『教誨』

柚月裕子
2022年 小学館

単行本を選ぶときには、本の帯を参考にする。どんな内容か、参考にしたいので。今回の帯には書店員さんの言葉がいくつか載っていて『ラストに驚愕・慟哭』みたいな感じが多く、著者の言葉からもかなり重い内容なんだなと思い、用心しながら読み進めた。なんせ、重いのはもうしんどい年齢なので、、、でも読みたい気はまだするので。

結果的に、用心していたせいかそこまでズシンとはこなかった。似たタイプの話でズシンという意味では、東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』や、角田光代さんの『八日目の蝉』が、たぶんそれほど身構えずに読んだ分精神的にこたえた気がする。

ただ、事件には一般人にはわからない事情があるよね、というのは普段から思っているしこれを読んでも感じた。
田舎の人間関係あるあるみたいなのも、古い慣習が残っているところは今でもこうなのかなーと思ったり、、、私自身は転居が多いので土地を替わることに全く抵抗が無いのだけど、生まれてこの方ずっと同じ土地で同じ人間関係に縛られるようにして生きていたら、そこ以外は考えられなくなってしまうのだろうなあ。変われるって大事なことだ。

あと、犯人とされた響子は、こう書くと問題かもしれないけれどもちょっと知力の足りない人という設定なのかな。確か『ケーキを切れない非行少年たち』みたいな本にも書いてあるのだと思うけど(この本は未読)、知的に境界線にいる人がどうにもしようがなく犯罪を犯すケースは実際にあるだろう。それを罰するだけでは状況は変わらないし、周囲の人それぞれがちょっとでも自分に無理して他の人を助けるように動いたら違っただろうと感じてしまう。いい意味での余計なお世話って、必要だと思う。それだけで誰かの気持ちが助かったり犯罪を減らせるのならば、少しずつでもやりませんか。


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