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自己肯定感低い恋愛の末路②

自己肯定感の低さと恋愛、その②です。


自己肯定感が低いと
相手の選び方を間違えてしまう、というのが
前回のお話でした。

ここまでは、わりとよく世間でも言われている話。


問題はその先です。

わかりやすく説明するために、
「美女と野獣」のパロディで解説してみたいと思います。


自己肯定感が低く、自分に自信の無い少女ベルは、
「王子様が私を愛するわけがないわ。
私には、野獣がお似合いよ」
と、野獣の恋人を作りました。

野獣は、自分が野獣だとわかっていますから、もちろん自己肯定感が低いです。
ですので、自己肯定感の低い同士のカップルです。

野獣は、自分を選んだ美しいベルのことを

「この美しい女と俺が、長続きするわけがない。
適当に遊んで、適当に別れるんだろう」

と思って付き合い始めました。


ベルのほうも

「どうせこいつ野獣だし。私の醜い部分が知られても、別に平気だわ。

この人に嫌われてもなんともないから、
気を遣う必要なんかないわ。」

と、野獣を見下し
わがまま放題、振り回し放題で付き合いました。

例えば、野獣がデートの時間に
仕事で遅れてくると
ベルは
「私を待たせないでよ!
冗談じゃないわ。あんたなんか顔も見たくないわ」
と、思いやりのカケラもなく
怒り狂って帰ってしまったりもしました。


それはベルが今まで、親にも誰にも見せたことがなかった、赤ちゃんの甘えのような態度でした。

自己肯定感が低く、対人恐怖症のベルは
人に嫌われるのが怖くて、
今まで誰にも、甘えることが出来なかったのです。


親にも見せたことのない、ベルのありのままの
「やりたい放題甘える姿」に、
野獣はベルからひどい言葉を投げつけられているのにも関わらず、
ベルを愛おしく思うようになりました。

「誰の前でも優しい良い子のベルが、
俺の前でだけ、醜い感情を露わにして、
素の自分をさらけ出してぶつかってくれる!

ベルにとって、俺は特別な存在なんだ!」

と、野獣は思いました。

そうです。
自己肯定感の低いベルにとって野獣は
「この世で最もどうでもいい相手」という、

「特別な存在」

だったのです。


美しいベルの「特別な存在」になれた
野獣は、嬉しくてたまりませんでした。

だから、
醜い怒りをぶつけてくるベルを
抱きしめて、野獣は言います。

「デートに遅れてごめんね、ベル。
僕が悪かったよ。
二度と遅れないようにするからね。
大好きだからね」

それに野獣は、
自己肯定感が低いので、ひどい言葉を投げつけられても、
それほど腹が立ちませんでした。

ベルのほうは、
ひどい態度と言葉を投げつけたのに
野獣に抱きしめられて驚きます。

「この人は、私が何をしても、
どんなに醜くても
私から離れていかないんだわ…
なんて心地好い関係なのかしら…」

ベルは野獣の優しい愛に支えられて、
ほんの少し、生きるのが楽になりました。

でもでも。
ベルの自己肯定感の低さは筋金入りでした。

「私にとって彼は、居心地のよい、
有り難い存在だわ。でもこんな私を
愛しているなんて、やっぱりきっとたいした男じゃ
ないのよね。
野獣だから、他の女が寄り付かないから
私しかいないだけだわ」

その頃、心の底からベルを愛し始めていた野獣は、
自らに芽生えた「人を愛する能力」によって
野獣から王子様に変身しかけていました。


他人から見ると、もうほとんど王子様でした。

ところが、
自己肯定感が低いベルの目には、
その「変身」が見えなかったのです。
「私を愛する男が、王子様であるわけがない」
と決めてかかっていたからです。

ベルは、だんだんと野獣=王子様の愛情に慣れきってしまい、
「もしかしたら、彼は居ても居なくても、
もはや私の人生にとって、
どうでも良いかもしれない」
と思うようにさえなりました。

ほとんど王子様の姿になっていた野獣は、
それでもベルのそばに居ましたが
心の片隅で、寂しさを感じ始めていました。


そんなある時、
本当に心の美しい、健全な自己肯定感を備えた別のベルと野獣は出会いました。

こちらのベルは、野獣が野獣ではなく、
人を愛する能力を持つ王子様であることを
すぐに見抜きました。
「低い自己肯定感」という妙なフィルターの無いこちらのベルには、
現実がありのままに見えるのです。

そして、
「もし、あなたの古いベルさんが、あなたのことをご不要なようでしたら
わたしの王子様になっていただけませんか?」

と王子様(野獣)に申し込みました。


王子様は、古いベルのことが
少し気がかりだったけれども、
どうも古いベルは自分のことが要らなくなったように見えるし、
何しろ新しいベルは温かい愛情を示してくれる。

こちらのベルを愛するほうが、自分も幸せになれそうだ。

そんなふうに考え、新しいベルの王子様として生きることのほうを選びました。


そう、古い、自己肯定感の低いままのベルは、
捨てられてしまったのです。

野獣だとばかり思っていた王子様が去ると、
古いベルは初めて、それが
大切な王子様であったことに気づいて愕然としました!

他人の王子様になった彼を見ると、
それは確かに野獣ではなく、
王子様の姿でした!


自己肯定感の低いベルがそれまで見ていた彼の姿は、

ベルが「自己投影した姿」だったのです。

自己肯定感が低く自らの美しさも見えなかったベルは、
自分のことを「野獣」のように感じていました。
だから、一番親密な彼のことも野獣に見えていたのでした。

「健全な自己肯定感を育てる」という
大切な自己内作業をサボって
野獣の愛に甘えてばかりいたために
古いベルは、大切な王子様を失ってしまったのでした。


だから、私たちも気をつけましょう…

幸せになりたければ、
自分がしなければいけない努力がありますよ。

自己肯定感が低いというのは、謙虚とは違います。

自己肯定感は健全に引き上げる必要があります。

その作業を怠けていると
受け取れるはずの他人からの愛も、
受け取り損ねることになるのです。

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