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君はなんなの? 夜這いしなきゃ死ぬ体なの?|TL小説『夜這いを決意した令嬢ですが間違えてライバル侯爵弟のベッドにもぐりこんでしまいました』

※この作品はTL作品です。

主人公・クロエは窮地に立たされていた。

馬車の事故で両親が急逝。
同じ馬車に乗ってた弟は、一命を取りとめたものの、目覚めないまま。

残ったのは、代々営んできた宿屋「ファミール」と、男爵という爵位。
しかし、女性であるクロエには爵位を継承することは出来ず、「伯爵以上の貴族家当主ただし縁戚関係にある者」に爵位を預かってもらう必要があった。
――弟が、目覚めるまで。

卒業間近だった学校を休学し、クロエが切り盛りすることで、何とか宿屋は維持しているものの、爵位を預かってくれる相手探しは難航していた。

“縁戚関係にある”ということは、クロエがその相手と結婚し、爵位を預かってもらう他ない。

そんな折、リンドレーナ王国の若き「冬の王」、オスカー・アルノルト侯爵が視察に訪れ、クロエの営む宿屋に宿泊してくれる事になった。

アルノルト侯爵には、婚約者はいないと聞く。
まさか自分が望まれているとは思わないが、後が無い。事情を知れば、情をかけてくれるかもしれない。
クロエは、一縷の望みをかけて、夜這いを決行した。

「だ、抱いてくださいオスカー様!!」

『夜這いを決意した令嬢ですが間違えてライバル侯爵弟のベッドにもぐりこんでしまいました』

しかし、そこにいたのは

半身起こした右手には、ベッドサイドテーブルに置いた剣がすでに掴まれていた。
よく知っている、やたら整った顔。切長の目元が似ている。だけど、決してオスカー様じゃ、ない。
「――君、何しているのこんなところで……」

『夜這いを決意した令嬢ですが間違えてライバル侯爵弟のベッドにもぐりこんでしまいました』

そこにいたのは、オスカー・アルノルト侯爵の弟で、十か月前まで同じ学園に学んでいて、今は侯爵の若き参謀として頭角を現してきているというクロエの元同級生、レイ・アルノルトだった……

今度はちゃんと相手を確認して夜這いをするから、見逃して欲しい。
そう考えていたクロエにレイは予想外の提案をしてくる。

「だからさ。そんなに侯爵と既成事実を作りたいなら、この僕が協力してあげるよ」
言葉を失う私を見下ろして、続ける。
「それに、彼の好みは誰より分かっているよ? だってオスカー・アルノルト侯爵は、僕の実の兄なんだから」

『夜這いを決意した令嬢ですが間違えてライバル侯爵弟のベッドにもぐりこんでしまいました』

こうして、クロエとレイの“夜這いの特訓”が始まった。


突飛な設定でも骨子がしっかりしてる作品

著者は 茜たま
本作は小説家になろうで発表していた作品の書籍化。
TL作品を中心に活動されている作家さんです。
私は他の著作を読んだことはないのですが、著者原作の『伯爵令嬢は犬猿の仲のエリート騎士と強制的につがいにさせられる』のコミカライズ版は分冊版で読みました。

こちらも突飛な設定なものの、ストーリーの緩急や、キャラクターの動きが良く、楽しめた作品です。

出版社は 一迅社

掲載誌・レーベルは メリッサ

発売日 2021年11月
既刊1巻。完結か続編があるかは不明。(小説家になろうでは続いているが、書籍化は不明な為)

椎名明の作画でコミカライズ版が連載中。
既刊3巻。
尚、1巻はKindleUnlimitedで配信中。


一途なレイの奮闘が可愛い

試験で首位を争う2人が、図書館での出来事がきっかけで仲良くなったけど。

レイとクロエは、その身分差から仲が良いことを公言することはなかった。

まあ、お約束なんだけど、レイはクロエに好意を持っているものの、クロエの方は、学校にいた頃は勉強に夢中、両親の急逝だったり、弟のことだったり、宿屋のことだったたりと問題が山積していてそれどころではない。

で、その問題を解決するために、レイの兄でアルノルト侯爵であるオスカーに夜這いをしかける、ということになるんだけど。

そうしたら生真面目なクロエは、自分に差し出せる唯一のものとして、あの身体を兄さんに……そして僕は、翌朝の食堂で阿呆のようにそのことを聞かされるわけだ。

『夜這いを決意した令嬢ですが間違えてライバル侯爵弟のベッドにもぐりこんでしまいました』 

その、オスカーがいるはずの部屋にレイがいたのは全くの偶然。
オスカーが、「こっちの部屋がいい」となって部屋を交換しただけのことだったのだ。

このストーリーは、最初クロエ視点で結末まで行き、もう一度レイの視点で最初から結末まで進むスタイル。

私、ラブストーリーでこのスタイル結構好き。

一粒で二度美味しい的な。 

今回も、クロエの視点からではわからない、レイの悶々とした思考回路を覗き見れて楽しかったです。

ただ、2人のストーリーは全体の3/4くらいで一度終わり、後は短いエピソードが数話入って一冊になっている。

2人の視点だけじゃ頁数が少ないからかな?

おまけがたくさんあって楽しいけど、一冊としてまとまりがあるか、と言われるとちょっと難しい。

更に、なろうではそのまま様々なエピソードが同じ調子であと一冊分くらいあるんだけど、果たしてそれが続刊として出るのかどうかわからない。

コミカライズの方も、最新刊の3巻で結末までは行ったものの、まだまだ続くようだし、もう少し楽しみたいなぁ、と思う作品です。


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