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『息子のトリセツ』(黒川伊保子)ブックレビュー

出ましたよ、我が家の育児の“伝道師”、黒川伊保子さん。『妻のトリセツ』から行儀よく順番に取り揃え、妻曰く「これまでの本で一番いい」「ここまで読んできた内容の総復習みたいな感じ」と大絶賛の本です。実際、イイ。実例の『育児あるある』に強く頷き、端々に溢れ出る黒川さんの狂おしいほどの息子愛が微笑ましく、心地いい。黒川さんは息子を持つ母親に、そして母親を持つすべてに男性にこの本を手に取ってほしいと語る。ただしどんなにそれが自身の体験とずれていようと、『子育てに、後悔は要らない』(P63)。世の中の育児者全てへのエールやリスペクトの心にあふれたこの本、レビューします。

第一章:男性脳を学ぶ

男女の脳のスペック自体は同じ。ただしとっさに使う神経信号モデルの選択が違う(P21)
男性は狩り仕様(遠くを意識)、女性は子育て仕様(近くを意識)(P24)。だから息子は「ぼんやり」「~しっぱなし」になりがち(P28)。
男の人生のテーマは「自我の確立」。(※女は産まれた時から自分中心。)産まれたばかりの男の子は車や電車などの他のものに夢中になり、常に母にも夢中な『客観型』。やがて自分(主観)を確立していく(P32)
女性が男の子を育てる(=男性脳を育てる)のはこの世の半分の感性を手に入れる冒険(P40)
散らかし放題が英才教育(P42)。男の子は散らかした部屋を記憶しながら次はこうしようと想像し、実行するを繰り返す。したがって保育園後もそのままの散らかった部屋にしておくべし。(P46)散らかし放題の部屋『心の聖地』があると空間認知力がぐんと上がり、情緒の安定や集中力にもつながる(P47)
母は男にとって原点。母との距離を測りながら世界を広げる。だから原点が揺るがないことは強い男性脳になる(母親が機嫌よくいることはとてもポジティブ)(P50)
甘やかしたほうが冒険の旅に出やすい(P57)

まずは男性脳の理解を前提に息子の育児に向き合うことが大切と。P40の『女性が男子を育てるのはこの世の半分の感性を手に入れる冒険』ってとこは、“ザ・伊保子”な内容だ。
ちなみに我が家の白玉も部屋は散らかし放題(僕的にはここはまだちょっと気になっているところだけど・・・ちょっと今は忙しすぎてそこに優先度を持ってこられていない笑)。確かに勝手に片付けると保育園から帰ってきた後めちゃめちゃ怒る。あれは、保育園で“帰ったらあれをこうして・・・”とか考えていた想像を邪魔されたから怒ったんだな。

第二章:「生きる力」の育て方

子供にとって何が必要かは母親が決めていい。逆に母親にとって気持ち悪いことは子供にとっても気持ち悪い(P61、77)
8歳までが生きる力の基盤(P63)なので、母と子でふんだんに対話をすべし。授乳中も話しかけて(P65)。
早寝・早起き・朝ごはん・運動能力(P68)が肝。異年齢の子供同士の自由遊びも効果的。
「ぼんやり」することで脳を整理し学習しているので十分にぼんやりさせること(P72)
冒険のファンタジーは本・映画・ゲームで(P78)。読書は脳に与える体験(P86)であり、まず絵本から始め「面白い」と刷り込ませることが大切(P82~84)。
眠い時は眠らせること。22時以降の携帯と寝る前の甘いものはNG(P81)

これねぇ、なかなかできてますよ、石ころ家は。てか、妻と妻の母がよくやってくれている。特に授乳中の話しかけは妻は本当によくやっているし、TVを一緒に見るときも話しながら見ている。読書(絵本の読み聞かせ)なんかは、妻の母が自ら本をプレゼントすることを申し出てくれて、毎月新しい本が届き、白玉もおにぎりもよく読んでいる。僕も休みの日は子供との外出と家事でほとんどの時間を割いてしまっているけど、意識してもう少し本を読まなきゃだ。そして石ころ家全体としては、今後は早寝早起きにもチャレンジが必要。

第三章:「愛」の育て方

優しい言葉は入力しないと出てこない。スキ、大丈夫などを繰り返し伝えるべし(P92)。優しい言葉は時に倍返しで返ってくる(P97)
黒川さんの子育てのテーマは「母も惚れるいい男」(P98)。①愛を伝える②命令しない③頼りにする④結論から言うを意識(P124)
男性は序列が好き。だから家の中では妻は夫を立てること(P112)

上記とは別に、P98に記載された具体的な理想の息子像にめちゃくちゃ共感。特に“いい子でなくていい、でも魚を美しく食べられる男に”とか、“完璧でなくていい、それより失敗にタフでいてほしい”とか。伊保子、気が合うね。

第四章:「やる気」の育て方

12歳から2年くらいで子供は脳の仕組みを大人化していく。これが思春期。これまでの態度と大きく変容することもあるが焦らずに(P126)
やる気には栄養が作用。卵は便利。空腹時の甘いものは要注意。(P36~138)
イヤイヤ期は脳の実験期。動作と現象の関係をいろいろ試しているのでできるだけ体験させること(P145)
質問には「答え」られなくても「応え」るべし(P148)。難しい質問も無視せず共感するなど。考察を重ねることが身になる(P151)
学校はものの見方を手に入れるために学ぶ場(P159)
ゴール設定やロールモデルは遠くに設定(=大きな目標がやる気を育てる)(P160)
失敗を恐れず、戦略力を蓄えさせることが大切(P171)であり、親が過度に失敗を気にしたり恐れたりするとそれが息子のリミッターになってしまう(P174)。
失敗によって得られた確信(納得感・腹落ち)は他者からの称賛よりも気持ちいい(P176)。だから『志高く、結果に無頓着』が大切(P179)

質問に『応える』ことの重要性は、昔石ころ家でも話し合った気がする。あと、泣いている子供を放置しないとかね。この対応によって、子供の意識の中に疑問を持ったりそれを表現することへの気持ちよさが生まれる気がするのよ。

第五章:「エスコート力」の育て方

共感力は母親から。弱点を突き解決を急ぐ男性的な会話は、育児においては女性もやりがちなので注意。(P190)
大切なのは①褒める②ねぎらう③感謝する④見たこと感じたことを何でも話す⑤頼りにする⑥弱音を吐くこと(P200)
親が食べることや料理することを楽しむと男子も料理上手に(P214)
好奇心があふれて自らその一歩を踏み出したときにセンスを発揮する(P216)
ミラーニューロン(目の前の人の表情を直接神経系に移しとる)があるので、とにかく表情で会話をすべし表情は出力であり入力でもあるので、明るい表情を作ると気持ちも明るくなる(P222)

“世の男性の会話に共感力がないのは、実は育児の際の女性が子供に共感して見せていないから”みたいな箇所は、刺激的だった。本来共感を欲している女性たちも、育児という『すべきことvs時間制限』の中でいっぱいいっぱいになっちゃうのよね。その余裕を持たすには女性自身のキャパもしくは周囲のサポートが必要。
あとミラーニューロンあたりもよかったね。とにかく明るい表情を向けることを意識すること。そしてそのことは自身の気持ちをも持ち上げてくれると。これはね、実践しております。効果ありますよ。

というわけでかなり自分の中での腹落ち度が高かったこの本。また読んじゃうかもなぁ。ありがとう、黒川伊保子さん。



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