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[#51] ハウスメイトだったクロイの話

私のハウスメイトの一人だった台湾人のChole クロイ。
クロイは本名ではなくイングリッシュネームです。本当の名前は聞いたけれど発音が難しくて覚えられませんでした。

(私にとって)初期メンバーだったブラジル人のマリアが5月末に帰国した後の空き部屋にクロイはやってきました。
彼女は当時大学2年か3年生の20歳前後で、通っている台北の大学の夏休み期間を使って3ヶ月くらい留学しにきていました。

彼女はこれが2度目の留学、ブライトンに来たのも2度目でした。

コロナによるパンデミックが起きた2020年、当時彼女はブライトンに語学留学していたのですが、ロックダウンで学校が閉鎖されてしまい、当初予定していた留学期間を完遂できずに帰国を余儀なくされたそうです。
彼女をはじめ、同じように帰国を余儀なくされた留学生たちは何人かいて、学校に対し返金を求めたそうですが、学校の返事はNO。
学校は、返金はしないが、本来は途中帰国した留学生にはしない「残った留学期間は、もう一度学費無料で授業を受けられます」という処置をとったそうです。彼らは授業料は前払いしているので学費無料っていうのも変な表現ですが。

ということで、ブライトンに戻ってきた彼女。
本人は「本当は来たくなかったけれど、学費がもったいないから親に強制的に来させられた」と言っていました。

年齢か性格かわかりませんが、出会った頃の彼女は何事にもあまり関心を示さないそぶりが多く、いつも「早く台湾に帰りたい」と言っていました。
ブライトンも2度目なので、彼女にとっては目新しいものもなく、何かにつけ"so borning(超退屈)"が口癖でした。

パブに誘っても「私、寝る時間決まってるから〜」と言って断られることが多く(毎日23時に就寝していたらしい)、休日も部屋にこもって外出しない日があったり、せっかくの留学だから楽しもう!というよりは、極力お金と体力を使わないようにしているようでした。

ちなみに、イギリス人は休日に出かけないなんてありえない!という価値観の人が多いそうで、うちのホストマザー(おばあ)も土日に家にこもっていると、「どこか出かけないのか」とか、「こんなに天気がいいんだから散歩に行け」だとか、だいぶうっとうし…もとい、よく気にかけてくれたので、クロイも仕方なく一日一回は散歩に出ていました。(ちなみにおばあの忠告を無視して家から出ないで過ごすと、ディナータイムにみんなの前でため息混じりに糾弾される。)

しかし一緒にいる期間に徐々に打ち解けてきて、よくよく話を聞いてみると、彼女の両親は非常に忙しく、幼い頃から常に妹と2人っきりの生活だったそうで、家で1人で時間を過ごせる術を身につけたと言っていました。軍関係の父親と、塾を経営している母親は週末も家にほとんどおらず、どんなに願っても一緒にいてくれることはなかったので、いつしか期待することをやめてしまったそうです。

でも本当はおしゃべりでユーモアがある子だということもわかってきて、実は夜道が怖いから夜出かけたくなかったんだけど、一緒に行き帰りしてくれるならパブも行きたい、とのことで、彼女の帰国前はみんなで出かけたり遊ぶようになりました。

彼女の言動で特に面白かったのは、将来は中国でモデルかネイリストになりたいそうで、英語は身につけても使うつもりないんだよね〜、と言っていたことです。そんな彼女は幼い頃からの英才教育によって英語レベルはIELTS 6.5でした。でも英語圏の大学への留学予定はないそうです。

あと、美しいものが好きとよく言っていました。
彼女は"The sims 4”という、シムと呼ばれる人間たちの生活を見守ったりいじったりするシミュレーションゲームが好きだそうで「私の街には美しいシムしかいないんだ〜、美しくない人は整形させるか消しちゃうから〜」と笑顔で怖いことを言っていました。

動物も好きじゃない、と言っていて、最初の頃はおばあの飼い猫のことも興味がないそぶりでしたが、しばらくすると撫でたりかわいがったりしているようでした。あと、実家で猫飼ってるらしく、自分の飼い猫のことは溺愛しているようでした。(よくわからん。)

そしてさすがデジタルネイティブ世代。時間がもったいないし早くストーリーを知りたいから動画やドラマは1.5倍速で観るそうです。

そんなクロイは、インスタグラムに彼氏に撮ってもらった写真をよく上げていて元気そうです。なにより。

#47から続いたハウスメイト紹介は以上です。
日本だと、見えない年齢の壁ってやっぱりあって、世代が違うと簡単に打ち解けられないこともあると思うのですが、ひとたび同じ留学生という肩書きになると、誰とでも何歳でも何人でも同じ目線になれる気になるのが、留学の醍醐味の一つではないかと思います。

ではまた。

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