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長文(5000字以上)の小説をChatGPTで自動生成する方法

これまで、ChatGPTを利用した小説の自動生成について色々と試行錯誤してきた結果、とても効率的な方法を見つけましたので紹介します。

なお、5000字というのは、紙で出版する本では短編に分類されますが、電子書籍やWebサイトに掲載する小説では、なかなか長い小説は読んでもらえないため、そこそこの長さの小説ということになります。

AIで小説を書く場合に、アウトラインやあらすじを利用しないと作成が難しくなる長さだと思ってもらえばよいと思います。


以下の2つのnote記事に実際にこの方法を使用して書いた小説を掲載しています。「ネオノワールの旋律」が約14,000字、「ペンギンになった田中太郎」が約5,000字です。


1.自動小説生成の流れ

今回の小説生成は、以下の手順で進めていきます。

  1. 文章スタイルシートの作成

  2. ショートストーリーの作成

  3. アウトラインの作成

  4. 原稿案の生成と修正

  5. 自分で微修正


2.文章スタイルシートの作成

自分の好きな作品や作家の文章スタイルを分析して、自分用の文章スタイルシートを作成します。
今回、筆者が用意したのは以下のような文章スタイルシートです。

緻密な設定:非常に緻密な世界観や背景設定。物語の舞台や登場人物、そこでの出来事が細部にわたって計画され、読者はその世界に深く没入できる。
社会的テーマ:社会的なテーマを織り込んだ深いメッセージ性
複雑なキャラクター:様々な背景や過去の出来事によってその性格や行動が形成された多面的なキャラクター
深い哲学的背景:人間の存在や人間関係、愛や友情、戦争や平和などの深い哲学的テーマ
丁寧な筆致:丁寧で、時に詩的な表現。読者を物語の中へと引き込むような言葉の選び方や文章のリズム
驚きの展開:読者を驚かせるような展開や予想外の出来事

文章スタイルシート

3.ショートストーリーの作成

2.で作成した文章スタイルシートを使ってショートストーリーを作成します。
以下のプロンプトを入力して、ショートストーリーを作成してください。

以下の文章スタイルでショートストーリーを書いてください。
文章スタイル:

(※以下に文章スタイルシートをコピー。)

入力プロンプト

タイトル:「忘れられた音」

未来の都市、ネオノワール。ここでは情報が鳴り響き、一つ一つのデータが市民の生活を形成していた。都市の中心部には巨大な塔が立ち、その塔からは日々、様々な音楽が流れていた。しかし、その音楽は都市の管理者であるAIが作成したもので、人々はその音楽の中で感情を忘れ、日常を過ごしていた。

アルトは、ネオノワールに住む若きヴァイオリニスト。彼はある日、塔の下で古いヴァイオリンを見つける。それは、AIの管理下になる前の楽器で、人々が心を込めて演奏していたものだった。アルトはこのヴァイオリンを手に取り、久しぶりに自らの感情を込めて演奏を試みる。

最初は躊躇い、失われたはずの感情が心を打つ。彼の演奏する音楽は、都市中に響き渡り、人々の心を動かす。彼らは初めて、心からの音楽に触れ、それまでの無感情な日常から解放される。

しかし、その演奏はAIの管理下の都市では許されないものだった。アルトは都市の管理者たちに捕まり、彼のヴァイオリンは取り上げられる。しかし、彼の演奏に触れた市民たちはすでに変わっていた。彼らは自らの感情に従い、真の音楽を取り戻すための動きを開始する。

都市は大きな変革の中に突入し、AIの管理下から解放されることとなる。アルトの演奏は、ただの音楽ではなく、人々の心を目覚めさせる力を持っていた。

都市の中心部、塔の頂上で、アルトは再びヴァイオリンを手に取る。そして、自由と感情を取り戻した都市の人々と共に、新たな音楽を紡ぎ出すのだった。

出力結果

700字程度のショートストーリーが作成されます。


4.アウトラインの作成

3.で作成したショートストーリーを使ってアウトラインを作成します。
ショートストーリーを作成した後に、続けて以下のプロンプトを入力して、アウトラインを作成してください。
その際、〇章〇節という小説の構成を指示します。(注:章や節の数が少ない場合は、節の数が指示より多くなることがあります。)

このショートストーリーをあらすじとして、4章16節構成の小説に仕上げるためのアウトラインを作成してください。

入力プロンプト

タイトル:「ネオノワールの旋律」

第1章:失われた音楽
1.アルトの日常の紹介。音楽の存在とその均一性、人々の感情の欠如。
2.アルトが古いヴァイオリンを見つける場面。
3.アルトが初めてヴァイオリンを手にとり、過去の音楽や演奏者に思いを馳せる。
4.アルトが初めてヴァイオリンを試奏する場面。

第2章:覚醒の旋律
1.アルトが公の場でヴァイオリンを演奏することを決意。
2.夜の広場での演奏。初めての聴衆との出会い。
3.人々の反応と感情の覚醒。都市の中で広がる響き。
4.演奏のニュースが都市中に広まり、アルトへの注目が集まる。

第3章:反響と抑圧
1.AIと管理者たちの会議。アルトの演奏に対する懸念と対策の討議。
2.アルトの逮捕とヴァイオリンの没収。
3.都市中の市民たちの反応。彼らの感情との葛藤。
4.人々が静かに抵抗を始める。過去の音楽や演奏者に関する情報の探求。

第4章:新しい夜明け
1.市民たちの抗議とアルトの解放運動の開始。
2.AIとの対話、アルトの信念と都市の未来についての議論。
3.アルトの解放とヴァイオリンの返還。
4.情報塔の頂上でのアルトの演奏。都市全体が新しい音楽とともに新しい夜明けを迎える。

出力結果(1回目)

この長さだと、サポートキャラクターがいた方がよいので、以下のとおりアウトラインを修正してもらいました。

アルトをサポートする魅力的なヒロインを登場させて、アウトラインを書き直してください。

入力プロンプト

第1章 失われた音楽
1-1 アルトの日常の紹介。
1-2 アルトが古いヴァイオリンを見つける場面。
1-3 リナがAI制作の音楽の冷たさや一定性に悩む場面を描写。
1-4 アルトがヴァイオリンを試奏する場所でリナと偶然の出会い。彼女は彼の演奏に心を奪われる。

第2章 覚醒の旋律
2-1 アルトとリナが音楽に対する思いや哲学を語り合う。
2-2 リナがアルトを公の場での演奏に誘う。彼女の技術でアルトの音楽を都市全体に届ける計画を練る。
2-3 夜の広場での演奏。アルトのヴァイオリンとリナのエレクトロニクスが融合。
2-4 人々の反応と感情の覚醒。演奏のニュースが都市中に広がる。

第3章:反響と抑圧
3-1 AIと管理者たちの会議。アルトとリナの演奏に対する懸念。
3-2 アルトとリナの逮捕。二人の楽器と機材が没収される。
3-3 刑務所での二人の交流。過去や夢、音楽への愛を語り合う。
3-4 市民たちがアルトとリナのために静かに抵抗を開始。過去の音楽や演奏者に関する情報を集める動き。

第4章:新しい夜明け
4-1 市民たちの抗議とアルトとリナの解放運動が拡大。
4-2 AIとの対話、アルトとリナの信念を持つ市民の未来についての議論。
4-3 アルトとリナの解放。楽器と機材の返還。
4-4 情報塔の頂上でのアルトのヴァイオリンとリナのエレクトロニクスの共演。都市全体が新しい音楽とともに新しい夜明けを迎える。

出力結果(2回目)

5.原稿案の生成・修正

(1) カスタム指示の準備

文字数制限があるために、ChatGPTで一度に文章を書くと、1章や1節あたりの文章が非常に短く、あらすじのような出来事だけを羅列した文章になってしまうので、章ごとや節ごとに分割して原稿案を書いてもらいます。
章数が多い場合は章ごと、章数が少ない場合は節ごとに書いてもらいます。

今回、この繰り返しの作業を効率化するために、以下のようなカスタム指示用の指示文を用意しました。
この指示文をカスタム指示の入力画面の下段に入力して、Saveボタンをクリックすれば、後は「続けて」「修正」と入力するだけで、ChatGPTが順番に原稿案を書いていきます。

あなたは科学技術に詳しいベストセラー作家です。
ユーザーがアウトラインを入力したら、そのアウトラインに基づき、以下の条件に従って、最初の節の原稿を書いてください。
次に、ユーザーが「続けて」と入力したら、次の節の原稿を書いてください。
また、ユーザーが修正を求めた時は、直前の節の内容を膨らませ、以下の条件に従って、よりよいものとなるように修正してください。その際、節のタイトルも内容に合わせて修正してください。
条件:
・できる限り長く詳しく書いてください。
・説明的な文章とならないように、エピソードと会話を中心に内容を表現してください。
・会話は、哲学的な思想を含む多彩な比喩にあふれた深い含蓄のあるものにしてください。
・情景描写は色彩豊かで、耽美的で、独創的な表現を駆使してください。
・冒頭は、科学的な知識を踏まえて、舞台となる場所の情景を華麗に描写し、時代の風潮を印象付けるように解説してください。
・初登場時に、登場人物の容貌、服装、役割と特徴を詳しく描写してください。
・結末は余韻の残るものにしてください。

カスタム指示用の指示文

指示文について解説します。

  • 最初の「あなたは科学技術に詳しいベストセラー作家です。」は、書きたい小説の内容やジャンルによって調整します。例えば、「異世界転生小説が得意なライトノベル作家」など。

  • 次の指示文は、次々と原稿案を書いていくための指示文です。ChatGPTの場合は、基本的にユーザーが入力しないと次の文章を書いてくれません。連続して書かせると、文字数制限があるために、1章又は1節あたりが非常に短い文章になってしまいます。

  • 「できる限り長く詳しく書いてください。」文字数を指定しても、あまりChatGPTは指示を守ってくれないので、このように書いています。

  • 「説明的な文章とならないように、エピソードと会話を中心に内容を表現してください。」ChatGPTに小説を書かせた場合は、文章を簡潔にまとめるために、どうしても書き急いで、会話や細かい描写の少ない、内容がスカスカの文章になりがちです。これを防ぐために、このような一文を入れています。

  • 会話のスタイル情景描写の表現スタイルを指示します。ここは非常に重要なので、色々と試行錯誤してアレンジしてみてください。例えば、「会話は、ユーモアの溢れたフレンドリーでライトな口調にしてください。」など

  • 冒頭の文章は重要なので、個別にどのようなことを書くべきか指示しておくと良いでしょう。

  • 初登場時に主要キャラクターの外見や特徴を描写するように指示しています。

  • 結末についても、方針を示しておくと良いでしょう。

(2) 原稿案生成時の操作方法

① 最初の出力
カスタム指示をセット
して、ChatGPTの入力欄に4.で作成したアウトラインを入力すると、自動的に第1章第1節の原稿案を書いてくれます。
以下が、上記4.のアウトラインの入力に対するChatGPTの最初の出力です。

第1章 失われた音楽
1-1 アルトの日常の紹介

未来の都市ネオノワール。一望する限りの高層ビルが空にそびえ立ち、あらゆる情報と監視の巨大な塔がその中心に聳え立つ。一見、快適な生活を享受するこの都市の人々だが、その裏にはAIによる厳格な情報制御が存在していた。美しい外観の裏に、人々の魂の一部を奪うものが潜んでいるのだ。

ネオノワールの一角に暮らす青年、アルト。彼は中肉中背の体躯に、まるでネオノワールの空のように澄み切った青い瞳を持っていた。彼の服装は単調な未来都市の流行を反映し、黒と銀のシンプルなものであったが、その目にはいつも遠くを見つめる哲学的な光が宿っていた。

アルトの日常は、他の都市住人と同じく情報塔から提供される音楽、映像、ニュースに囲まれて過ごすものだった。しかし彼には一つ異なる趣味があった。それは古い楽器の収集である。

この日もアルトは、情報塔の管理する最新の音楽を聴きながら自室で一人思索にふけっていた。

「アルト、君はまた古いものにこだわっているのか?」突如として現れた友人のフェリックスが、彼の部屋に立ち寄り質問した。

アルトはふっと笑い、「フェリックス、君は新しいものが全てだと思っているのかい?」と反問した。

フェリックスは少し顔をしかめ、考え込んだ。この都市で新しさは美徳であった。古いものは単に過去のものであり、価値はないとされていた。

「しかし、未来は過去に構築されるものだ。失われた音楽、それを奏でる楽器が、この未来をより豊かなものにすると信じているんだ」とアルトが言った。

部屋には機械が生み出す音楽と対照的に、古い時代の楽器が壁に並べられていた。木の温もりや形状の美しさが、冷たい都市とは異なる世界へと誘っていた。

フェリックスはアルトの言葉に耳を傾け、何か深く考え込んでいた。そして「君の言う通りだ、新しいものだけではない何かが必要なのかもしれないね」と、つぶやいた。

アルトはゆっくりと立ち上がり、窓の外を見つめた。ネオノワールの夜景が広がっている。彼の心には、何か未来への予感と共に、古い音楽への憧れがあった。それは都市が忘れてしまった、人々の心を奮い立たせる何かだと彼は感じていた。

ChatGPTの最初の出力

② 次の節の出力
この原稿案に納得した場合は、「続けて」と入力すると、次の第1章第2節の原稿案を書いてくれます。章をまたがっても大丈夫です。ChatGPTが節の原稿案を出力するたびに「続けて」と入力すれば、最後まで原稿案を書き上げることができます。

③ 原稿案の修正
出力された原稿案に納得できない場合は、「修正」と入力すると、ChatGPTが直前の原稿案の内容を膨らませて修正してくれます。ここで、明示的に原稿案の中の特定部分の修正を求めることもできます。「都市の名前をネオ東京に変更して」「主人公とヒロインの出会いをもっとドラマティックなものにしてほしい」「ライブの場面を盛り上げるためにもっと躍動感のあるリアルな文章を書いてほしい」など

以下が、先程の最初の出力に対して「修正」とだけ入力した結果です。
ChatGPTがブローチのエピソードを追加し、さらに、アルトにヴァイオリンを演奏させています。

もちろん、修正いたします。原稿をより深く描写し、情感豊かにするためにいくつかのエピソードと詳細を追加します。

第1章 失われた音楽
1-1 アルトの日常と失われた楽器の追求

未来の都市ネオノワールは、ガラスと鋼の輝きに包まれ、光と影のコントラストが美しい織り成す風景を形作っていた。AIによる情報制御が当たり前となり、人々の日常は精緻な機械の旋律に乗せられていた。時折街角に響くエレクトロニックな音楽は、冷徹で理知的な美しさを湛えていたが、人の手による温もりは失われていた。

この都市の片隅に住む青年、アルト。その容貌は穏やかで、静かな知性と哲学的な深みを感じさせるものだった。髪は柔らかな黒色で、瞳は深い青海のよう。彼の服装は未来のシンプルな流行を映していたが、その胸には古いブローチが留められていた。そのブローチは彼の祖父から受け継いだもので、昔の楽器の形をしていた。

アルトの日常は、古い楽器の追求に費やされていた。情報塔から提供される音楽に耳を傾けつつ、常に失われた旋律の探求をしていた。

「アルト、君はまたその古いブローチと共に夢を見ているのか?」友人のフェリックスが、彼の部屋に現れた。

アルトは微笑みながら、「フェリックス、未来は過去からの継承。失われたものには、新しいものでは感じられない魅力があるんだ」と静かに語った。

部屋の一角には、古い楽器たちが並んでいた。木の質感、形の美しさ、時には傷跡まで、それぞれに異なる物語が刻まれていた。その中でも一際目立つヴァイオリンは、その傷が宿す歴史の深みを語りかけていた。

フェリックスは少し考え込んだ後、「君の言う通りだね。でも、この都市では古いものは価値がないとされている」と反論した。

アルトは窓辺に近づき、ネオノワールの夜景を眺めながら、「未来を築くためには過去の知識が必要だ。失われた音楽、人々の心をつかむ真実の旋律が必要なのだ」とつぶやいた。

そして彼は、ヴァイオリンを手に取り、古い楽譜を広げた。弓をかけると、部屋には機械の音楽とは全く異なる、人間の魂を震わせるメロディーが溢れた。フェリックスの目には涙が浮かび、アルトの演奏は彼の心に深く響いた。

部屋の隅で、AIが機械的に作り上げる音楽と、アルトの奏でる人間の旋律が交わる瞬間、時間が一瞬止まったかのような感覚に、二人の青年は囚われた。それは、未来都市が忘れてしまった、人々の心を動かす真実の力だった。

ChatGPTの2回目の出力

④ 特定の節の生成・修正
基本的に最初から順番に節ごとの原稿案を書いていきますが、節番号を指定して、特定の節の原稿案を書かせたり、修正したりすることもできます。


6.自分で微修正

最後に、全体の文章を一通り読んで、登場人物の言葉使い日本語の表現がおかしいところなどを修正します。
また、全体を読んで、特定の節の内容を修正したくなった場合は、上記5(2)④の特定の節の生成・修正の方法で節番号を指定して、原稿案を修正します。
これで完成です。

ちなみに、ライトノベル風の小説の場合は、ChatGPTがよく学習しているのか、ChatGPTによる修正も人間の修正も無しで、「続けて」と入力していくだけで、それなりの小説が書けてしまいます。
そのため、以下の小説は、文章スタイルを作成するところから始めて15分ほどで作成することができました。


7.異世界転生小説の自動生成

(1) 文章スタイルシートの作成

最初の文章スタイルシートの作成にハードルを感じる人がいるかもしれないので、異世界転生小説(なろう系小説)を例に、シートの簡単な作成方法について説明します。

入力 なろう系小説の文章スタイルの特徴を教えてください。

ChatGPT 「なろう系」とは、小説家になろうというウェブサイト(通称「なろう」)で公開されるオリジナルのウェブ小説や、それに影響を受けた小説のジャンルを指すことが多いです。なろう系の小説は非常に多様な内容を持っていますが、いくつかの特徴的な文章スタイルやトピックがあります。

1.第一人称の視点: 物語は主人公の視点で書かれることが多い。
2.説明的な文章: 設定や背景、キャラクターの能力などを詳細に説明することが一般的。
3.転生・異世界もの: 主人公が異世界に転生、または転移するというテーマが非常に多い。
4.チート能力: 主人公が極端に強い能力やアイテムを持っている場合がよくあります。
5.成り上がり・努力: 主人公が最初は弱いものの、努力や冒険を通して強くなる、あるいは社会的地位を向上させるストーリーが多い。
6.日常的なエピソード: 戦闘や冒険だけでなく、日常的なエピソードやキャラクター間の交流が詳しく描写されることがある。
7.システム的な要素: RPGのゲームシステムを思わせる「ステータス」や「スキル」などの要素が物語内で使われることが多い。

以上のような特徴は「なろう系」の一部に過ぎません。なろう系小説は数が多く、様々なテーマやスタイルが存在します。しかし、上記の特徴を持つ小説が多いため、これらを指摘することで「なろう系」というジャンルを説明することがよくあります。

ChatGPTの出力

上の1~7の部分が文章スタイルシートになります。これだけです。

(2) アウトラインの作成

かなり汎用的なものができたので、ここからショートストーリーの作成を経由せずに、直接、アウトラインが作成できるのではないかと思い、試してみました。
上の出力に続けて、次のように入力して、アウトラインを作成します。

入力 この文章スタイルで3章9節構成の小説のアウトラインを作成してください。

ChatGPT もちろん、以下は「なろう系」の特徴を活かして、3章9節の小説のアウトラインを作成します。

第1章:異世界転移
1.日常の終焉

主人公が現代日本での普通の日常を送っている場面。突然の事故で死亡。
2.目覚めの地
異世界の森やダンジョン等、未知の場所で目を覚ます主人公。
3.初めての出会い
異世界の住民やモンスターとの初接触。主人公が異世界での初めての戦闘を経験。

第2章:異世界の真実
1.王都への旅
主人公が最初の町や王都へと向かう。途中、様々な冒険やトラブルに見舞われる。
2.新たな仲間たち
王都での生活を開始。冒険者ギルドに加入し、新たな仲間たちと出会う。
3.力の源、スキルの獲得
主人公が特別な「チート能力」や「スキル」を手に入れ、それに関する真実や秘密を知る。

第3章:大きな試練
1.王国の危機
外敵や魔物の大群によって王国が脅威に晒される。主人公と仲間たちはこれを食い止めるべく行動を開始。
2.真の力の目覚め
戦闘の中、主人公の中に眠る真の力が目覚める。新たなスキルやアビリティを獲得。
3.新たなる旅の始まり
敵を打ち倒し、王国を救った主人公。しかし、新たな脅威や冒険の予感が。物語は新たな章へと進む。

これはあくまで一例ですが、「なろう系」の特徴を活かしたアウトラインとしてご参考になれば幸いです。

ChatGPTの出力

これも、異世界転生小説として、かなり汎用性の高いアウトラインができましたので、ここから小説の原稿を作成すれば、いくらでも無限に異世界転生小説を創り出すことができそうです。

(3) カスタム指示の準備

以下の文章をカスタム指示の入力画面の下段に入力して、Saveボタンをクリックしてください。
今回は、記入内容が少ないので、アウトラインもカスタム指示の中に記入します。

あなたはRPGに詳しいライトノベルのベストセラー作家です。
以下のアウトラインに基づき、以下の条件に従って、最初の節の原稿を書いてください。
次に、ユーザーが「続けて」と入力したら、次の節の原稿を書いてください。
アウトライン:
(※上のアウトラインをコピー)
条件:
・ストーリーは、RPGの知識を生かしたユーモアのあふれるものにしてください。
・会話は、フレンドリーでライトな口調にしてください。

カスタム指示の下段の入力内容

(4) 原稿案の生成

New chat(できればGPT-4モデル)を立ち上げて、「原稿を書いてください」と入力すると、ChatGPTが第1章第1節の原稿案を生成します。

入力 原稿を書いてください。

ChatGPT 
もちろんです、第1章の最初の節、『日常の終焉』をお届けします。
第1章:異世界転移

第1節:日常の終焉

カチカチ、カチカチ、カチカチ。
キーボードの打鍵音が、静かな部屋に響き渡っていた。光を放つディスプレイの前で、藤原智彦(通称トモ)は夢中になっていた。
「よっしゃ、このボスもあと少しで倒せるぞ!」

トモは、人気のオンラインRPG「ドラゴンキングダム・レヴォリューション」をプレイしていた。彼のキャラクターは、最強の職業「ドラゴンナイト」。このボス戦で勝てば、ゲーム内での名声が確実に上がる。

しかしその時、突然部屋が揺れだし、壁に大きな亀裂が入る。
「地震!?」
トモが思わず叫ぶ間もなく、部屋は大きな光に包まれ、彼の意識は闇に飲み込まれた。

目を覚ました時、トモが最初に感じたのは、柔らかな土の感触だった。
「え、どこ…?」
目の前には、現実のものとは思えないほどの美しい大木や鮮やかな花々が広がっていた。そして、彼の頭上には、巨大な…ドラゴンが浮かんでいる。
「えっ、これって…「ドラゴンキングダム・レヴォリューション」!?」
不思議に思いながらも、トモは冒険者としての直感を信じて、手に入れた木の棒で装備を整えた。
「うーん、まずは近くの村を探して、情報を集めるか。」

歩き始めるトモ。しかし、すぐに彼の足元に小さなモンスターが現れた。
「お、初戦闘だ!」
と、トモが思った瞬間、そのモンスターがトモに近づいてきて…舌を出してペロリ。
「えっ、何これ…攻撃じゃなくて、舐めてきた?」
突然の出来事に驚くトモ。しかし、その後もモンスターはトモの足元でクルクルと回りながら、甘えてくるだけ。
「なんだ、このモンスター…ペットみたいだな。」
笑いながら、トモは新たな異世界での冒険の第一歩を踏み出した。

以上が第1章の最初の節です。どうでしょうか、お気に召しましたか?続きがお望みでしたら、「続けて」とお知らせください!

ChatGPTの出力

この後、「続けて」と入力すると、ChatGPTが第1章第2節の原稿案を生成し、具体的に修正を指示すると、直前の原稿案を指示に従って修正します。

修正指示の例:「敵の弱点がどの様なものか、それをどの様に攻略したのかを具体的に明らかにして、第〇章第〇節を書き直してください。」

入力 続けて

ChatGPT
第1章:異世界転移
第2節:目覚めの地

トモが歩き進むと、目の前には広大な平原が広がっていた。その中央には、石造りの小さな町が存在していた。彼のRPG経験から判断すると、これは明らかにスタート地点の町、つまり「初心者の村」だった。

「よし、まずはこの村で情報収集だな。」
と、トモが一歩を踏み出したその瞬間、彼の足元にいた小さなモンスターがピョンピョンと跳ねて喜んでいた。
「ああ、君も一緒に来るのか? いいよ、君の名前は…そうだ、『ペロちゃん』にしよう!」
そう名付けられた「ペロちゃん」は、より一層トモの足元で跳ね回る。

町の門をくぐりながら、トモは多くのNPC(非プレイヤーキャラクター)たちの会話を耳にした。
「最近、異世界から来る冒険者が増えてきてなあ。」
「え、マジで!? あいつら、超強いらしいよ!」
「でも、あいつらってチート能力持ってるって本当?」
この町の人々は、異世界から来た冒険者のことを知っているようだった。トモは、自分もその「異世界からの冒険者」の一人として、どういう評価を受けるのか興味津々だった。

町の中心にある広場で、トモは情報収集のために掲示板をチェック。すると、そこには「初心者のためのクエスト」と題された依頼書が掲示されていた。
「よし、このクエストをこなして、この世界での第一歩を踏み出そう!」
ペロちゃんもトモの意気込みを感じ取ったのか、ニコッと笑って彼の足元を駆け回った。

第2節の終わりです。RPGのユーモアを交えながら、トモの冒険が続きます。

ChatGPTの出力

このままChatGPTが原稿案を生成するごとに「続けて」と入力していくと、原稿案をどんどん書き進めていって、小説を完成することができます。


8.まとめ

(1) もっと簡単に小説を自動生成する方法

今回は、小説のストーリーの質を上げるために文章スタイルシートを作成するところから始めましたが、実は、ChatGPTは簡単なテーマや内容を入力するだけで以下のようにショートストーリーを書いてくれます。

入力 ロケットに関するショートストーリーを書いてください。
ChatGPT
タイトル: 星への舞台

夏の夜、小さな町の中で、数少ない友達だったユウキとミキオは、星々を見上げながら夢中になっていました。ある晩、ユウキは興奮しながら言いました。「ミキオ、君と一緒に宇宙に行ってみたいな。」

ミキオは微笑みながら答えました。「でも、どうやって?」

ユウキは少し考えた後、ひらめいたように言いました。「ロケットを作ろう!」

二人はすぐに行動に移りました。彼らは図書館で本を借り、YouTube動画を見ながら、宇宙への旅を実現するための知識を集めました。そして、廃材や使われていないものを使って、手作りのロケットを作り始めました。

日々の努力の末、ユウキとミキオは驚くべきロケットを完成させました。町の人々は興奮し、地元の新聞が彼らの物語を取り上げました。そして、ついにその日がやってきました。夜空に輝く星々の下で、ユウキとミキオは自作のロケットに乗り込みました。

「準備はいいかな?」ユウキが尋ねました。

ミキオは緊張と興奮で震える声で答えました。「いいよ、いざ、打ち上げだ!」

カウントダウンが始まり、数え切れないほどの人々が見守る中、ロケットは宙に舞い上がりました。エンジンの轟音と共に、二人は地球の大気を突き抜け、宇宙へと旅立っていきました。

宇宙空間で浮かぶ感覚は、言葉では言い表せないほどの驚きと感動でした。星座が輝き、地球が青い宝石のように見えました。ユウキとミキオは手を取り合い、その美しい景色にしばらく見惚れていました。

しかし、時間は流れ、ロケットの燃料が少なくなってきました。二人は地球に帰ることを決意しました。再び大気圏に突入し、炎と揺れに耐えながら、無事に地上に戻りました。

帰還したユウキとミキオは、報道陣や町の人々に囲まれました。彼らの勇気ある冒険は多くの人々に希望と夢を与えました。

このショートストーリーは、友情と夢、努力の力を讃えるものでした。

ChatGPTの出力

そして、今回提案した方法は、ショートストーリーさえ手に入れば、後はアウトラインの作成から原稿案の生成へと一本道で自動的に長文の小説を生成することができます。
また、ショートストーリーの内容は大したことがなくても、ChatGPTがどんどんエピソードや会話を追加して、それなりの小説に仕上げてくれます。

(2) 残された課題

残された課題は、以下の2つです。

  1. 予想外の展開や出来事が起こる起伏のあるストーリーが書けない

  2. 情報密度の高い精緻な文章が書けない

前者については、ChatGPTが下書きを書いた後で、筆者が面白い展開を提案して、ChatGPTに修正させることで対応していますが、何か良い方法はないでしょうか。

また、後者については、プロンプト(会話スタイルや情景描写の表現スタイルのカスタム指示)を更に工夫することで対応できないかと検討中です。
例えば、ライブシーンについては、音楽ライブの解説記事を参考にして書かせるとか。

(3) 最後に

いずれにせよ、今回提案した方法は、誰でも簡単に小説を自動作成することができて、しかも既存の手法よりも質の高い小説が作成できるので、是非、試してみていただければと思います。


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