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資源・能力ベースの競争戦略論

 印象に残ったのは自動車業界のトヨタと日産の比較である。それについての理由は、個人的にも思い入れのあることから、以下に詳しく述べる。また、その他の感想も併せて付記させていただいている。
 まず、トヨタと日産の個人的な思い入れの違いを説明したい。トヨタ株は2017年6月30日で1182円であり、その日産は1111.5円である。私は、当時、日産の配当が5%程度であったため、〇万株を購入して、現在も所有している。本日の株価は430.2円である。私が日産株を購入してから、日産のゴーン社長が不正を疑われ解雇され、さらに母国レバノンに逃げ出すという前代未聞の事件が起こった。結果として現在の株価は、当時から38.8%になっており、約6割以上がダウンしたということである。他方、トヨタにおいては、1837.5円であり、1.55倍になっている。トヨタの配当は2~3%で推移しており、日産は無配が続いて、やっと昨年度から一株5円程度が配当されている。
 仮に私に資源・能力ベースの競争戦略論や伊丹先生の理論を知っていれば、同じような株の購入行動をしたのだろうか。カルロスゴーンの経営能力は、実際に日産を復活させたことからも一定の評価がされてもよいだろうが、さらに、ゴーンなき日産の株価については、下落しつづけており、それが逆にゴーン氏の経営能力を証明しているといえるのではないだろうか。
 内部情報処理特性の②経営管理能力や③現場のモラールが、ゴーン氏が不在となり②が減少し、③が低下したということで、トヨタの株価の上昇とは逆の動きをしていることの仮説的な証明になるのかもしれない。
 私が、トヨタ株でなくて、日産株を購入したのは、私の資産形成について、現時点では失敗といえるのではないだろうか。実際に株価が有意に下がっている。伊丹先生によれば、経営というのは、“人である”とされる。最終的には情報的資源の担い手としての人である。それこそが重要ということである。経営トップの人という観点でいえば、現在のトヨタの社長に優位性がでていることに意識を向けなかった点に、私の能力不足を認めるものとしたい。私のリソース、資源について、持続的競争優位性を高めるものは、いったい何があるのだろうか。いわゆる無形資源・情報的資源である。おそらく、主として、現在は、業務外からも勉学等で情報的資源を蓄積していることが言えるだろう。
 オーバーエクステンション戦略で成功したサントリーのように、経営者に危機感があったトヨタ自動車に軍配が上がっているのだろうか。自分たちの資源レベルを無理するレベル、トップによる戦略ビジョンを明示する、将来の戦略ビジョンを提示していたトヨタに軍配があがったのだろうか。自社の財務体力、赤字覚悟で無理をする、何とか財務的に耐えられるレベルであったのか。その点に経営トップのマネジメントに差があったのではないだろうか。
 企業の成長は、企業はジグザグに成長するものである。一見不安定に見える企業が実は安定しているといえる。経営トップは自社を意図的に不安定状態にするという芸当も必要となってくる。自分にあてはめれば、転職を10回していることから、たまたま収入面においても現在は最大値であるが、年収を度外視した転職実績もあることから、ジグザグ戦略しており、収入という観点のみでいえば成功中であると言えるのではないか。ただ、自分のやりたいことではなく、求められたことに結果を出している結果ではあるが。よって、さらなる自己の成長のためには、あえて、ジグだけでなくザクに向かうことも必要なのだろう。私の顧客、現在の会社の使用者であるが、価値を生み出し続けているだろうか。使用者が得られる便益を私は最大化しているだろうか。
 例えば、年末年始は、会社の指示により自宅待機で、地盤変動のモニタリングをしており、緊急事態に備えていたが、私の顧客である使用者(会社)は、待機については、勤務に当たらない、何か実際にトラブルがあり対応した場合については、出勤扱いにするという事で、私からすれば不当な扱いを受けた。これは、逆に言えば、私の時間を搾取している会社の利益は最大化しているとも言えるのではないだろうか。しかしそれは、インテグリティーではなく、不公平感が残るような扱いを社員にしていることから、この会社の戦略はどのように捉えればよいのだろうか。
 スイッチングコスト(経路依存性)についても、実務において昨年経験した。廃棄物処理において、新たなサービスを導入すること会社が決定し、従来の紙マニフェスト対応から電子マニフェスト対応にするスイッチをする決定をした。ところが、すでに紙マニフェストで対応していたものについては、そのやり方を継続し、スイッチングするよりも、現状維持を選択した。
 代替困難性については、VRIN分析(有価値性、希少性、模倣困難性、代替可能性)をした場合、私には何があるだろうか。持続的競争優位状態を継続するには、何をするべきだろうか。
 重要なのは能力である。
 以上

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