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ライトユーザーがTimes Carの新料金プランをよく読んでみた

長らくTimes Car Share(旧Times Car Plus)のお世話になっている。一昨日、10月1日からの新料金体系の案内が来た。時節柄、消費増税のついでに「あータイムズも値上げかー」と一瞬思ったが、よくよく計算すると実は使い方によっては値下げになることもあるようだ。

この記事では、新しい料金設定と「課金体系」をユーザー視点で分析し、その裏にある戦略を想像してみたい。10月に向けて専門メディアに公式情報も順次出てくると思うが、まずは一ユーザーの立場から思うことを。

【前提】私の利用形態

・自分、妻、8歳娘の3人家族
・利用頻度は月1使うか使わないか
・主に近鉄新田辺駅近辺のステーションを利用(5台ぐらいあってわりと空いてる。その前は左京区一乗寺近辺で使っていた)
・たまに旅行先でも使う(この間別府で借りた)
・主な利用シーンは半日〜1泊の家族旅行や、行事でクルマだと行きにくい場所に行く時
・好きな車種はFITとAQUA(買うならハスラーかマツダ車かな…)

料金比較

ニュースリリース記事も新料金案内ページも敢えてわかりやすい新旧比較をしていないので表にまとめた。(元のGoogleSheetはこちら

・月額基本料金は10%以上値下がり
・「カーシェア」的利用の基本形態である「ショート(時間料金)」は6.8%値上がり。これは消費税8%→10%を加味しているので、税抜きでは5%アップ。
・伴い6時間パック/最大時間料金も値上がり。
・12時間パックは3%(税抜きでは約5%)値下がり
・24時間では値上がり、36時間では値下がり。このへんの理由はよくわからない。
・距離料金は据え置き。(税抜きでは1.8%値下がり

このようにショートが値上がりするわけだが、元々ショートは金額が小さいので、数%値上がりしたところで、個人の利用料金にはほとんど影響がない(ヘビーユーザーの方は感覚どうなんでしょう…)。むしろ、レンタカー的な利用が多い自分の場合は値下がり恩恵の方が大きい。

ユースケース試算

最近の返却証に記載された実際の走行距離と利用料金をもとに、新旧料金を比較試算してみた。

・前述の料金比較の通り、6時間までの短期利用では若干の値上がりになる
・日帰りの1日利用の場合、わずかに安くなる
・1泊2日の場合、ほぼ変わらない
・距離料金が据え置きなので、6時間を超える利用の場合、料金体系変更による金額インパクトが小さい

結果的に、自分の利用シーンでは「あんまり変わらないか、ちょい安くなることが多い」と言えそうだ。この場合、後述するTCPプログラムによる月額料金無料化もあるので、12時間パックでの単日利用をどんどんしていくインセンティブがある。

そもそも有人手続き+返却前のガソリン満タンが必要なレンタカーと比べて、全国どこでもスマホとカードで一瞬、給油はボーナスがあるけど必須じゃないという時点で、同程度の金額だったらカーシェアの圧勝という状況なので、どんどんレンタカー市場を喰いに行っている印象だ。

車種「ミドルクラス」の導入

注意が必要なのは車種クラスの変更だ。新しく創設された「ミドルクラス」はベーシックの料金の1.5倍、以前からあるプレミアムクラスはベーシックの2倍と考えるとわかりやすい。現行の車種プランはこちら、下図は新しいクラス別車種リストだ。

【ベーシックから「ミドル」に格上げ(料金1.5倍増)】
フィールダー、プレマシー、フリード、インプレッサ、シエンタ、NV350キャラバン

これが実は一番注意が必要かもしれない。わりとゆったりめのサイズを好んで使う人は単純に費用が50%増しなのでインパクトは大きい。でも、このへんの車種は買う人は多いと思うけれど借りるシーンは少ないか…?(子ども複数でFREED乗ってる人をかなり見るけど、そういう人はだいたい買ってる)

【プレミアムから「ミドル」に格下げ(料金25%引き)】
CX-5、LEAF、スバル XV、C-HR

好きな人にはうれしい値下げ。

まあ、新田辺も一乗寺も、ほとんどがFIT, AQUA, NOTE, デミオ、ソリオ、ハスラーといったフツーのベーシック車種なので、観測範囲ではほぼ影響がない。プレミアム車種を置いているのは京都市内中心部など密集しているエリアで、たまにはminiとか乗ってみたいけど実現していない。

むしろベーシックの中にふつうにFITとAQUAが入っているのが強い。トヨタレンタカーではハイブリッド車種は普通車の2割増ぐらいだからけっこう大きい。年式はちょっと落ちることが多い(ふつうに鍵差し込む方式だったりする)けど、そういう効率的な資産融通が、安いサービスの命脈なのだ。

TCPプログラムの強化

今回月額利用料金の値下げとともに、TCPプログラムステージ2で月額利用料金が無料という太っ腹なサービス強化が行われてる。

TCP(=Times Car share Pointかな?)プログラムというのは、ていねいな利用に対するボーナスポイントシステムで、次のような行動に対してポイントがたまる。

・クルマをきれいに使う
・急加速・急減速をしない
・給油、洗車をする
・アンケート回答する
・無事故でたくさん走る(積算距離)

これが100pt溜まるとステージ2に昇格し、月額料金無料となる。まあ、ふつうに丁寧に使っていれば溜まるので、定期的に使うユーザーに対しては相当メリットのある体系変更だ。ちなみに事故を起こすと即-100ptであんぜん積算距離がゼロリセットという厳しいシステムなので、軽度の自損事故も含めて本当に気をつけた方がいい。(自分はへたっぴーな利用初期にレンタカーのフィールダーで1回、カーシェアのプレマシーで1回、壁にこすってNOC2万円を重ねて払った痛い記憶がある。。)

自分のような「月1使うか使わないか」という頻度のライトユーザーにとっては月額利用料金が重いので、これが軽減されるのは単純に嬉しい。ライトユーザーの利用を促して継続させる(退会させない)点にフォーカスした変更だ。

ミニマムチャージ

24時間以上の(=1泊2日より長い)予約に対して、キャンセルまたはごく短い時間で返しても最低2時間分の料金をもらう、というのが新設されたミニマムチャージ。こういう制度が敢えて導入されるというのは、複数日程帯で押さえて実際使わないという人が相当数いるということだろうか。

カーシェアはもともと「今空いている車を短時間使う」というモデルだが、レンタカー的な利用になればなるほど、事前に予約しておく/空車がある前提で予定を組むという行動が増え、「ドタキャンで当日空きが出ても代わりが埋まりにくい」傾向は増えると思う。だからミニマムチャージによって空予約が抑制されると、稼働率は上がるはずだ。

まとめ

カーシェア業界では圧倒的なシェアを持つタイムズが、王者の戦略でもってレンタカー業界への攻勢を強める。タイムズの予約アプリは使いやすいし、利用体験は総じてスムーズだ。タクシー配車アプリの普及もあり、これからスマホでさくっと予約するという行動、誰とも会話せずにサービスを完結させるという行動はどんどん増えていくだろう。日本全国で「駐車場」という拠点を押さえるタイムズにとっては、月額利用料と単日レンタカー利用の料金を下げて、利用者の量を取りに行くことは、そのまま稼働率と利益に反映されていくと思う。

Times Carの普及・浸透は、クルマを所有しない都市生活者にとって、移動の自由を大きく高めてくれるありがたいサービスだ。これからもたぶんライトユーザーではありつづけるけれど、このサービスと業界の動きに注目していきたい。

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8/2追記:ヘビーユーザーの完山祐毅さんが早速別視点の解説を書いてくれました!!「プレミアム車種中心」「夜乗り」「高頻度」だとこうも影響が違う。


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