倉本聰が評価する二宮和也

 今回、二宮和也さんがブルーリボン賞の主演男優賞に選ばれた。「タング」のようなやる気のないダメ男は、彼にとてもよく似合う。その上ロボットのタングの動きも演じているというのだから驚き。そして「ラーゲリより愛をこめて」の魂の演技。賞は納得であるし、嵐のニノではなく、二宮和也が評価されているのはとてもうれしい。

 二宮さんの受賞のコメントの中に、倉本聰さんのお話があった。彼曰く、ブルーリボン賞をもらうのは二度目だと。一度目は以前に一緒にお仕事をした倉本さんが、二宮はとてもいい芝居をするのに何も賞がもらえないのはおかしいと憤り、二宮さんの台本に青いリボンを巻いてくれた、というお話。倉本さんの思いもステキだし、そのことを大切に心に留めている二宮さんもステキだ。

 そんなことを感じながら色々なメディアの記事を読んでいると、二宮さんのラジオ番組の中で、倉本さんからもらった手紙というのが紹介されていた。

ニノ、君はどうしてそんなに爽やかなんだろう? 御両親のおかげに違いない。
ニノ、君はどうしてそんなに明るいんだろう?
御家族のおかげに違いない。
ニノ、君はどうして子どもたちから愛されるんだろう?
精神年齢が同じだからと思われてるに違いない。
ニノ、君はどうして若い女性にもてるんだろう? 危険な感じがしないからに違いない。
ニノ、君はどうしてクリント・イーストウッドをはじめ、年配者達に好かれるんだろう?
馴れ馴れしくて、図々しいからだ。
ニノ、君はどうしてあんなに自然なリラックスした芝居ができるんだろう?
人を人とも思ってないからに決まっている。
ニノ、君はどうして黙っていると深い哀しみの中にいるように見えるんだろう?
深く考えても無駄だということを、どっかでちゃっかり認識していて、 結局なにも考えてないからだろう。
ニノ、君にはどうして清潔感があるんだろう?
きっと隠れて不潔なことを、上手にいっぱいやってきたからに違いない。
それでいいんだよ。 そうやって、正直に、なんとなく、のんびり、オレの歳まで早く老けておいで。 哲学的じいさんになっていくと思うぜ。
倉本聰

 なんてステキな文章なんだろう、と惚れ惚れした。小バカにしたり呆れたりしていて褒め称えているわけではないのに、相手を敬い、そして何より愛にあふれている。最高のラブレターだなあ!さすがです。いつかこんな文章を書いてみたいものだ。
 プライベートな二宮さんを知っているわけではない私たちに、二宮さんの人となりを短い言葉で伝えてくれる倉本さんに感謝。何らかの形で、二度目のブルーリボン賞をとった二宮さんへの現在のコメントが聞きたいものです。

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