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位相と論理と私

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『位相と論理』を読みながら適当に何か書きます
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ブール代数のスペクトル: 真理値表たちを開基とする直積空間!!

ブール代数のスペクトル: 真理値表たちを開基とする直積空間!!

この記事はMath Advent Calender 2022の1日目の記事として作成しました。
内容のレベルは大学数学で、ジャンルは束論、位相空間論、少し圏論です。
全体的に『位相と論理』という教科書を参考にしています(末尾の参考文献1)。

0.はじめにこの記事では、「ブール代数のスペクトル」と呼ばれるものを定義することをゴールとします。そこへ至る過程で位相空間論のよい復習になり、学びがあると思

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位相と論理と私6:ブール環(pp.11-13)

位相と論理と私6:ブール環(pp.11-13)

前回はブール代数を学びましたが,今回はブール環をやります.この2つの概念って異なるものだったのですね(?)

ブール代数とは何だったか順序集合において任意の有限集合にjoinとmeet(最小上界と最大下界)が存在するとき,その順序集合を束といいました.

束が分配律$${a\land (b\lor c)=(a\land b)\lor (a\land c)}$$を満たすとき,その束のことを分配束とい

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位相と論理と私5:ブール代数(pp.7-10)

位相と論理と私5:ブール代数(pp.7-10)

かっこいい言い回しで始まる.$${PX}$$(ベキ集合族)が典型的なブール代数であるとのこと.抽象的過ぎて混乱した時はベキ集合族で考えるとよさそう.

補元定義1.17 束において,$${a\land x=0, a\lor x=1}$$となる$${x}$$を$${a}$$の補元という.

束には最小元0と最大元1の存在が保証されていました.補元はベキ集合で言えば「補集合」というやつですね.台集合$

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半束(はんそく)や束(そく)という字を見ていると,ネギの束(たば)を半分に切ったものやホウレンソウの束(たば)を妄想してしまいます.それでそういった画像をnoteで借りてきて記事のトプ画にしました.

位相と論理と私4:束,分配束(pp.6-7)

位相と論理と私4:束,分配束(pp.6-7)

前回までで,半束のこと,冪等積と順序の一意性についてやりました.今回は束と分配束をやります.これで束論の速習的なことが完了します.

束順序集合がすべての有限joinと有限meetをもつなら,束であるといいます.

第2回で示したように,join半束として完備ならmeet半束としても完備,逆もまた然り,なので,どちらかが完備なら束であるわけですね.

有限join,有限meetがあればよいので,束

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位相と論理と私3:ブール環ぽいものに順序を一意的に入れられることについて訂正(p.4)

位相と論理と私3:ブール環ぽいものに順序を一意的に入れられることについて訂正(p.4)

前回の2の記事で考察不足な部分があったので,それについて説明します.

ブール環っぽいものから一意的に決まる順序命題1.7で,積が冪等ならば順序が一意的に定まることが証明されました.再掲します.

$${A}$$は集合で,$${e}$$はその元,$${\ast}$$は2項演算子で次の条件をみたすとする.

$$
a\ast a=a,\quad a\ast b=b\ast a, \quad a\as

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積が冪等なら順序が一意的に定まることをもっとちゃんと考えようとしたけど、序盤に計算ミスしてて全部無に帰した。

位相と論理と私2:半束(pp.4-6)

位相と論理と私2:半束(pp.4-6)

前回は半束の定義まで進んでいました.その続きです.

半束順序集合$${A}$$のすべての有限部分集合がjoinをもつとき,半束といいます.

半束は空集合のjoinとして最小元0をもつ.任意の2元$${a,b\in A}$$のjoin,すなわち,$${\lor\{a,b\}}$$も存在が保証されている.それを$${a\lor b}$$と書く.

これにより半束の中で$${\lor}$$は2項演算

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位相と論理と私1:読み始めたyo(pp.1-4)

位相と論理と私1:読み始めたyo(pp.1-4)

位相とブール代数を扱っているようです.ブール代数は「論理の代数化を目指して創始された」らしいです.今は第1章を読んだところ.簡素な記述で、基本的には定義−命題–証明の流れで議論が進みます.自力で行間を埋めるべきところがちょっと多めにありますが,大体は定義を理解できていれば簡単に示すことができ,良い練習になります.以下、本に書かれていることをかいつまんで説明します(pp.1-4).

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