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台湾映画「百日告別」

主演:カリーナ・ラム(林嘉欣)、ストーン(石頭、五月天)、アリス・クー(柯佳嬿)、マー・ジーシアン(馬志翔)
2015年 96分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★☆
(写真=v.sogou.comより)

ウォッチリストにも入れていなかった作品なのに、なぜかおすすめで出てきたので観てしまった本作。良かったけれど、もっと明るい、楽しい作品見ればよかった。。。

愛する人を不意に失った者たちの物語

一台のトラックにより引き起こされた複数の車が巻き込まれた交通事故。
カリーナ・ラム演じるシンミン(心敏)は、婚約者のレンヨウ(仁佑、マー・ジーシアン演)を、ストーン演じるユーウェイ(育偉)は妊娠していた妻シャオウェン(曉雯、アリス・クー演)を妻子共に失ってしまう。

二人がそれぞれ、愛する人を失った悲しみをどう克服していくか、100日目の法要に当たる卒哭忌そっこっきまでの100日間の様子を描く物語である。

行けなかった新婚旅行、知らなかったピアノの旋律

シンミンとユーウェイは、最初の数日は自身も交通事故で怪我をしていたため、入院していた。やっと退院するも、婚約者、そして妻のお葬式が待っていた。婚約者はその両親が、妻のは親戚や親しい友人が全て取り仕切ってくれたものの、二人は呆然として何をしていいかもわからない。

7日ごとの忌日きにち法要も、最初は念仏もよく読めず、唱えられもしなかったが、忌日ごとに通う度に少しずつ覚える。
なかなか悲しみから立ち直れない中、シンミンは婚約者レンヨウと行くはずだった新婚旅行の沖縄へ一人で行ってみることに。そして彼の作ってくれた沖縄グルメ巡りをするのであった。

ユーウェイの妻シャオウェンは、生前自宅でピアノを教えていた。しかし、ユーウェイはそのピアノを見るのも辛くて、使っていない部屋に移動させてしまう。しばらく何もやる気が起きないが、ふとピアノの音色がどこからか聞こえてくる。その音色を追いかけてみるが、どこから来るのかわからない。そこで妻の教え子たちの家を訪ねていくのであった。

二人の心は癒されていくのであろうか。

台湾での法要

本作でなかなか興味深かったのは、台湾での法要の習慣。
日本だと初七日と四十九日だけがメインとなるイメージだが、台湾では100日目までは何度も忌日法要をするようで、本作でも初七日、三十五日、四十九日、そして百日の法要が出てくる。四十九日までは七日ごとに行われるようである。

そしてこの法要の形式だが、同じ日が忌日になる人たちの「共同法要」となっていると理解したが、合っているか?しかも、お寺でスタンプカードのようなものを渡され、毎回行くたびにスタンプをもらうという仕組み。

そして百日目の法要が卒哭忌と呼ばれ、故人に対する悲しみに別れを告げる日。これは個人的には全く知らなかった忌日法要であった。お葬式なども含め、台湾における伝統習慣を垣間見ることができてなかなかよかったといえる。

沖縄もいい

シンミンが行くはずだった新婚旅行の行き先を巡る沖縄旅行の部分もとてもよかった。婚約者が作った訪れたい店のリストを一つずつ消化していく。そして私が各ドラマや映画のオススメ度を星で評価しているように、ノートにもお店と食べた料理を星で評価していく。全部料理名がわからなかったが、なんだか知らないものも出てきて、私も沖縄に行きたくなった。

この婚約者はグルメだっただけでなく、日本の漫画も好きだったようで、『神の雫』や『将太の寿司』なんかのタイトルも出てきた。こんなふうに日本のことが出てくるのも嬉しい。

割と淡々と進む物語のように見えるが、ぐいぐいと引きずり込まれて最後まで見てしまう本作、実際に身近な人を亡くしたばかりの人には観るのが辛いかもしれないが、心の癒しにもなってくれる、そんな映画であった。主演のカリーナ・ラムはこれで賞を取ったらしいが、ストーンと共に、二人とも納得の素晴らしい演技であった。

こちらが予告編。現在アマプラで配信中。



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