東大に入学した元高校生に会って気づいた事 | 「ノートにもならないメモ」

というFacebook投稿でたくさんのリアクションをいただきましたので、
実際にその彼と会ってみて話しながら伝えた事と気づいたことを少し長くなりますが、まとめてみました。

まずは、まとめる前に、偉そうにアドバイスする的な事を言っておきながら、お会いする当日に前の打ち合わせが伸びて30分も彼を待たせてしまうという、社会人としてあるまじき失態を犯してしまいました。本当に、心からごめんなさい。

この時点で彼にアドバイスする権利を失いつつある私が、身の縮む思いで精一杯彼に伝えたことをここに記したいと思います。

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 1、僕がなぜ、君に会おうと思ったか
 2、大人の社会のこと
 3、
スペシャリストと体験
 4、自分の人生を編集してほしい
 5、
自分の失敗談からの教訓「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「


1、僕がなぜ、君に会おうと思ったか

まず、何故この面談が実現したかというと、彼はクリエイターや経営者になりたいと思った時に、色々と作品を調べる中でEPOCHのサイトに辿り着き、そこから僕のツイッターを見つけて、プロフィールに書いてある僕のメアドから連絡を取ってくれたという経緯でした。

そこで、彼の熱意あるメールをいただき、その内容に対して自分のような者でも「何かアドバイスできるかも」というある種の"年寄りの説法"的な思いと、一流の高校から東大へと入学するという「義務教育」の中での圧倒的なキャリアをもつ「成功者」な彼が、何故僕に興味を持ってくれたのか、不思議でしょうがなかったからお会いすることにしたと素直にお伝えしました。

あと、余談的には、僕が学生時代に某クリエイティブ会社の社長に「〇〇社長の会社にとても興味あるのでお会いしたいです」とイベントでもらった名刺を片手に失礼ながらお電話した際に、「僕は社長なので、いきなり連絡されても困るし、ウチに就職したいなら正規のルートで来ないのは失礼だから君みたいな人は採用しない」と言われた事があったので、その時のそれは自分なりに人生の転機だったので、今回、自分が会う側の社長を経験する必要もあるなと思い、お会いしました。


2、大人の社会

最初にクリエイターと、会社経営、どちらも興味があり、どうやったら両立できるのか?と聞いてきた彼。そこで、第一に僕は経営者であってクリエイターでは無いことを伝えた上で、僕が最近思っていることを伝えはじめました。

先日、あるTittwerで「義務教育期間が人生で一番辛い時期、大人の世界は楽しいことばかり」というつぶやきを見て、僕も以前から6歳から18歳(義務教育から高校卒業)までを、修行の12年間だと思っていて共感した話をしました。義務教育期間それは、いわば無理やり自分の可能性を全部試すために十種目競技を"個人"でやらされているようなもので、その中で成績を決めてくのが学校教育なのかなと。そして、義務教育時代は器用な人がやはり優秀で、評価をされるし、それはそれで正しいと思います。

それが社会に出ると一変して、器用さは「器用貧乏」というある種のレッテルになってしまう。いわば、義務教育のチャンピオンがいきなりドベになってしまうのです。そして、逆に不器用に1個を突き詰めてやれる人が称賛されて成功する。つまり「不器用幸福」になる。大人の社会は1個に絞って、「これしか無い」っていう背水の陣の人間に人々は魅了されて、その人は成功に近づく。まぁ非常に理不尽であり、世の矛盾であるなと思います。

僕も「何でもできるって個人より、不器用な自分についてきてくれるチームの方が強い」ってことに30歳くらいでやっと気づきました。この価値の転換に、彼みたいに18歳の大学に入った頃に気づいていたら違う人生だったのかもしれない・・。


3、スペシャリストと体験

大人の社会では当たり前ですが、大手IT企業の経営者がプログラミングや通信ができる仕組みを一人で作って、運営しているわけではありません。それでも企業を運営できる。経営者になるには、それぞれのスペシャリストに適切に出会い、彼らを認めて大きく任せて、1個のビジョンを掲げて”チーム”で社会貢献すればいい。
言わば、「目標を掲げて、任せるスペシャリスト」になるのが”経営者”なのだと思います。そして、その経営者の掲げたビジョンの元に形成されたチームで、自分がスペシャリストとして自己実現するのが”社員”なのだと思う。

では、スペシャリストになるための第一歩はにはどうしたらいいか?例えば、映像のクリエイターになりたい場合は、まず、1本映画や映像をつくってみる。経営者になりたいなら、社長に会いにいったり、自分でチームの長をやってみたりする。そこで課題に出会い、次のやるべき事が見えてくる。

映像クリエイターでも「まず専門学校で勉強して技術を学ぶ」、経営者でも「とりあえずMBAを取るために勉強する」というのもありなのかもしれないが、やはり目的より手段が先にきてしまうと大きい手段の習得のために長い時間の投資が必要で、その末に自分がそこに向いてないことに気づく、これは少し効率が悪い気がします。

大人の社会も義務教育と同じように競争です。人より早くスペシャリストの適性を見抜いて、その道を進める人が有利。だから、まずは自分の「向き不向き」を探るために「ライトな体験」を積みかさねることが大事だと思う。


4、自分の人生を編集してほしい

以前、株式会社コルク(https://corkagency.com/)の佐渡島さんとお話をさせて頂いたときに印象的な言葉あり、今回の彼にもこの話をさせてもらいました。
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佐渡島さん曰く、今情報が溢れてて、自分に不要な情報がいっぱいある。
「編集という行為は、すごい才能がある人達とかすごい組み合わせの人たちを集めて、まとめて、絞り込んで、最後に磨き上げるから価値が出る」と。その「編集」をインターネットでやって凄く成功している会社が、言わずと知れたGoogleです。
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確かに、Googleの検索は色んな人達が作ったものを、集めてまとめて、カテゴライズを分けて、検索ワードで絞り込んでって、ピンポイントで求めている情報を提供する。

その行為こそが、世の中的に価値が高いし、世界的にも必要とされている。ゼロイチをするよりかは、100ある情報を5までとか、1まで絞り込める方が価値がある時代になってきています。

だから、このインタネット後の僕らの世界においては、いかに自分の人生の「検索ワード」を見つけて、適切に最適な結果へ「絞り込み」、そこで見せるコンテンツをより密度の濃い物に磨き上げれる人が成功するのだと思います。

そして、「ライトな体験」は自分の人生を検索する「ワード」を探すための「検索のヒント」なのではないかと思います。


5、自分の失敗談からの教訓

最後に、義務教育時代のキャリアが全然レベルが違う彼に、僕から自分の失敗談を経て、アドバイスをさせてもらいました。

少し身の上話をすると、僕は前のノートにも書いたように(詳しくはコチラ)あまり良い、小・中・高時代を過ごしていなく、大学に入って、恵まれなかった小・中・高の時間を取り戻すように、バイトやショッピングやクラブでVJしたりといわゆる大学のモラトリアム期間を満喫していました。
そして、御多分に漏れず、3年生になって就職に焦り始めて、その頃にはやり始めたインターンをやり、就活で60社近く受けて、なんとか希望の会社に就職みたいな大学生生活でした。

その後、マニュアル通りに「石の上にも3年」は初めて入社した会社に何とかしがみつきながら務めあげました。その後に会社を辞めて、専門学校に入り、クリエイターの道で挫折をし、色々と経て、31歳で起業し、今にいたります。

そんな僕には、彼のように東京大学入学してすぐに、自分の興味あるジャンルの会社の社長に連絡し、自分のやりたい事を聞くという行動は、完全にあの頃の僕とは「レベルが違う人間」の行為なわけです。

そんな彼が僕を訪ねてくれるのは本当に不思議で、もはや折角来てくれたので、僕が今大学生になった気分で「失った時間を取り戻すように」するだろう事を、彼に重ね合わせて最後にアドバイスさせてもらいました。
アドバイスしたのは以下のような内容です。

「これから30歳になるまでは、自分の人生のやるべくことを”絞る”新しい12年間になると思います。そこを早く絞れて、次の”磨く”フェーズに12年間をかけずに早く入れた人は、必ず社会で成功します。そのためには、”能書き”よりも”体験への一歩”を軽やかに踏み出して、その歩みがどんどん進めば必ず自分が「楽しく、楽に前向きにずーっと進んでいける道」が見つかります。」

僕は浪人して大学に19歳で入り、その後いろいろと回り道を経て、12年間かけてやっと31歳で「会社経営」という絞られた”一本道”が見えてきました。

随分、無駄な事もやったし、遠回りもしたので、僕を訪れた彼にはもっと早く「彼の道」を見つけてほしいし、そのために沢山「体験」を積んで欲しいと思います。

そして、今回僕の所に彼が来てくれて話した「体験」が、彼の人生の「検索のヒント」に少しでもなれば、これほど嬉しいことはないなと思います。

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