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「13歳からの食と農」 関根佳子著/かもがわ出版

どんな農業ですら、地球の生命を削っている。
時代ごとの最先端の技術や論理も、今は昔(らしい)。

食の生産、農業と距離を感じている大人にこそ、おすすめな一冊。
近寄ってみると、案外身近です。


(出典)【多様化する現代の食】
私たちの毎日の食事はわずか2、3世代で大きく変化

・高度経済成長期  農産物は作るものから「買うもの」に

・農の工業化  新しい技術を使えば畑は「工場」になる

・食の工業化  食品は工業製品のように均質に作られる


「食に対する感謝の気持ち」が薄らいだ

・食品ロス  
 地球上で生産される約1/3が消費者に届く前に廃棄(推計)
 約半分は家庭 作りすぎ畑で廃棄 流通過程で痛んで廃棄

・気候変動とエネルギー問題
温室効果ガスの約1/3は農業やグローバルな食糧システムに由来 

・人間の身体と微生物
後50年足らずで地球上の土壌が枯渇し、農業を営むことができなくなると警鐘(国連)


【家族農業は農業の中心的位置】

国連「家族農業の10年」(〜2028年)

『家族農業以外に持続可能な食糧生産の模範に近い存在は無い』と提言

『家族農業の定義(国連)』
家族が経営する農業、林業、漁業、養殖、牧畜。男女の家族労働力を主として用い実施される

利潤を最大限に増やすことではなく、

「家族の家計を支える」

「家族で形を維持する」

「地域の社会や資源を守ること」が経営目的

家族経営 世界全体で9割以上

農地の70~80%を用いて、食料の80%以上生産している

・小規模農家 25%のエネルギーを消費して、70%の食料を供給

・大規模農業 75%のエネルギーを消費して、30%の食料しか供給できていない

 ↓

●1960~70年代「緑の革命」農業の近代化への反省

近代化こそ、生産性を高め、世界の飢餓や貧困の問題を解決すると信じられていた

●1980~2000年代「新自由主義」への反省

市場競争を促すことが経済成長をもたらし豊かな社会を築く唯一の道だと、多くの政治家や学者、市民がまだ信じていた⇒ 小規模な家族農業を非効率とみなし、政策決定に関与する能力はないとみなしてきた結果、農家数が急激に減少、高齢化も世界に類を見ないほど進んだ

【誰もが農的暮らしをできる社会に】

・エディブルスクールヤード 小学校で田植え体験や行程菜園の取り組み

・プロシューマー 新しい消費者 農場と食卓の距離を縮める人として期待

誰でも、どこでも農業を学ぶ機会や、営む機会を得られる仕組みを作ることが、今求められている