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【30分でわかる】白潟総研流「採用力」大全 実践編「現状分析」〜採用力のある会社がしているシンプルで意味のある分析~

 採用が異常に難しくなった現在の日本で、

☑中小ベンチャー企業に本物の「採用力」を手に入れてほしい!
☑本物の「採用力」を武器に、思いっきり自社らしい経営をしてほしい!
☑中小ベンチャー企業こそ「誰かにとっての楽園」になれるはず!

そんな想いを込めて始まった白潟総研流「採用力」大全という本note企画、
今回のテーマは

実践編①「現状分析」~採用力のある会社がしているシンプルで意味のある分析~

です!

彼を知り己を知れば百戦殆からず

「孫子・謀攻編」

 とは今も語り継がれる格言ですが、採用でも

「彼(=求職者と採用競合)を知っているか?」
「己(自社)を知っているか?」

は非常に大きなポイントになります。

本物の「採用力」を持つ会社はどのような現状分析をしているのか?その考え方と超具体的な実践方法を共有していきたいと思います。

本noteは4章構成となっております。
 1章「現状分析の目的を見失わない」
  では、現状分析のそもそもの目的と、我々中小ベンチャー企業はどんな現状分析を行うべきか?について一緒に考えます。
 2章「数字に聴く」
  では、数字から分析する実践方法を
 3章「求職者に聴く」
  では、求職者から分析する実践方法を
 4章「社員に聴く」
  では、社員から分析する実践方法を
 それぞれみていきます!

 どの章から読んでいただいてもOKです!
 そもそもの考え方をしっかりしておきたい方は1章を、実際の実践方法を知りたい方は2~4章を好きなトコロから読み始めてください!

 今後も、「実践編」を何本かに分けて公開していきます。もしよかったら見逃さないよう本noteかTwitterをチェックしていただけますと嬉しいです!

 ※ちなみに前回のnote「【45分でわかる】白潟総研流「採用力」大全 ~思考編「中小ベンチャー企業は、誰かにとっての楽園になれる」~」はこちら


1章「現状分析の目的を見失わない!」

■現状分析の"目的"を明確にせよ!

 まず我々が知るべきは、
採用に強い会社は"何のために"現状分析をしているか?
です。

 結論からいうと本当に採用力のある会社は、

この3つを見つけるために現状分析を行います。

この3つは順番がとっても大切です。

 お客様から採用の相談を受けるとき、現状分析をきくと"上手くいっていないこと"ばかり出てくることがあります。人は意識しないと良くない点に目が行くので、自然なことではあります。

しかし、課題なんて実はどうでもいいのです。

採用でもマーケティングでも組織変革でも、なんでもそうなんですが、ビジネスの原則は「強み」に注力することなのです。

「強みのみが成果を生む」

「マネジメント」 P.F.ドラッカー

「短所には目をつむって、その人の長所を一生懸命探して、そこを徹底的にほめて伸ばしなさい」

「長所進展の法則」船井幸雄, 小山 政彦

 ドラッカーさんも船井幸雄さんも言うように、とにかく注力すべきは自社の強みです。
 まずはとにかく強みを見つけること。そしてそれを伸ばすように採用を変えていくことなんです。

 そしてその次に「予期せぬ成功」を探しにいきます。

予期せぬ成功に注意し、事業機会を追求せよ。

「イノベーションと企業家精神」 P.F.ドラッカー

採用も
「え、こんな経路から応募が?!」とか
「え、そんなことが求職者に響いていたの?!」など、
我々が気づかぬ"予期せぬ成功"にあふれています。
それを見逃してはいけません。

予期せぬ成功を見つけ、その成功が必然的に起こるように自社の採用を変革していきましょう!

 「伸ばすべき自社の強み」と「予期せぬ成功」を見つけたら、最後に「自社の弱み」を探します。

 自社の弱みを見つけたら、基本的方向性は"その弱みを避けること"です。つまり、自社の弱みで勝負しなくても済むように採用を変革していきます。どうしても避けられない弱みだけ、最低限の対策を打ってダメージコントロールします。
 弱みの改善はエネルギーを使う割に効果性が薄いので、最低限の対策を打ったら終えてしまい、自社の強みと予期せぬ成功を伸ばす方に時間とお金と情熱を集中しましょう!

■目的を見失うと・・・

 この目的がズレていると、どれだけしっかり時間をかけて分析をしても成果につながりません。
現状分析すること自体が目的化してしまったり、報告のための現状分析になってしまっているのだとしたら、それは時間のムダとなってしまいます。

 「採用力」をあげるために重要なことは、採用に使う「時間とお金のムダ」をとにかく削減すること。そうして生まれたリソースを魅力的な会社づくりに投資し続けることです。
 特に現状分析は目的を見失いやすく、ムダになってしまいやすい業務です。目的を明確に見据え、そのために実施するようにしましょう!

■何を分析すればよいのか?3C分析

 現状分析といえば最も有名なのは3Cのフレームワークをつかって、
Company(自社)
Customer(市場・顧客・・・採用でいえば、採用市場と求職者)
C
ompetitor(競合・・・採用でいえば、採用競合)
の3つの観点から分析していく方法が有名かと思います。

 ただ、この3Cでの分析、実はとっても難しいんです・・・!
時間をかけて3つのCで洗い出しをしても、わかりきっていたことをきれいに整理しただけになってしまう。
「で、なんなの?」と意味のない分析になってしまいがち。

 論理的で漏れのない素晴らしい分析結果をつくることが目的ではなく、採用に成功することが目的なのです。そんな暇とお金があったらスカウトメールを1通でも打ったほうが我々中小ベンチャー企業の採用は上手くいきます。

何度でも言いますが、「採用力」をあげるために重要なことは、採用に使う「時間とお金のムダ」をとにかく削減することなのです。

我々中小ベンチャー企業は、もっともっとシンプルで意味ある分析をすべきです。

※ちなみに、3C分析には効果がないという意味ではなく、使いこなすのが本当に難しいのです。超難易度の高い人材の採用や難易度の高い地域での採用、ゼロから採用ブランディングを行う際には弊社も3C分析を使います。

■中小ベンチャー企業のためのシンプルで意味のある分析

では、実際に我々が実践することのできるシンプルで意味のある分析とは、どのようなものなのか?

そのために行うべきは、
「数字」
「求職者」
「社員」
の3つの分析です!

この分析を通して、
①伸ばすべき自社の強み、②予期せぬ成功、③自社の弱み 
を見つけていきます。

1つ1つ具体的にみていくと、

1.「数字に聴く」
直近1年間の採用の実績を数字で見ていきます。
ただ、年間1,000人くらいの母集団がいないと数字的な分析は正確にでないので、ざっくりと仮説をつくるために数字を見ましょう。

・どこに強みがありそうか?
・予期せぬ成功はないか?
・明らかに弱いところはないか?
の大まかな見当がつけばオッケーです。

数字の分析は、ハマるとめちゃくちゃ時間を使ってしまうので、
大体1時間くらいかけてざっくり見るだけでよいです。

1時間で終わりそうにないくらいデータがとっちらかっているなら、今年は数字の分析を行わなくていいです。

やっす~い採用管理システム(ATS)を入れて、来期から楽にデータがとれるようにだけしておきましょう。

2.「求職者に聴く」
求職者へのインタビューこそ現状分析でもっとも意味があり、もっとも時間をかけるべきところです。

また、採用市場と求職者の変化にキャッチアップし続けるために毎年行うべき分析でもあります。

具体的には「応募者ジャーニー」という手法を使うのですが、
☑去年採用できた最高の人材
☑去年採用したかったのに他社にいかれてしまった最高の人材
の2人には最低でもインタビューを行いましょう。

採用にかかるムダな時間を削減できて余裕をつくることができたら、可能な限り多くの求職者に「応募者ジャーニー」を行いましょう。

3.「社員に聴く」
社員へのインタビューも現状分析で非常に大きな意味があり、時間をかけるべきところです。

毎年行う必要はないので、組織の規模や雰囲気が変わってきたな~と思ったタイミングで実施しましょう!

ちなみに、私のクライアントで、心の底から尊敬している採用責任者さんは毎日いろいろな社員さんとランチにいき、
「ウチで働く魅力ってなんだと思う?」
「どんな人がウチに合っているかな?」
とインタビューし続けています。

本当に採用力のある会社は、常に自社の強みと予期せぬ成功を探し続けることが習慣になっています。

それでは、2章以降から「数字」「求職者」「社員」それぞれの具体的分析方法を見ていきましょう!

2章「数字に聴く」

 では「数字に聴く」の具体的な方法を見ていきましょう!

どこを分析すればよいか洗い出してみると・・・

①応募経路ごとの分析
ーどの経路から人がたくさん集まっているか?
ーどの経路からの内定者が多いか?
ーどの経路からの承諾者が多いか?

②選考プロセスごとの分析
ーどのプロセスでの離脱者が多いか?
ー誰が担当した時の離脱者が多いか?
ー通過率が高すぎるプロセスはないか?
 ※落とされるべき候補者が通過してしまうことは、
  採用の無駄をつくる

上記の観点で、どこかに強みや予期せぬ成功や弱みがないか検討がつけばOKです!縦軸を採用経路、横軸を選考プロセスでExcelをつくって分析しちゃいましょう!

※Excelつくるの面倒くさい方はTwitterか何かで声かけてください!テンプレート差し上げます。⇒白潟総研 石川哲也のTwitter

この数字の分析に時間をかけてはいけません。精緻で漏れのない完璧な分析を行っても、得られるものはほとんどありません。
 数字の分析で大切なことは、とにかく時間をかけないことです。我々の目的は完璧なデータをつくることではありません。ざっくりと自社の強み・予期せぬ成功・自社の課題の見当がつくが目的です。目的を見失わないようにしましょう!

3章「求職者に聴く」

 「求職者に聴く」では、そのまんまズバリ求職者へのインタビューを行います。求職者は自社の採用力アップネタの宝庫です。ここにこそ時間を使いましょう!

 インタビューといっても、30分くらいで行う
「なんで弊社に承諾してくれたんですか?」
「どこに惹かれたんですか?」
などを聴くだけだと重要なネタを全然とれません。

行うべきは「応募者ジャーニー」と弊社が呼んでいる手法です。

白潟総研では毎年この応募者ジャーニーで採用変革をやり続けて3年、
新卒の内定承諾率を、

■19卒     ■20卒     ■21卒
33%(2人/6人)→75%(3人/4人)→100%(3人/3人)

まで、劇的に改善することができました。採用力を上げたいなら、何を差し置いても絶対にやっておきたい最強の分析手法だと思います。

■応募者ジャーニーとは

応募者ジャーニーはマーケティングで開発された「カスタマージャーニー」を採用の世界に転用して作り出された手法です。

一言でいうと
自社の選考を受ける学生・求職者の動き(行動・思考・感情)を時系列でじっく~りインタビューして見える化したもの です。

↓実際の成果物…6ページ分くらいになります(笑)

白潟総研 21卒への応募者ジャーニー

 実際に自社の選考を受けてくれた人(理想をいうと内定承諾者1人、内定辞退者1人の最低2人はやりたいところ…)に、
たっぷり時間をとってもらいインタビューを超詳細にしていきます。

 実際にどんな風に考えどんな風に動きどんな風に感じていたか、インタビューを通して一緒に追体験していくことで、

・求職者が自社をどんな風にみつけて、
・何を考えて応募して、
・WEB上から何を見て、
・説明会で何を感じて、
・選考プロセスのなかでどんな体験をして、
・どんなところに魅力を感じ、
・どんなところでネガティブな体験をして、
・いつその会社に入りたいと思ったのか、
・内定承諾前に何に迷ったのか
を徹底的に分析していきます。

 これをつくることで、自社の選考プロセスで見落としていた問題点や、もっとパワーアップできる点を洗い出し、次期採用から「変えるもの」「変えないもの」を決めていくことができます。

 応募者ジャーニーをやると、いかに学生・求職者の動きに対して我々企業側が無知であるかを思い知らされます

 自社が狙っていた訴求ポイントと学生・求職者が実際に魅力に感じた点が違うことなんでザラにありますし、思わぬところで意向が下がっていることに気づけたり、偶然おこなった1つの行動が内定承諾の決め手になっていたりします。

 白潟総研ではもう4年目ですが、毎年毎年エゲツない気づきが見つかり、小ネタ大ネタ大幅に採用プロセスをブラッシュアップすることができています。
悪いプロセスや行動があればそれを見直し、
良いプロセスや行動…「伸ばすべき強み」があればそれを見い出し、
偶然起こった/起こした「予期せぬ成功」は必然に変える


応募者ジャーニーはそんな採用変革の手法なのです。

※応募者ジャーニーのフォーマット欲しいっていう方、私にTwitterか何かで声かけていただくか、「応募者ジャーニーのテンプレート欲しい」と問い合わせ入れてください~。見本と一緒に送ります。

4章「社員に聴く」

 「社員に聴く」は社員への徹底インタビューです。自社の社員へのインタビューでは、自社の魅力と課題を徹底的に聴きます。

 自社の採用において、

☑自社の魅力を100個くらいすらすら言えるでしょうか?
☑職種ごとの仕事のやりがいを生生しく語れるでしょうか?
☑自社の採用サイトや採用ピッチに書く魅力と課題を、経営者・採用担当者(+コンサルタント・制作会社)だけでつくらず、社員を巻き込んでつくったでしょうか?

もし1つでもノーがあるなら、「社員に聴く」の分析を行うことで採用力が爆上がりします!

■自社の魅力と課題のワークショップを行う

 会社の魅力と課題を洗い出す一番手っ取り早い方法は、社員を集めて魅力と課題の洗い出しのワークショップを行ってしまうことです。
 社員を集めたら、ふせんを用意しみんなで魅力と課題を書き出していきます。書き出せたら、それをホワイトボードに貼りながらグルーピングしていけばできます。
 2時間くらいのワークショップですが効果は抜群!これだけで自社の魅力が見違えて良いものになります。
 また、出てきた課題を採用プロセスの中で伝えるようにすることで、入社後の「こんな会社だと思ってなかった!」「こんなの聴いてなかった!」という不幸な突然離職を防ぐことができます。

 魅力と課題のワークショップを実施すると「採用力」は大きく上がります。実例としてイノーバの宗像社長のtweetを貼っておきます。

 では、実際にどのように実践したらよいのか?下記にポイントをまとめます。

ワークショップのポイント①:メンバーの選び方

 魅力と課題を洗い出そう!というときに重要なのはメンバー選定です。ずばり結論を言うと、

会社へのロイヤリティが高い&採用したい人材に似ている人

をメンバーとして選定します。

 会社へのロイヤリティが低い人からは、そもそも魅力が出てきません。出てくるのは、愚痴・不平・不満だけです。そういう人の言葉に振り回されると、出てくる魅力も出てこなくなります。
 また、採用した人材に似ている人からは、採用ターゲットにより刺さりやすい魅力が出てきます。

ワークショップのポイント②:魅力の出し方

 自社の魅力を考えるときに、ものすごく大きな魅力を考えようとすると(例えば〇〇業界シェアNo1とか平均年俸1,000万とか)、魅力を上手く洗い出せなくなります。

 実際の会社の魅力というのは、小さなちょっとしたことの集積で出来上がります。例えば、

・近くに行きつけの焼肉屋さんがあって、そこでプロジェクト後に飲むビールが最高!
・社長室がなくて、社長との距離が近いから会社の方針がダイレクトにわかる!
・上司が月に1度、本気で話を聴いてくれる!
・会社にPepperがいて和む!
・お客様から直接ありがとうって言ってもらえる!
・超面白い社員がいて最高!

 そういう小さな魅力をとにかく洗い出していきます。小さな魅力が積み重なって1つの会社をつくっています。
 肩に力をいれずに、小さな魅力、各社員が主観的に感じている魅力を洗い出していくと、会社の魅力が見えてきます。

上記2つのポイントをおさえて、魅力と課題のワークショップを実践してみてください!

さいごに

 採用力のある会社がしているシンプルで意味のある分析について、本noteでまとめさせていただきましたが、いかがだったでしょうか? 1つでも気づきが、1つでも実践したいと思っていただけたならとっても嬉しいです!

 学びを得た後、それを実践する人は10%もいないと言われています。逆をいえば、学びを実践していくだけでドンドン他社との差をつくっていくことができます。「採用力」で他社との差がつくと、強烈な競合優位を生むことができます。企業は人なり。やはり、最終的には人で差がつくのが企業経営だと思います。ぜひぜひ実践してみてください!

 本noteの感想や実践してみた結果など「#白潟総研と考える採用力」のハッシュタグをつかってつぶやいていただけたら幸いです!この企画の目的は1社でも多くの中小ベンチャー企業に本当の「採用力」を得ていただくことです。全てのtweetを拝見し、白潟総研全社員でリツイートさせていただきます!

■おまけ

おまけ①:『日刊7秒しかけ』
たった7秒で、デキるビジネスパーソンに一歩近づける!誰でも簡単に始められて、仕事ができるようになる "しかけ" を(月)〜(金)まで毎日お届けします!採用・組織の勝ち筋について毎月2~4回やってますセミナーやってます

おまけ②:石川の採用・組織のセミナーはこちらより
採用・組織の勝ち筋について毎月2~4回やってますセミナーやってます


中小ベンチャー企業のための採用・人材開発・組織開発についてnoteを書いていきます。 採用ー人材開発-組織開発 を切り離して考えるのではなく、1つの大きなシステムとしてみていくようなスタンスであります。