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3年理科 太陽と影の学習ポイントは「影踏み遊びを『2回』やること」

3年生の理科の学習内容の一つに、太陽と日陰や影の関係を扱ったものがある。

この学習単元の導入部において、影踏み遊びを「2回」やることで、学習が深まりやすくなる。

各教科書会社の3年生の理科教科書を調べたところ、導入部で「影踏み遊び」を行う計画になっているものが比較的多く見られたが、そのどれもが、「1回」しか行っていない。
それを、午前と午後の2回行うことで学習効果が高まることを以下にお伝えする。

まず、午前中に(1時間目か2時間目がベスト!)、一度影踏み遊びを行う。

あらかじめ運動場のある場所に石灰で四角形を描いておき、そこで行う。

重要な点は、この影踏み遊びを行う四角形をどこにどのように描くかということだ。
事前に調査をしておかなくては絶対に成功しない。

第一に、四角形の一部分に校舎や電柱などの建築物の影が差し込む場所であること。
第二に、四角形のある辺に沿って立つと影が四角形の外側にできて、決して踏まれなくなるそういう辺のある向きに四角形を描くこと。

この二つのポイントを押さえた四角形で影踏み遊びを行わせることによって、

「なぜ、<その場所>は、自分の影が踏まれないのか。友だちの影が踏めないのか」

という問いが生まれ、そしてそれを調べることで、

・影は太陽と反対側にできること
・影の中に影はできないこと

が理解できる。

さて、本当に大切なのはここからだ。

午後になり、5時間目にもう一度理科を行う。
一日に2時間理科を取れないならば、他教科と組み合わせて15分程度でもいいから行えばいい。午前中に行う理科を30分にして合計すればちょうど45分間になる。

5時間目にもう一度、同じ四角形で影踏み遊びを行うのだ。

すると、午前中にあった建物の影がなくなっていたり、影が踏まれなかった辺に沿って立っても今度は踏まれてしまったりする。

つまり、そういう場所を運動場に探し、そうなるような向きにあらかじめ四角形を描いておくのだ。
これが、影踏み遊びを行う四角形をどこにどのように描くかということの最大のポイントである。

この影の位置の変化を生む2回の影踏み遊びによって、

「なぜ、◯時間目には影が踏まれなかった場所が、5時間目には踏まれてしまうのか。」

という問いが生まれる。

その問いに対して話し合っていくことで、

「影は動くのか=影の位置は変わるのか」=「それは太陽が動くからなのか」

という問題が設定できる。
なお、こういう時に、「太陽が動くのではなく、地球が動く」と、知識を用いる子供もいるが、そういう発言に対して私は、「そうだね。よく知っているね。でも、この学習では難しくなり過ぎないように、太陽が動くという見方で進めていくよ。いいかい。」と、説明し、納得をしてもらう形を取ってきた。

上記のような問題が設定できれば、その後は、この問題を調べるための観察方法を考えることになる。
その際、観察道具をどこに置くのかを考えさせる際に、影踏み遊びで建物の影が「動いた」経験が活かされる。
例えば、紙の中央に短くした割り箸(長いままだと3時頃、紙から影がはみ出してしまう場合が多いので)を粘土で立てて継続的に調べるなどの方法になるだろうが、観察場所について見通しをもたないと、時間の経過とともに校舎などの影に入ってしまう可能性があることに気づかせるのである。

以上が、「2回」の影踏み遊びを行う指導の工夫である。

ちなみに、午前中に子供たちと運動場に出た後、いきなり影踏み遊びを行うのではなく、様々な影を作って遊ぶことを十分に行い、気づいたことを出し合っておくと、その後の学習効果がより上がる。

また私は、そうした教室以外の場所で学習を進めるときには、どの教科でも、画板に四つ切サイズの画用紙などを付けておいて子供の発言を記録するなど、黒板のように扱う。「画板黒板」である。
教室に戻ってから話し合ったことを想起するのに容易になりたいへん役立つ。いちいちタブレットに記録しておくよりも「再現」が簡便である。
特に体育では必須である。私はプールサイドにまでこの「画板黒板」を持ち込んでいた。
なお、いくつかの理由でタブレットはプールには持って行かない方がいいだろう。

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