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トイレ事情

寝たきりだったので、もちろんトイレには行けなかった。当たり前のことが出来ない。
オムツを履いて、用を足したら看護師さんにオムツを変えてもらう。
最初こそ恥ずかしかったが、もうどうでも良くなっていた。
尿道カテーテルを入れていて、それがとても痛かった。普通は痛くないはずなのだが、座る姿勢になると陰部に針が刺されたような感覚。

車椅子に乗れるようになり、介助ありだがトイレもなんとか行けるようになった。
両足と右手に体重をかけてはいけないので、車椅子から便座に移動するのが本当に難しく、毎回トイレに30分はかかっていた。
ズボンを下ろすのも一苦労。
オマケにおしりの筋肉が衰え、ぺらぺらの脂肪だけになっていたので、便座に座るだけでも骨が当たってとても痛かった。

トイレを終える頃には、いつも脈拍130を超えていた。3キロくらい走ったくらい疲れる。

最初の頃はトイレに辿り着く前に貧血になり、ぶっ倒れていた。
「オムツのまましていいよー」と言われたので、それに従ったら普通にオムツを通関してベッドが尿まみれになってしまった。
夜間だったのでシーツを変えることもできず、びしょびしょのベットで寝れないまま夜を過ごした最悪の思い出。

トイレに行きたい!と思っても、辿り着くのに15分はかかるので、計算してナースコールを押す。
看護師さんが忙しい時間やトイレが混む時間は避け、1日5回程度、トイレに行く時間を決めていた。

だいぶ回復して、介助なしでトイレに行けるようになったときは本当に嬉しかった。
車椅子用トイレが遠く、長い長い廊下を車椅子で漕ぐのも大変だったが
もうトイレに行く時間を計算しなくていい、好きな時間に用を足せる、それが本当に幸せだった。

今は何も気にせずトイレに行くことが出来る。
立ってズボンを下ろせる。
便座に座った時、おしりも痛くない。
そのあと洗面所に行き、手を洗える。
それがとても幸せだ。
何気ない日常の有り難さを忘れないでいたい。

高校2年生 TABIPPO2020大阪支部🐣 発展途上国や貧困、ボランティアについて興味があります。いろんな国に行きたい 🇯🇵→🇰🇭🇰🇪