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旅は短し歩けよジジイ 京都旅行 2023年3月 後編 二日目

(中編から続く。中編はこちら)

二日目(40,257歩)
7:00チェックアウト
①嵐山(朝8時散策スタート)
②渡月橋(橋だ)
③天龍寺(和室、庭園、雲龍図。朝の静けさが、なんて素晴らしい)
④竹林の道(人込みが…先にここを歩けば良かったかな)
⑤金閣寺(金閣寺は金閣寺という感想)
⑥鴨川デルタ(こういうとこが好きなのです)
⑦下鴨神社(夏には古本市が開催される)
⑧百万遍交差点〜京都大学〜喫茶進々堂(きてしまった)
⑨銀閣寺(銀閣寺は銀閣寺という感想)
⑩東寺(五重塔、時間に追われつつ、来てよかった)
⑪京都駅でお土産(ああ、もう、時間がない)
17:10京都発こだま→東京駅20:48着(こだまだよ!)

さて二日目です。
一日目は京都駅に近いエリアだったが、二日目は遠いエリアから京都駅に戻ってくる計画。
帰りの新幹線の時間が決まっているので、状況次第で、行き先も臨機応変に変更するつもりです。

7:00 チェックアウト

移動が多くなりそうなので、前日のうちに「バス地下鉄一日フリー切符」を買っておくつもりが、バス案内所が終わっていて買えず。7:30のバス案内所オープンにあわせて出発したが、なんということはない、バス案内所に向かう前に、自販機で売っていた。いつでも買えたのね…

7:34 JR京都発 8時前に嵯峨嵐山着
「バス地下鉄一日フリー切符」は今後のためにゲットしたので、まずはフリー切符を使うことなくJRで嵐山に向かう。
嵐山は混む前に行きたかったし、バスよりもJRが一番早そう。
朝早いので電車内も観光客というよりは、地元の人が多い。
京都終着〜折り返し始発となり、進行方向が変わるため、地元の人が慣れた感じで座席を進行方向にバタンバタンと変えていく。
ああ、そうやるんだ、ありがとうございます、座らせていただきます。
梅がきれいだなあ、と車窓を見ていたら、梅小路京都西という駅を通り過ぎた。
時間があれば歩いてみたい、素敵な小路だった。

8:00 嵐山・渡月橋

桜も新緑も紅葉もない3月の渡月橋

嵐山散策スタート
嵯峨嵐山駅からは少し歩く。まだこの時間は観光客がほとんどいない。
コナン君にもでてくる、かの有名な渡月橋。
渡月橋の魅力は、季節にもよるでしょう。

桜は咲いていない。
新緑の季節でもない。
もちろん燃えるような紅葉はない。
梅はところどころで地味にきれいだ。
訪れたのはそんな季節だ。

渡月橋はもちろん美しいが、季節としては盛り上がりを欠き、なんというか、まあ、橋だった。
トロッコ電車にも乗ってみたいけど、時間的に今回はパス。

36年前の修学旅行、高校2年の秋、嵐山の保津川下りは覚えている。
当時憧れの同級生今井さんと保津川下りの船で隣り合わせになった。
人生に何度か起こる、運命のいたずら的な出来事。
だけど修学旅行の前に、今井さんにははっきりとふられていた。
紅葉がすごくて、紅葉がすごくて、紅葉がすごくて、紅葉がすごくて、こんなにも最高のシチュエーションはないのに、今井さんの顔を見ることもできず、一言も話すこともできず、川下りは終わった。それでも幸せなひとときだった。
そんなときもありました。そんなときもありました。高校2年の秋でした。

8:30 天龍寺

朝の天龍寺

思いがけず、今回の旅で素晴らしかった第2位。
清水寺とか渡月橋とか有名所は期待値も高くなりがちだけど、三十三間堂や天龍寺は先入観がなかったこともあり、思いがけず感動する。
朝の八時半だ。まだ人がほとんどいない。
朝の静けさ、和室、庭園、梅、竹、雲龍図。朝の柔らかい日差しが広い畳に光と影を作る。
素敵でした。

9:30 竹林の道・野宮神社

竹林の道 トリミングしているが、実は観光客がたくさんいる

竹林の道、素敵です。すごいです。
だけど九時半にして、もう人がたくさん…
こういうところは、人がいないからいいのであって、中国人観光客がファミリーで写真を撮って道を塞いでいたりすると、げんなりしてしまう。
朝一番にここを歩けば良かったかな…

さて、次は金閣寺に向かうべくバス停を探すも、以外と難しい。
バス停はあるのだけれど、このバス停には土曜日は止まりませんと書いてあったり、本数が少なかったり。
結局渡月橋近くまで戻ってバスに乗った。
直通バスはないので、乗り換えというのもなかなか難しい。
「嵐山 金閣寺 バス」で検索すれば、親切に教えてくれているサイトはあるのだけど、少し情報が古いとバス停の位置が変わっていたりするので注意が必要。

10:30 金閣寺

金閣寺は金閣寺でした。という感想。

さて、次は下鴨神社に向かうべくバス停を探す。
金閣寺近辺のバス停には案内してくれるおばちゃんがいて、精神的にとても助かる。
はじめての場所だと、このバス停で本当にいいのかなあ、という不安は常にあるので。
私は直接はきかなかったけど、みんなの会話を聞いていて、このバス停で大丈夫だという安心感がでる。
あの案内のおばちゃん立派だなあ。ずっと立ちっぱなしで、笑顔で、素敵だ。

鴨川デルタのほうから下鴨神社に行きたいので、下鴨神社は通り過ぎて、更にバスで京都駅方面に上る。
バスの車窓から行列が見えたのが豆餅のふたば。
奥様のお土産候補ではあったが、こんな行列、並べないねえ。
河原町今出川のバス停で降りる。

12:00 鴨川デルタ〜糺の森〜下鴨神社

落ちないようにジャンプ

今回の旅で素晴らしかった場所、ここもよかったなあ。
森見作品に度々登場する鴨川デルタ
あー、これかー、これだー。
静かなワクワク。
高野川と加茂川が合流して、鴨川となる。
三角の陸地部分が軍艦のように飛び出た形。
川の間の石を子供がピョンピョンと渡っていく。
なんて面白い場所。
なんて素敵な場所。
こういうところが好きなのです。
観光客がいない、日常の風景。
私も石を渡る。
ところどころ亀の形の石だったりするのね。ジジイが落ちたら大変だ。
転ばぬように、落ちないように。

糺の森〜下鴨神社
「夜は短し…」に収録されている「深海魚たち」の舞台、糺の森の古本市場。
古本市場は夏なのでもちろんやっていなかったけど、この日はフリマをやっていた。クリエイターたちのフリマみたいなやつ。それだけでここの広さを実感できたし、夏の古本市を想像しながら歩くことができた。
「ラ・タ・タ・タム」
素敵な響きだ。
下鴨神社では、結婚式をたくさんやっていて、親族の集合写真を撮っている場面に何度か遭遇。
観光客も少なく、地域に密着している感じ。
大きな木々から、パワーを感じます。
おみくじは大吉でした。
やっとでました。
今年はじめて大吉でました。
今年はもうおみくじひきません。

ちなみに今年のおみくじは、
初詣…地元の豊受神社にて、
凶は嫌だなあ、ともう一回ひいて半吉
どちらも「今はあまりうまくいかないので慎んで時を待つ」的な、思いあたるようなことが書いてあって、きちんと受け止めております。
で、今回の旅。
伏見稲荷…後吉(のちきち)。「何事も思うようにいかないけれど、静かに時を待つが良い」…また、同じだ。
清水寺……「十分我が身を謙遜して信用を得ること」…ここでも凶とは。
金閣寺……「うれい散じてよろこびに向う、しばし待て」…待つのは同じだが、いい方向に。
下鴨神社…大吉…「あきらめないこと。思いを筆に言わせること」…あきらめません。がんばります。

13:00 京都大学〜喫茶進々堂

喫茶進々堂

さて、ランチはどうしよう。
予定では次は銀閣寺のつもりだったけど、銀閣寺に行く前に食べたいな。
鴨川デルタのほうに戻りながら考えていたら、「喫茶進々堂」のことが頭に浮かんだ。
森見作品によくでてくる、京都大学前の喫茶店。「夜は短し…」の最後にもてでくる。
調べてみると、15分くらい歩けば行けそうだ。
この瞬間まで、行くとは思っていなかったけど、せっかく近くにいるのだから、ここは、行ってみようではないか。そうだ、行こう、行ってみよう。
銀閣寺より、むしろ喫茶進々堂を優先する。
百万遍交差点。京都大学。喫茶進々堂。
やはり歩くのが面白い。
バスで銀閣寺に向かっていたら、素通りしていたところだ。

進々堂は、レンガ造りの古い建物で、京大第二の図書室と看板がある。
あー、ここかー、これだー。
入ってみた。
入り口で最初にオーダーするシステムなのだが、こちとらはじめてで勝手が分からない。
店の中にだいぶ入っていってから、バイトらしき店員さんに、呼び止められた。
無難にカレーライスとコーヒーのセットにした。学生はいろいろ安いみたい。
店内は静かで、いい感じに席も埋まっており、空いている奥の席に座ったのだが、
「13時からは学生専用」とのことで、結局入り口近くの席に戻った。
学生にやさしいお店だ。
ジジイにはやさしくなかったが、それでいい、そのままでいい。
この空間にこれただけで、幸福だ。
あたたかい、優しい空間であった。

14:00 哲学の道・銀閣寺

京大農学部前からバスに乗り、銀閣寺へ。
帰りの新幹線は17時過ぎだけど、もう一箇所、東寺にも行きたかった。
なので、結構な速歩き観光。
銀閣寺は銀閣寺という感想。
もう少し時間があれば、ゆっくり近辺を探索したかった。

銀閣寺から、バスで京都駅に向かうも、道が混んでいてなかなか進まない。
たまらず地下鉄に乗り換え、京都駅へ。
結果的にはバスに乗り続けていても、あまり時間は変わらなかったのかもしれないが。

このあたりは、太川さんと鬼軍曹のバス対電車旅を思いながら行動していた。
ここに至るまでも、土曜は運休だとか、バス乗り換えだとか、タッチの差で発車してしまったとか、いろいろあった。
いろいろあるから面白い。
太川さんチームにいたら、私は戦力ダウンになりそうだから、足を引っ張らないように、余計なことは喋らなそうだ。
今回の旅で実感した。
太川さんすげえな。
だから、あのバス旅は皆、太川さんに遠慮して、何も言えなくなるパターンだ。三人組のうち、二人が黙ってしまっては番組は盛り上がりをかける。
間違ってても、意見は口にするべきだ。
その方が面白い。
番組も。人生も。
鬼軍曹チームだったら、オレ歩きます。只管歩きます。
軍曹が間違ってたって、オレ、歩きます!

京都駅から東寺までは歩く。
地図を見たら、歩いてすぐと思ったが、帰りの新幹線の時間を気にして焦っているからか、思っていたよりも遠く感じる。20分以上かかったと思う。

15:30 東寺

東寺 五重塔 迫力あった

帰りの新幹線の時間を気にして、忙しないが、それでもきてよかった。仏像と五重塔は、やはり見れてよかった。五重塔は中に入れる期間とのことで、一階だけだが見れた。中に入った途端、涙を流したおばあさんがいた。五重塔の中にある仏像より、仏像をみたおばあさんの涙に、なんだかわからないけど、きれいなもの、神聖なものを見れたように思った。

心が貧しい、ケチな私は、拝観料500円とか1,000円とか、ちょっとケチりたい気持ちがあった。500円だったら見なくていいか、とかね。
だけど今回の旅で、たくさんの寺社を参拝して、それは間違っていた、と思うようになった。
歴史のある寺社、仏像、五重塔、こんなに素晴らしいものに、小金を惜しむなんて、そんな自分の頭をバシッとはたいてやりたい。
喜んで払え。
感謝して払え。
実際、旅の終わり頃には、拝観料を喜んで払うようになっていた。

16:30 京都駅

お土産買わなきゃ。京都応援クーポン2,000円分、駅ビルで使えるか不安だったけど、よかった、使えた。
奥様から、あれこれリクエストはあったけど、混んでて混んでて、どこに売ってるかもわからない。
時間もないし、レジも並んでいるので、美味しそうなフィナンシェと王道の生八ツ橋でよかろう。

17:10 京都発こだま→東京駅20:48着
新幹線でビールを飲む。
そして今、この文章をスマホで書いている。
これが至福の時なのだ。
これが旅のクライマックス、一番の幸せなのだ。
新幹線の各駅停車、こだま。
のぞみじゃないよ、こだまだよ。
そういうツアープランにしたからだけど、京都−東京で、普通はこだまには乗らない。
のぞみなら2時間ちょい。こだまだと3時間半かかる
普通なら、時間をお金で買って、少しでも早く目的地に着きたいのだけど、今は少しでも長く新幹線に乗っていたい。
だから、帰りはこだまでいい。こだまがいい。
あれだけ歩いて、ビールとサワーを飲んで、眠りに落ちるどころか、目も頭も冴えている。
この時間が欲しかった。
だけど、遅筆のオレは、旅以前のことを書いてしまい、旅のことを書く前に、ああ、もうすぐ東京だ。

…後から編集して、この文章を書いているので、実際新幹線のなかでは、「前編 旅立ちの前に」で終わってしまった。
その後、2週間経って、ようやく最後までまとまった。

楽しい一人旅だった。

四条木屋町、先斗町、鴨川デルタ、糺ノ森、下鴨神社、百万遍交差点、京都大学、喫茶進々堂…
京都の大まかな地理は分かったので、森見作品を読むのに、具体的な想像力が加わった。

行けなかった場所、食べれなかったもの、やり残したことが多すぎて、また行きたい気持ちがいっぱいだ。
二条城も平安神宮も行っていないし、新福菜館も第一旭も天下一品も行っていない。バームーンウォークも行けなかったし、先斗町で飲み歩きたい。

さんざん働いてきたんだから、そろそろ少し仕事の量を減らしてもらっていいですかね。
あまりいつまでもジジイをこき使わんでくださいな。

少し仕事の量を減らして、お酒はほどほどにして、体はそれなりに鍛えて、大好きな本を読んで、また旅にでよう。
「夜は短し歩けよ乙女」と「有頂天家族」を読み直し、他の森見作品も読んでみよう。
そして、また有給をとって、京都に旅にこよう。

またたくさん歩くのだ。
そうなのだ。
そうなのだ。

旅は短し歩けよジジイ。

(終わり)

前編はこちら

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