女の正体に気づき始めます。

定番といえば、定番なストーリーなのですが、やっぱり定番のストーリーを面白いと思わせてくれるのは作家さんの技量によるところが大きいと思います。

やっぱり“生まれ変わっても2人は結ばれる運命”は楽しい!作品です。


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