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No,201.自らの命を絶たないでほしい「生き心地のよい社会になるにはどうすれば・・・」

はじめに

厚生労働省がまとめた2020年版自殺対策白書によると、2019年の自殺者数は10年連続で減少し、過去最少の2万169人だった。人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺率も、全体では10年連続で低下。19年は16.0で統計を取り始めた1978年以降で最も低かった。

しかし、20歳未満の自殺者数は前年比10.0%増の659人で、2000年以降では最多となった。自殺率も前年比0.3ポイント増の3.1で最悪を更新している。遺書などから推定できた原因・動機を1人につき3つまで計上した結果、延べ618人中、学校問題の202人が最多で、健康問題(138人)と家庭問題(116人)が続いた。

問題は若い人の自殺者が増加していることである。その多くの原因が学校であることは早急に対策をとらなといけないだろう。

個人的には学校が嫌ならやめてもいいし、行かなくてもいいと思うが、若者(子供)が相談できない環境も考えられる。

学校問題は健康問題や家庭問題ようなミクロではなく、その地域の風土などの環境要因も重要だろう。

そのような視点から岡 檀さんのシンポジウム「生き心地の良い地域の条件を考える-自殺と地域-」に参加しました。
以下、自殺と地域の関りについて考察を兼ねて述べます。

『生き心地の良い地域の条件を考える-日本でもっとも自殺が少ない町』

1.徳島県旧海部町は全国3318市区町村の中で最も自殺が少ない町

 分析方法:「自殺希少地域」海部町と「自殺多発地域」A市と比較

 期間:4年間でのフィールドワーク

 対象者:住人200人にインタビュー・アンケート調査3300人

2.5つの「自殺志望因子」を抽出

①赤い羽根募金が集まらない
(ア) 人がやるからといった同調性が低い
(イ) 人と違った行動をとっても責められない
(ウ) 均質化を回避
がある

※緊密なコミュニティーであるほど悩みをさらけ出すことに抵抗があるといわれる。
反面、(ア)(イ)(ウ)でわかるように、海部町悩みを打ち明けやすい風土である。

②いろんな人がいた方が良い(多様性の重要性)
(ア) 江戸時代から続く相互扶助組織「朋輩組」の存在
(イ) 入退会とも自由
(ウ) 旧家もよそ者も等しく受け入れる
(エ) 特別支援学級に反対「いろんな人がいた方がいい」

※多様性(ダイバーシティ)のメリットとしては、変化、予想外のトラブルへの対応能力が高まり、多様な視点・発想力の獲得、自分・自組織のメタ認識を獲得し組織としての層の厚さがうまれるとされる。

③海部町のサプライズ人事
(ア) 学歴や地位だけではなく問題解決能力や人柄など多角的・長期的に評価する
(イ) 事例:教育長の選び方は町の経済の人間
(ウ) 「一度目はこらえたれ」精神

※封建的ではなく新奇性が高い地域である。

④どうせ自分なんてとはおもわない
(ア) 有能感をもって事に当たることを子供の頃より教育されている

※自尊心が高い住民が多い。

⑤病、市(いち)に出せ
(ア) やせ我慢をやめ、早期開示を促す
(イ) うつの受診率が高い

※他者の目を気にしない自己没入の低さが要因だろう。

3.まとめ

1.緊密過ぎないゆるやかな人間関係=適度なの距離感

2.多様性を重視する地域=歴史的・文化的背景

3.人の評価を固定させない多角的に高い目で見る=学歴や職種で評価しない

4.有能感=自分の能力に対する自信

5.SOSの発信のしやすさ=悩みの自己開示

さいごに

多様性をみとめることで、地域全体の住民の均質化を避けることで結果的に、個人の生き心地の良さにつながる。結果的に自殺の防護壁になるだろう。

日本は相互協調的自己観と言われることから、周りとの関係を重要視する。
そのような背景から、多様性を認めない平均的な人材教育からわかるように、平均的(一般的)な人以外を排除するのだろう。

みんな変な人と思って受け入れることが出来る人こそ、あまり近づかず適度な距離で付き合うことが重要だろう。

実は、イタリアの格言であるように「みんな近づいたら変な人」なんだけどね😊

最後まで読んでいただきありがとうございます。

引用文献

令和2年版自殺対策白書
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/jisatsuhakusyo2020.html>2022年10月6日アクセス





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