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大阪市立美術館 山口コレクション 中国彫刻【図録鑑賞】

中国北朝(5〜6世紀、北魏・東魏・西魏・北斉・北周)の仏像彫刻には、以前から興味を持っていました。何と言っても仏様の表情がいい。日本に伝わって飛鳥仏に影響を与えた、アルカイックスマイルの仏像ですが、北朝のものは石像で程良く風化しているせいか、古風で硬い笑みとは見えず、もっと柔和で品の良いお顔に思えます。

今までは、根津美術館に行ったときにホールにある北朝の石仏を見るだけで我慢していたのですが、最近大阪市立美術館の山口コレクションの図録を買いました。山口コレクションは、関西在住の実業家だった山口謙四郎さん(1886〜1957年)が蒐集した中国南北朝と隋・唐の石造彫刻125点です。

北朝の石仏は、像龕(石の窪みに像を浮き彫りにする)や四面像(石の四角柱の各面に像龕を作る)が多く、独特の意匠です。北朝は中国北方の民族の王朝なので、西方との連絡を通じて西域の仏教美術の影響があると言われ、様式的にも非常に興味深いと思います。

こうした魅力を持つ北朝仏が、次第に「中国化」していく様子は、上海博物館の展示品(撮影可)を見てもよく分かるでしょう。

北朝の石仏

北朝の石仏

隋の仏像

唐の仏像


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