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とんど焼き(勝手に)交流日記

・地域のどんど焼き(私の地元では「とんど焼き」)に行ってみた。


・11時前に会場に到着。公園の裏口あたりから入ったらそこに小さい消防車みたいな車が待機していて、青い服を着た消防隊員のおじさんが二人ほどいた。寒いのにご苦労様です。

・焼き場の真ん中の竹はすでに崩れており、火はすでにボウボウ燃えていた。おもちを焼き始めている人が何人かいた。焼いたもちはおしるこになるらしい。おしるこの鍋を運んで行ったり来たりしているおかあさんがいた。

・焼き場の周りには、火の管理をしている色あせたジーンズのオトーサンがちらほらいた。このオトーサンたちは「明日どんど焼きだからお父さん当番行ってよね!」などとお母さんにドヤされたのだろうかと思ったが、いや、とふと考える。勝手な想像だが、このオトーサンたちはもしかしたらキャンプが好きで、家族でキャンプ場に行ったらBBQ用の火やたき火の管理は率先してやっていて、その経験を活かして今日は火の番をしているのではないだろうか。ふだんは何かとおかあさんにドヤされるが、こういうときは分かりやすく「頼もしい父」になっているのかもしれない。

・「お父さん、前言ったけど明日朝からどんど焼きだからね。朝ちゃんと起きてよね。え?あー、どんど自体は10時からだけど準備とかあるらしーから8時半には公園行っといてよ。は?そんぐらい起きてよ、子ども会のことはいっつもあたしやってんだから、こういうときしかやれることないんだからそんぐらいやってよね、準備たぶん副会長の浜田さんいるんじゃない?え?浜田さんって前言ったじゃん、シュンと同じクラスの女の子のお父さんだって、ほんとなんも話聞いてないよね、3年のときもクラス一緒だったって、ほんとお父さんってなんも聞いてないんだから」……

・↑みたいな。


・また火の周りには、すでに”火”に目覚めたらしい小学生の男の子が何人かいた。たいていの男の子は無言で火を見つめて、軍手をしつつたまにくべる用の竹を追加でせっせと入れている。彼はきっとキャンプ好きに成長するだろう。もしくはキャンプ好きな親の影響ですでに定期的にキャンプしているのかもしれない。

・ひとりだけ、女の子で竹を次々火にくべていく子がいた。その子は寡黙に竹を追加する男の子の横で、端っこでもちを焼いている人たちに「炭になってるあたりの方が焼けやすいですよ」と話しかけていた。ボウボウに燃えている火も恐れずどんどん竹をくべていく。なんという頼もしさ。お姉さんがあなたの分のおもちも焼いてあげるよ……と声をかけたくなったけど普通にキショいのでやめた。

・地域子ども会に所属しているらしい女の子が、2人くらいで「21番から40番の番号札の人はおもち取りにきてくださいー」と、大声とスタンダードの狭間くらいの声量で呼び込みをしていた。「町内」って感じでおだやかな気分になった。


・一緒に来ていた彼氏が「なぜ火はずっと見てても飽きないのか?」と疑問を呈し、私は「同じ火炎の形は二度とないから」と答えておいた。「詩人だね」と言われた。

・同じ理由で、赤ちゃんもずっと見ていて飽きないのは二度と同じ動きをしないからだねと話した。そしたら彼氏は「つまり火イコール赤ちゃん」と言っていたので、「まぁどっちも育てるからな!」と答えたら「うまい」と言われた。これが5年間noteを書き続けた人間の実力である。

・彼氏は写真を撮るのが趣味なので、終始火の周りにいて写真を撮っていた。ただ彼はガタイが良すぎるので、もちを持ってもいないのにカメラを持った成人男性が、子どもがたくさんいる火の回りをうろついていたら怪しいんじゃないかと思い、とりあえず写真を撮りまくる彼の近くにいておいた。感謝してね。

・いよいよもちを焼く番がやってきた。「炭の近くの方が焼けやすい」という、先ほど女の子から盗み聞きしたアドバイスをもとに竹に刺さったもちを焼く。

・10分も経たないうちにもちの表面に焼き色がついてくる。とはいえどれくらいで食べられるようになるのか加減が全然分からない。これまだ?もうちょい焼いた方がいい?と思いながら引き続きもちを焼いていたら、火の番をしていた小学生の男の子が「お兄さんもお姉さんも、もう焼けてると思いますよ」と話しかけてくれた。神降臨?と思った。なんていい子なんだ。彼氏がその男の子に、今日は何時からやってたの?と聞いたら「9時からやってたんですけど、お焚き上げは10時からでした」としっかり答えてくれた。なんていい子なんだ。この町はいい子がいっぱいだなあ。お姉さんがみんなにおもち焼いてあげるよ……と再び声をかけようと思ったがやっぱりキショいのでやめた。


・おしるこがめっちゃおいしかった。

・連日寒くて家に引きこもりがちだったが、こうやって外に出て活動することで想像力を働かせたり、思わぬ嬉しいやりとりも発生したりする。

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