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エクセルで書類作成は自動化できます。

中小企業などでよくある誤解の一つ、業務の効率化には専用のソフトやプロのエンジニアが必要だという認識。ほとんどの場合、そういったものはまったく不要で、エクセルレベルで十分です。専属のエンジニアを雇う必要もありません。

省力化のために注力するべき、より重要な問題は他にあるのですが、ここではそれはひとまず置いておいて、ほぼすべての職種に共通するであろう業務の一つ、書類作成の効率化について述べたいと思います。

書類作成業務は、入力、発行、管理に分解される

書類を作成する際の手順を大雑把に分解すると、入力、発行、管理の大きく3つのステップがあります。

入力とは、もちろん書類の記述です。そしてこの入力は、さらに定型入力と個別入力に分かれます。例えば報告書でいくと、タイトル・作成者・作成日・文書番号などの、必ず何かしら入力するべき項目を、ここでは定型入力と呼びます。対して報告の内容は、問題の発生や経過が含まれる場合もあれば、マーケティングの実施と分析がメインになる場合もあり、時と場合に応じて記載内容が変化するでしょう。こういった項目を個別入力と呼ぶことにしましょう。

発行とは、入力した書類を、閲覧や保管に適した状態とすることです。これも報告書で考えると、Microsoftのワードで作成した書類を、そのまま保存するだけの場合は少ないでしょう。電子データで保管するならPDFに変換したり、部署内で回覧するなら紙に印刷したりするはずです。これを発行と呼びます。

最後の管理とは、発行された書類を保管して、必要に応じて利用できる状態に保つことです。折角発行された書類も、作成者のパソコン内部に保管されるだけで、時の流れとともに周囲だけでなく作成者からも忘れられてしまうようであれば、何の意味もなくなっていくでしょう。これを防ぐために書類をリスト化したり、探しやすいように文書番号というIDをつけたりすることを、管理と呼ぶことにします。

詳細の入力以外は、ほぼすべて自動化できる。

一連の入力、発行、管理という書類作成の流れの中で、自動化が難しいのは入力、特に個別入力だけです。それ以外の、定型入力、発行、管理というステップは、自動化との相性が非常によいものです。

自動化というのは、典型的によく行われる業務を見出し、そこでの作業をパターン化して(プログラミング化して)、機械的に(多くはパソコンや装置で)処理していくということです。その点、これらの作業はいずれも行動のパターンが比較的限られているため、自動化によくなじみます。

ちなみに、どれだけ典型的な業務でも、例外的な事態はありえます。比較的例外が発生しやすい部分では、状況に応じて人間の手で作業が進められる余地を残しておくのも大事なことです。この点、エクセルやスプレッドシートはもともとすべてを人間が操作するという前提で作られているので、対応が楽です。自動化機能を作動させなければいいだけですから(笑)

実際に活用していたツールの例

実際に筆者の勤め先で使っているツールの例を紹介したいと思います。

エクセル(VBA)で作成された書類作成自動化ツールで、クライアントファイル、DB(データベース)ファイル、ひな形ファイルという、大きく3つのファイルで構成されています。

書類自動作成ソフトの仕組み

ユーザーが操作するのは基本クライアントファイルで、必要に応じて作成された各書類ファイルに個別入力を行います。クライアントファイルが主な機能のほとんどを受け持ちます。

DB(データベース)ファイルは、各ユーザーが入力した内容をまとめて保管しておくためのファイルで、目立った機能はありません。クライアントファイルからの入力や呼出を待つだけのただのエクセルです。しかしこれが独立して存在することで、複数ユーザーでの同時利用が可能になり、書類番号などの重複も避けられます。バックアップも楽です。

ひな形ファイルは、書類の形式を記録しておくためのファイルです。あらかじめ作成したい書類の体裁や、自動入力すべき箇所を指定しておくことで、クライアントファイルに入力した内容が、自動でひな形ファイルに入力され、書類の形式に仕上がります。個別入力にも対応するため、個別入力後に書類を発行する機能も持ってます。これが独立して存在することで、複数のひな形を準備することができますし、ユーザー全員が同じひな形ファイルを利用するので、更新も楽です。

このツールは何か特殊なソフトを用いているわけでもなく、さして難しいプログラミングがされているわけではありません。しかし高い汎用性を持ち、ほとんどの書類はこのツールで対応することができています。

本当に注力するべきは、人の育成

先に効率化のために注力すべき問題は他にあると述べました。それは人の育成、つまり働く人の意識改革です。効率化を進めるためには、仕事をパターン化して把握し、仕事をする際のルールを定める必要があります。業務の流れとルールを定めてこそ、それを柔軟に分担したり、プログラムで自動化できるのです。

これは、「この仕事は〇〇さんにしかできない」とか、「お互いの仕事には干渉しない」といった、仕事が属人化またはブラックボックス化された状態とは対照的です。いいかえれば、パターン化とルール作成がよくできている職場は、例えパソコンがなくとも十分に効率化されている可能性があります。

中小事業体の明るい未来のために

日本の企業の生産性の低さはよく言われるところです。大企業もそうですが、中小企業は輪をかけて悲惨な場合も多々あります。機動力が武器である中小企業は大企業ほどの効率化は不要ですが、しかしだからこそ効率化が利益率を大きく左右します。

長年大企業や官公庁や教育機関にいいように使われた中小企業は疲弊しています。しかし各種のITルーツやサービスの進化に伴い、一番可能性があふれているのも中小企業だと思います。そんな中小企業の未来を少しでも明るくするネタになれば幸いです。

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