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自分の在り方を考えさせられて唸った1冊

「判断する人が一流かどうかもありますよね」

とある書店のトークイベントに参加した時に、とある写真家の方が言った一言。

私はこの一言に震えた。だけでなく、救われた。
そして、この日のエピソードは、人を救えるかも知れないと思った。

ことの発端は、雑誌の編集をしているらしい中年女性の質問から。

質問の内容は、まとめると「最近の若いカメラマンの出来が悪い」みたいな内容だった気がする。

これだからゆとりは……みたいな空気感が会場に充満し、他の登壇者も「あなたの話を伺う限り、その若いカメラマンに問題がありますね」と言った。

もろその世代の私は正直、息が詰まった。

ここにいない、そのカメラマンが、中年女性の言葉だけで形づくられていく不気味さ。
それを何の疑いもなく、そのまま受け入れようとしている、この空気感。

もし、この人が自分の都合のいいように編集したことを話しているとすると?

(若いカメラマンが悪い場合ももちろんあるが)

私にも経験がある。自分がいないところで、自分を脚色され、捻じ曲げて伝えられる憤りと無力感。後から押し寄せる喪失感。あの時の感情がせり上がってくる。

(居心地わる……)

そんな時、冒頭の一言が、会場の空気を一変させた。

「判断する人が一流かどうかもありますよね」

詰まっていた息を、今度は呑んでしまった。窒息。

「この空気感で、この一言が言えるの凄いぞ。やっぱり、噂通りの人なんや」

めちゃくちゃ感動したので、終わった後に直接お礼を伝えたかったのだが、その方の醸し出すオーラと、中東のスナイパーみたいな風貌に怖気付き、何も言わずにそそくさと帰った。

その後、私は悩んでいたり、迷っている友人たち(特にクリエイティブなお仕事をしている人)に言いまくった。

「けどさ、それって判断する人自身が一流か、見る目があるのかにもよるよな?
……って、世界で活躍するアートディレクターであり、写真家の”ワタナベアニ”さんが言ってたから。鵜呑みにし過ぎるのもどうなんやろ」

流石に自分で考えたフリはできなかったので、きちんと出典元を伝える。笑

これを伝えると、みんなの目が輝くので、やっぱり私を救ってくれたこの一言は、人を救うなと確信した。

そう、この一言を言ったのは「ワタナベアニ」さんという方です。

そんなアニさんが書かれた本が「ロバート・ツルッパゲとの対話」

私が大変お世話になっていて、大好きな出版社「センジュ出版」の吉満明子さんが編集された本です。

まだ、この本をお読みでない方は、ぜひお読みください。
たまに吹き出して笑ってしまうくらい面白い現代の哲学書です。
特にクリエイターや表現者は必読ではないかと思います。
そうでなくても、生きている人みんなにおすすめです。

また、アニさんは芸能界との繋がりもあるし、世界で活躍されているのでお忙しい方だと思うのですが、絶対に恩義を忘れないんですよね。驕り高ぶらない。

自分の本を一番売ってくれた本屋さんや、編集の吉満さんへ、いまだに何かイベントがある度にその場に足を運んだり、お礼を伝えている。

原理原則を徹底されているお姿を見るたびに「あー、だから世界で活躍できるだな」と思いました。
めっちゃくちゃかっこいい。

まっだまだだな、私。と思い知らされます。
どう在ろうか。どう在りたいか。

タイトル:ロバート・ツルッパゲとの対話
著者:ワタナベアニ
定価:1,980円(税込)+送料(おそらく180円)
発行所:センジュ出版
編集:吉満明子


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