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「イネという不思議な植物」稲垣栄洋/ちくまプリマ―新書

米は、どうして日本人とって特別な食べ物になったのでしょうか。

Q.日本の主食は?に「お米」と答える全ての人に、おすすめの一冊。

読めば、とにかく日本の田園風景が愛おしくなります。

(出典)【田んぼとういうシステム】

土手を作り、河川の流れを制限して、水路を整備し、何の価値もなかった広大な敷地は、田んぼに生まれ変わる。

山城は防衛上の意味もあるが、実は山に近いところこそが、豊かな米の実をもたらす、戦国時代の穀倉地帯だった。 

【農業による環境破壊】

世界の農業に目を向けたとき、農業は自然の破壊者としてみなされることが多い。

土は無限にあるわけではない。

たった1センチの深さの表土が生成されるのに、およそ200〜300年かかると言われている。

農業は植物を栽培するために大量の水を必要とする。

【世界がうらやむ日本の田】

日本は世界の雨の2%が降るといわれるほど、水資源に恵まれた国。

田んぼは、畦で周りを囲み、土が流出するのを防ぐ。

水田は、余った栄養分は洗い流され、新しい養分は供給される。

イネは何千年もの昔から、ずっと同じ場所で作られ続けてきた。

これは世界の農業から見れば、まさに奇跡である。

それなのに、日本の田んぼではイネが作られていない。

米は食料である。

金持ちも食料がなければ死んでしまう。

食べ物というのは普遍的な価値があるのだ。

実際に、太平洋戦争の戦後の混乱期には、戦時中に発行された紙幣が、ただの紙切れとなった。