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混色は絵の具を全色出して隣同士を混ぜればバッチリ!白と黒は使わせない!

図工の大家であった大先輩のA先生からの「教え」を紹介している。

今回は前回に続き、個人用絵の具の指導についてである。
前回、次のA先生の次の言葉を紹介した。

水彩絵の具の指導では、毎回原則的に、パレットに全色の色を出させるとよい。
その時には、絵の具の箱に並んでいる順番通りに。そして、たっぷりと。

A先生がこう考えていた理由は、次の三つであると私は考えてきた。

1 色を覚えることができる
2 色彩感覚を育むことができる 
3 混色の指導が効果的に行える

この三つの理由により、結果として、よりよい描画指導ができる。

今回はこの中の「3」の理由についての説明である。

3 混色の指導が効果的に行える

なぜ、パレットに、絵の具の箱に並んでいる順番通りに絵の具を出すと、効果的な混色指導になるのか。
それは、この順番が色相環の順番だからだ。

パレットに隣り合っている色を混ぜれば、絶対に失敗はない。
きれいな色を作ることができる。

混色指導は、子供に自由にさせればいいというものではない。
「シロウト」考えである。
偶然うまくいった組み合わせを知識として覚えておけるパターンは、せいぜい数種類だろう。
パレットに色相の順番で並べておけば毎回「成功」する。その繰り返しで彩色技能、色彩感覚も伸びる。

さらに次の指導も付け加える

さらに、次の指導も必要だ。

一色離れた組み合わせでも、きれいに発色させることができる場合が多い。
間が離れれば離れるほど、色は濁る。

この二つは、子供に経験させて覚えさせればいい。

混ぜる色数は、三色が限界である。

隣り合った色を混ぜれば失敗はないが、隣り合った三色を混ぜても殆どの場合、「成功」する。
しかし、三色までである。
四色では濁る。
これも、子供がやってみると分かる。

この付け加えた指導は、「色相環の順で隣り合った色を混ぜるときれいに発色する」という原則を教えてあるから、子供がやって失敗して身に付くという学習が成り立つ。
 自由な混色指導は、子供を「潰す」だけである。

「白と黒は特別」を必ず教える

パレットに絵の具の箱通りに絵の具を並べると、左端が「白」、右端が「黒」になるはずだ。

だが、この「白と黒」は、特別な色であるから、簡単に混ぜではいけないことを指導する。
隣同士の原則は、適用してはならない。

小学校で使用させている絵の具は、透明水彩である。
しかし、「白」は不透明水彩なので、混ぜるとせっかくの透明水彩のよさが発揮できなくなるのだ。
「白」を表したければ、紙の白い色を使えばよい。
また、例えば、ピンクを作りたければ、赤を水で薄めればいいのである。

黒も同じである。
色が強すぎて、透明感を失わせる。
黒い色は、補色の混色で作らせればよい。
結果として、「きれいな」「様々な」黒い色が作れる。
子供も喜ぶ。そして、技能も高まる。

だから私は、絵の具指導の初めは、「白」と「黒」はパレットに出させない。

しかし、子供は「白」を混ぜるのが好きである。
あの不透明なペタッとした感じが好きなのだろう。

だから、「白」の美しさや「白」を混ぜて作った色の美しさが発揮される題材も準備する。
そこで楽しんで使わせて、白の使い方を学ばせていく。

だから私は、トレーニングとしての絵の具指導に反対である。
このことは次回に譲るとして、なぜ全色をパレットに出すと良いのかお分かり頂けただろうか。

ケチケチ絵の具を使わせても、どうせ1、2年経ったら、チューブの中で絵の具が固まって使えなくなる。全色たっぷり出させるといい。描いている途中で絵の具が足りなくなって出すのは、時間の無駄だ。

これもA先生の言葉である。