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本を書いています。

Vol.15 「やらなきゃいけないこと」と「やらなくてもいいこと」

遅ればせながら、ながしまひろみさんの「やさしく、つよく、おもしろく。」という漫画を読みました。もともと「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載されていたのをたまに見てはいたのですが、やっぱり紙の本で読んだ方がずっといいですね。

詳しくはぜひ漫画を読んでみてもらいたいのですが、ゆきちゃんとお母さんの何でもない日常に、思わずほっこりするはずです。

そして、セリフも絵も何とも言えない「間」があって、シンプルな絵柄なのにじっくりと見入ってしまいます。こういう「間」こそ、普段の生活に潜んでいる大事なものなんだよなぁ、と考えさせられました。

もしかすると、ぼくらは普段あまりにも「やらなきゃいけないこと」に振り回されすぎているのかもしれません。この漫画には、そうしたことがあまり出てこないんですね。むしろ、ここで描かれているような何でもない会話や日常の様子からは、「やらなくてもいいこと」の方が多いように感じられます。でも、それは決して無駄なことではなく、その「余裕」を大切にしているからこそ、毎日がちょっと豊かに感じられるんだよ、と言われているような気もします。

思えば、子どもの頃の毎日なんて「やらなくてもいいこと」だらけだった記憶があります。下校途中に、石を蹴りながらどこまで行けるかやってみたり、道端の花をかき集めて色水を作ってみたり…。でも、そんな時間にこそワクワクしたり、発見があったりするものです。

「子どもに何を習わせたらいいか」と考える人がいます。しかし、何かを「やらせる」という意識でいる限りは、「やらなきゃいけないこと」を増やすばかりなのではないでしょうか。本来なら、子どもの「やりたいこと」を見つけるべきで、それって実は「やらなくてもいいこと」の中にあるのではないか、と思ったりもします。

つまりは、忙しい毎日でも「やらなくてもいいこと」をやってみるくらいの「余裕」があった方が、心がちょっとだけ豊かになるのかもしれないな、と感じた次第です。

これはまさに、拙著『「面白い!」のつくり方』の中で触れていることでもあります。面白いことを考えるのにも「余裕を持つ」ことが大事なのです。

デザイナーである自分が趣味で本を書いているということも、考えてみれば「余裕」がなければできない「やらなくてもいいこと」なのかもしれません。しかし、そういうことこそ「やってみたくなる」ものであり、自分にとっては一番「面白い」ものになるのです。

何だか強引に本の宣伝につなげている感じになってしまいましたが…すみません。こちらもよろしくお願いします。

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