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過酷すぎる予備試験突破に向けた41のチャレンジ

割引あり

はじめに

   予備試験とは、降口が見えない下りのエスカレーターを上っていくような過酷な試験。 範囲が膨大過ぎるので、頑張って理解して、記憶してもすぐに忘れてしまうのは自動的に下がってしまうエスカレーターのようです。 このエスカレーターに逆らってのぼりきるのは相当厳しい。
 しかし、実際は最後までこのエスカレーターをのぼりきる必要はなく、試験の段階でこのエスカレーターの上から450人目くらいの位置に残っていれば合格できる試験で相対試験である。
 エスカレーターの下りの力を受けるのは、自分だけでなく、ほかのライバル達も同じ、試験当日に大きな失敗をして、自らエスカレーターを下っていく人もいるので、何とか試験当日にエスカレーターにしがみついて合格の人数内に自分がいることで合格ができる。

 この記事では、このエスカレーターの合格人数内に残るために意識し、実践、改善したことを中心に書いたものです。 しかし、この記事を書いているのは、論文合格発表前であり、記事に書かれている内容が論文合格に結びつくのかは定かではありません。

 では、なぜそんな時期にこんな記事を書いたのか。 

 それは、ほぼ全ての勉強法の記事や、合格体験記が、合格発表後に書かれているものだからです。 人は合格発表前と、合格発表後では全く自分の頭の中が変化してしまいます。合格者の人のほとんどが発表前は不安でいっぱいだったにもかかわらず、合格発表後はその不安がなかったかのような感じになります。
 合格の場合だけでなく、不合格の場合であっても、合格発表前と後では感じていたことや考えていたことが変わってしまうのが普通です。

 そのため、合格発表前にどんなことを考えていたのかということは、合格発表後に書くものよりも、希少であり、価値が高いと思ったため、この記事を合格発表前の時期に書く事にしました。

 もし、合格していたら、合格するための参考記事になります。不合格だった場合でも、このような考え方で勉強していたら、合格には届かないという参考になります。 いずれの場合でもこの記事を読んでいただける人にプラスになると思っています。

 私は非法学部出身ですが、東大理1類現役合格しているレベルの勉強耐性があること、社会人ではありますが、基本在宅勤務で1日5時間程は勉強の時間もとれること、お金も比較的自由に使えるという状況にあり、かなり恵まれた環境で勉強していたという前提は記載しておきます。

(2024/1/28 加筆)
この記事を書いたあと、無事に論文合格をしていましたので、その成績などを踏まえて、論文合格までの道筋の指針も記事にしました。

予備試験向けの個別指導も開始しています。


この記事の方向性

 当初自分がしてきた勉強として、具体的な教材や講座について書こうと思いましたが、具体的な勉強内容に立入り過ぎると、個人の能力により、有益無益の幅が大きいため、多くの人にとって役に立てると思われる私の勉強法の根幹の部分である、80対20の法則とPDCAの考え方を中心にして、書いていきたいと思います。
 そのため、どんな教材、講座が役に立つのかということが気になっている人にとっては、あまり有益な記事ではない可能性があります。
一方で、学習段階に応じて自分の考えていたことを記載しているため、勉強全体の方向性について悩んでいる方や、迷っている方にとっては得るものがある記事であると思います。

 この記事は勉強し始めたころから、2回目の論文試験を受けるまでの過程を振り返った記事になります。 初期の頃の記憶は薄れている部分もあるため、本当にその段階で、そのようなことを意識していたかは確証はありませんが、考えていた思考の流れは把握いただけると思います。
 予備試験合格を目標とした学習してきた記録であるため、司法試験については役に立たない部分も多いかもしれません。

ベースとなる考え方

ゴールまでの距離の意識

 目的と手段を間違えず、合格地点と自分の距離を常に意識しています。
勉強をやっていると知らず知らずのうちに、勉強することが目的になってしまっていて、目的である試験合格ということ忘れてしまい、合格から遠のいていってしまうことがあります。
そうならないように、常に合格というのが目標で、勉強というのは手段でしかないので、自分の現在位置と、合格地点を比較することを日々忘れないようにしています。

80対20の法則(パレートの法則)

 合格と自分の現在位置の距離を縮めるために一番意識しているのが、80対20の法則です。 この法則は成果の80%は20%の行動で生み出されているというものです。 つまり、正しい20%の事をやりさえすれば、80%の成果を生み出すことができます。
 逆の言い方をすれば、成果の低い80%の行動をしても、20%の成果にしか結びつかないということになります。
 簡単な例を出すと、テストで100点をとるために、100時間の勉強が必要であるとすると、80点をとるためには、20時間の勉強で済むけど、残りの20点をとるためには、あと80時間かかってしまうということです。
 意識しないでこのパレートの法則に従ってしまうと、自分の勉強の比重を考えずに何もかもを平均的にやってしまうと、成果が出ない80%に、80%の時間を費やしてしまうことになります。
これにより、大きな成果が出る20%の勉強に多くの時間を使うことができれば、劇的に成果をあげることができるため、80対20の法則は常に意識しています。

PDCAの手法

 そして、大きな成果が出る20%の部分を設定し、実行するために、PDCAの手法を利用しています。
PDCAの手法というのは、Plan(計画)、Do(実行), Check(検証), Action(修正)というのを繰り返し、目標を達成する手法です。
 学生のころは、このような考え方はなく、ただ与えられた課題をこなすことしかしていませんでしたが、社会に出てからは、答えのない仕事をすることも多かったため、このPDCAという手法を用いることが多くなっていました。
 PDCAの手法については、具体例でないと説明しにくいため、実際の勉強の進め方のところで具体的に書かせていただきます。

いきなり100%を目指さない

 100%の完成度を目指すためには、1%の部分の完成度を100%にして、それを100回やって、全部を100%にすることではなく、全部の部分を完成度は10%で1周して、それを繰り返して、全体の完成度を100%に近づけていくということです。
 部分的に完璧にしようとしたところで、記憶は薄れるし、全体で相互関連性がある部分も多いので、完璧にすることはできません。そのため、全体をなるべく網羅することを意識します。
 こうしておくと、途中でいきなり試験になったとしても、ある程度は戦える状態になることが多いからです。

運を大切にする

 手法ではないのですが、「運」を高めることは常に意識しています。
 人生で一番大切な要素は「運」であることは間違いないと思っています。 現代社会では技術進歩の影響で実は人はいつも「死」と隣り合わせです。 一歩外に出れば、車に衝突される可能性もあるし、バスや電車にのっても、事故が起こることもあります。そのため、日ごろから「運」を上げることは意識しています。
 しかし、試験において運が良くなったからといって、実力がないのに合格できることはないと思っています。
 運とは自分の力は上げてくれるものではなく、実力を下げる要素しかないと考えています。 つまり運が最高に良い状態というのは、自分の可能性を100%出させてくれているということです。 運がいくら良くても、自分の可能性を100%出しても合格できない実力であれば、合格はできないです。
 そのため、自分の力を合格レベルに上げる努力をすることと、本番で100%の実力を出させてもらえる運を呼び込むための努力をしています。
予備試験でも、短答試験の前、論文試験の前も、祈願をしてもらいました。 その結果、受けた試験では、普段の実力は発揮させてもらえた気はしています。

具体的な実施事項と結果

 では、具体的に2年の間に行ったことを記載していきます。
PDCAの手法として、予備試験の勉強では計画(Plan)と実行(Do)は同じ内容なので、この記事では、チャレンジと略します。 そして、なぜそれをしようと思ったのかという理由と、それに対する検証結果(Check)と、改善点(Action)を記述する形で、具体的な内容を記載していきます。

勉強開始フェーズ(2021年9月頃)

チャレンジ1    試験の全体像を知る

  • 具体的方法
     5冊ほど予備試験の本を読んで、受験に必要な科目と、合格するために必要な能力を一通り把握しようと試みました。

  • 実施しようと思った理由
     私は工学部出身で、仕事もソフトウェアプログラム開発が中心であったので、会社法の基本的知識以外はなかったため、まず予備試験に合格するためには何が必要なのかを知らなければ、合格する確率は皆無です。 そのため、予備試験を知ることからスタートしようと思いました。

  • 検証結果
     予備試験の全体像として、どんな科目の勉強が必要なのか、具体的にどれくらいの点数をとれば、短答試験、論文試験、口述試験を合格できるのかということは把握できました。

  • 改善点
     本を読んで大枠は把握できたため、この実施事項は改善なしでこれで終了しました。


チャレンジ2    勉強方法の方針を立てる

  • 具体的方法
    予備の勉強方法の本を読む。
    基礎講座を受講してみる。
    科目ごとの簡単な本を読んでみる。

  • 実施しようと思った理由
     試験の全体像はわかったため、具体的にどんな勉強をしていくかを決めようと思いました。

  • 検証結果
     勉強方法の本では、独学では厳しく、予備校を利用した方が良いという情報が圧倒的でした。 科目ごとの簡単な本を本でみましたが、ほとんど理解ができませんでした。 一方で基本講座は動画でわかりやすかったです。

  • 改善点
     基本講座の動画がわかりやすいので、当面は基本講座の動画で進めようと思いました。


勉強初期基礎講座フェーズ(2021年9月後半~12月)

チャレンジ3    基礎講座を一通り聞く

  • 具体的方法
     基礎講座はスタディング(約10万円)を利用しました。 隙間時間含め、耳が空いている時間は食事中、運転中、食事中にも聞き進めました。

  • 実施しようと思った理由
     まずは、一通り試験範囲の内容を把握したいと思い、基礎講座を動画で聞くのが一番理解しやすいと感じました。 具体的に基礎講座をWebでざっと調べましたが、古くからある予備校については、安くても50万円程かかりそうであり、途中で挫折するかもしれないので、リスクを低くするために、費用的に安かったスタディングを選択しました。

  • 検証結果
     講座は非常にわかりやすかったのですが、動画なので見るのに時間はかかりました。一度見ただけではほぼ理解はできませんでしたが、とりあえず最後まで進めようと思い、進めました。
     あとからわかったのですが、スタディングは後発のWeb中心の会社であったため、スマホで講座を聞く操作性は、他の予備校の講座と比べ物にならず、非常に良かったです。

  • 改善点
     一通り聞くまでは特に改善するようなことはなく、ひたすら聞きました。


勉強初期論文フェーズ(2022年1月頃)


チャレンジ4    論文の勉強に入る

  • 具体的方法
     スタディングの論文講座と、伊藤塾の試験対策問題集予備試験論文(赤本)を使って論文を書こうと試みました。

  • 実施しようと思った理由
     予備試験の本では、論文に通らなければ意味がなく、論文試験がキーになるため、論文から勉強に取り掛かった方がよいという情報が多かったので、基礎講座を終えたので、まずは一度論文の問題をやってみようと思いました。

  • 検証結果
     全く何を書いて良いのかわからず、ほぼ答案をただ読むだけになってしまいました。

  • 改善点
     1週間ほど論文講座を聞いたり、答案は読みましたが、全く書けるようになる気がしなかったので、一旦短答の勉強をすることにしました。


チャレンジ5    短答の過去問を時間を測って解いてみる

  • 具体的方法
     過去問を2年分くらい時間を測って解きました。

  • 実施しようと思った理由
     基礎講座を一通り聞いた段階でどれくらいの点数がとれるのかをこの段階で知っておきたいと思い、実施しました。

  • 検証結果
     解いていても、自信を持って解答できる問題は少なく、選択肢もあまり絞れない状態でした。 あまりにわからなさすぎて、深く問題の選択肢を検討しなかった影響か、意外と時間は余るくらいでした。点数は法律科目の合計が100点前後であったため、一般教養が満点でも合格に達しないレベルでした。

  • 改善点
     短答の過去問をやった感触から、短答に全力を注がないと、今回の短答突破は無理だと判断しました。論文試験に合格するために、不可欠なのが、短答式試験に突破することです。短答試験だけに突破しても、論文試験に合格しなければ、翌年も短答試験からのスタートになるため、短答試験だけ突破しても仕方がないという考え方もあります。
     しかし、何とか論文の試験の感覚を経験できれば、次の年の論文はかなり有利になると考え、何とか短答に突破するために全力を注ぐことに切り替えました。

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